松井珠理奈が先月16日、愛知・名古屋国際会議場センチュリーホールでおこなわれた『SKE48 リクエストアワー セットリストベスト 100 2018 ~メンバーの数だけ神曲はある~』に登場、観衆からの大きな“珠理奈”コールに迎えられ、ステージ復活を遂げた。

 第10回を迎えた2018年の『AKB48選抜総選挙』で悲願の1位を獲得したものの、順位発表前のパフォーマンスでは序盤に体調の異変を見せ退場するというアクシデントに見舞われたり、1位獲得後に異常なハイテンションぶりを見せたりと話題を呼び起こしたが、その後突然の休養宣言。世にはさまざまな憶測も飛び交ったが、このステージのパフォーマンスに彼女の熱烈なファンは、ホッと胸をなでおろしたことだろう。

 「赤いピンヒールとプロフェッサー」や「いきなりパンチライン」で披露したパフォーマンスは見事の一言、3カ月のブランクを感じさせないものだったが、コメントの際の姿勢はどちらかというと遠慮気味にも見え、その表情は久々だからと思わせる面が半分、そして逆に“松井らしいな”と思わせるものが感じられた。

 先述の『AKB48選抜総選挙』では、度々見せたその“異常”とも思える振る舞いに、SNSなどでは非難の声も多く上がっていた松井。今年は総選挙の初の試みとして開催地の公募をおこなう方式となり、場所はSKE48の本拠地である愛知県名古屋市のナゴヤドームが選ばれ、自然とSKE48自体が活気づく中でエースを張る松井としては、現在のAKB48グループでトップを射程距離としている者の一人ということもあり、大きなプレッシャーがあったに違いない。そういった中で松井は、自身の立ち位置を考え、敢えて自分を奮い立たせていた向きも、あったのではないだろうか。

 もともと松井に対して“自分から前に出てくるような女の子ではない”そんな雰囲気を感じたことがあった。4年ほど前だろうか、松井が何らかのイベントで、何人かのメンバーを引き連れてマスコミの前に登場したことがあるのだが、取材陣の囲み取材でなかなか話が盛り上がらない中、最後に取材陣から、得意の“大喜利”をおこなって欲しいとリクエストされ、見事にそれを決めていたことを覚えている。

 その後彼女らは挨拶後降壇、控え室に戻る途中で“あの状況なら、ああ言うしかないでしょ!?”などとメンバーに、少しおどけながらも励ますように言っていたことが耳に入った。積極的に手を上げるような性格ではないものの、指名されればその任務を果たそうとする責任感もあり、周りの者たちとの仲間意識も強い。当時はそんな印象が感じられたが、考えてみれば今回の総選挙での挙動につながったものも、あるのではないかと考える。

 『SKE48 リクエストアワー』のステージでラストに披露された「仲間の歌」では、SKE48のメンバー勢ぞろいのステージで、メンバーがセンターに行くことを勧める中、敢えてステージの一番下手でパフォーマンスを披露、久々の仲間とのステージを心から楽しんでいたようにも見えた。頂点に立つ苦しみを乗り越えて、何か新たなものをつかみかけているようでもある。11月28日にリリースされるAKB48の54thシングル「NO WAY MAN」では、残念ながら選抜から外れた松井だが、まだ本調子ではないということもあるかもしれない。これから見せる復調で、さらにスケールアップした松井が見られることを望みたいところだ。【桂 伸也】

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