仙台発のニホンジンが日本一に、レンタル枚数で記録更新

仙台でにわかに注目を集めるアマチュアバンドのニホンジン。仙台から全国へ歌を届ける

 仙台のアマチュアバンドがメジャーバンドの記録を塗り替え、話題になっている。そのバンドは、宮城県仙台市を拠点に活動する男性3人組のニホンジンだ。ドラマ『ROOKIES』の主題歌などで知られる人気バンドGReeeeNが過去5年間有していた、全国のTSUTAYAにおける1店舗1日のCDレンタル枚数記録を、約2.8倍の差をつけて更新した。

 彼らは、TSUTAYAを東北などで展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブの東北カンパニーが、地元アーティストを応援する企画の第1弾アーティストに選ばれている。この流れで、ニューシングル『ニホンジン(赤)』の発売を記念してTSUTAYA限定盤『スペシャルサンプラ―盤』を作成。

 それを同シングルの発売日にあたる6月20日から3日間、仙台駅前店でメンバーも自ら店頭に立ってレンタルをPR。この初日に前述の記録を打ち出した。実のところ、そのCDはレンタル無料なのだが、それでも無名のバンドがメジャーバンドの記録を打ち破るのは異例とも言える。

 ニホンジンは震災のあった2011年6月に、東北大学に通うエムサイズ佐久間(Vo)、リュックサック今井(Gt)、ペンション佐々木(Ba)の男性3人によって結成された。現在は佐久間を除き2人が同大学を卒業し、音楽活動に専念している。

 彼らの楽曲作りは、それぞれの職種に従事する人に直接取材をして、そこで得た情報や想いを曲として表現。これまでに取材した職種は、タクシー運転手、弁護士、教師など。このなかには宮城県の村井嘉浩知事、お笑い芸人のサンドウィッチマンなどもいる。ちなみに今回CDに収録のリード曲『知事』は村井知事のインタビューが題材となっている。

 全国規模からすれば全くの無名だが、市民の声を代弁するかのような楽曲づくりに加え、草の根の活動が地元人気を支える。CDの販売方法はもっぱら手売り。「出逢った人々の関係を大切にしたい」という思いもあるが、アマチュアであるため全国流通でCDを販売するのはリスクがある。しかしこうした活動が次第に浸透し、手売りしたCDは累計8000枚を突破した。

 今回の反響を受けて、地元ラジオ局も動き出した。Date fm(エフエム仙台)は、パワープレイにあたる7月度の“MEGA PLAY”ナンバーの一つにニホンジンの『手をつないで』を選んだ。MEGA PLAY期間中の1カ月は、Date fmホームページでパワープレイ楽曲を無料配信するという。

 これに加えて、今週末には547人収容規模の日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)でライブを行う。アマチュアでこの規模は冒険とも言えるが、チケットは完売。その勢いを得て9月13日には961人収容規模の仙台電力ホールでのライブも決まった。

 今後期待されるのは全国展開。しかし関係者は「いつかメジャーデビューが決まっても仙台から離れることはないと思います。地元・仙台に根付いた活動を続けていくと思います」とあくまでも“仙台発信”にこだわっている。

 地域に根差したアイドル“ご当地アイドル”は各地に広がり定着しつつある。仙台生まれの地域限定バンドである彼は、“ご当地バンド”という新しいバンドのあり方で人気を集めていく。

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