高橋あず美「挑戦が大事」キャッツ・グリザベラ役を射止めたドリームガール
INTERVIEW

高橋あず美「挑戦が大事」キャッツ・グリザベラ役を射止めたドリームガール


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年02月19日

読了時間:約8分

挑戦し続けることが大事

――グリザベラ役に決まった時の心境は?

 信じられませんでした。ミュージシャンとして活動しており、アーティストのコーラスをやったり自分で曲を作ってライブをして、というような生活でしたので驚きました。しかも、役がジェニファー・ハドソンさん。それにまた鳥肌が立ちました。そもそもオーディションのお話をいただいたのが、ニューヨークのアポロシアターで開催された『アマチュアナイト』というショーの一回戦目を終えた後。そのオーディションを彼女の曲で勝負していて。『アマチュアナイト』に挑戦するためにアメリカへ渡りましたが、挑戦し始めてからの自分の人生が大きく変化しました。一歩勇気を出して、アメリカに行ってから、点と点が繋がっていくような運命を感じました。

――受かった時は不安もあった?

 不安やプレッシャーもありましたが、嬉しさと光栄な気持ちの方が勝りました。自分が持っている力で、オリジナルにも劣らない「メモリー」を歌おうと心に決めました。

――日本吹替え版の音楽プロデューサーは蔦谷好位置さんでした。収録の際どのようなお話がありましたか。

 洋楽が好きな分、日本語が洋楽っぽく聴こえると、そういうところを指摘していただきました。

――先ほどの話ですね。それは子音・母音の使い方とか?

 子音・母音の使い方もそうですし、格好よく歌おうとすると英語っぽくなってしまったり、ソウルフルに歌おうとすると、日本語がねちっこく聴こえてしまったり。聴いている人がナチュラルに耳に入ってくるようにということをすごく大事にされていたので、そこを集中的に直されました。

――先ほど歌っている人の背景が見えるのが好きと話されていましたが、劇中で歌っている名曲の「メモリー」はどういう印象がありましたか。

 「美しい」の一言です。沢山の猫たちがダンスをしたり、歌を披露するなかで、唯一この楽曲は悲しみだったり、それを乗り越えていく様だったりが、一つの曲でどんどん広がっていく。切なくて苦しいところから希望を持って、最後には力強く歌う。観ている人は、その姿を自分と重ねて感動したりもするのかなと思いました。

――高橋さんも自分に重ねた?

 もちろん重ねました。まだまだ人生経験は浅いですけど、今まで挑戦してきた中で、やっぱり楽しいことだけじゃなく苦しい部分って挑戦すればするほど出てくる。その挑戦の中で感じてきたものを歌に注ぎ込みました。

――高橋さんはもともと注目されていましたが、今回は大抜てきとも言えます。夢を追っている人に伝えたいことは?

 私の歌手人生は、高校3年生の進路を決める時期に音楽をやっていきたいという想いで専門学校に行ったところから始まりました。それからは決して楽ではなかったです。途中で音楽が苦しくなることや、歌っていても楽しくなかった時期もありました。それでもなお、続けていくこと。自分がやりたいと思ったことに、挑戦してみることがすごく大事だと思います。挑戦した先に失敗があろうと成功があろうと大事なのはそのプロセスかなと。常に自分を探しながら、好きな物を追及していった先に今があると思います。そのきっかけは『アマチュアナイト』でもあって。すごく幸せを感じました。心から楽しんでいる瞬間をようやく見い出せた。自分がそこに辿り着くまで頑張って続けていくことが大事だと思います。

――では自分に素直になることも大事?

 素直になってみるんですけど、自分のことってよく分からないんですよね。だからこそ、素直な自分を見つけるために挑戦をする。挑戦した結果、好みが分かってくる。そうやって自分がやりたいことをやって来れている気がします。

高橋あず美

(おわり)

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