ジェニファーを研究
――『キャッツ』でジェニファーさんが演じたグリザベラの声を担当するにあたって、意識した点は?
すごく研究しました。どうしても、アメリカと日本とでは生まれた時からの環境が違う。ジェニファーさんだったら、幼い頃から教会に行ってゴスペルを聴いたり歌う機会があったりして。それで培ってきた歌声だと思います。日本はそういう文化に馴染みがあまりない。スタートから環境が違っているんです。そのなかで、私なりに精一杯ジェニファーさんを意識し、ソウルやパワーの部分では持っている限りの自分の力を引き出して歌いました。
――苦労した点は?
日本語の発音が、英語の様に聞こえてしまうという部分を指導して頂いたのですが、それが難しかったです。日本語の母音や子音を意識しすぎると、どうしてもソウルの雰囲気が削がれて。日本語の発音と英語の発音は別ものなので、そのバランスをすごく考えました。先生にダメと言われない程度に、ソウルやゴスペルの歌い方の要素を日本語に添えて。やりすぎだったら、押さえてというのをやりました。
――よくセリフのように歌うのが一番難しいと聞きます。
私は、演技をしながら歌うことがすごく楽しかったです。実はミュージカルやミュージカル映画がすごく大好きなんですよ。小さい頃は、ディズニーアニメを観て『リトル・マーメイド』のアリエルになりきって歌ったりとか。実はそういうまねごとの様なものを小さい頃からやっていたんですよね。吹き替えも、演技をしながら歌うのも初めてだったんですけど、演技や表現することが好きと改めて思いましたし、小さい頃に楽しくやっていたことがこういうところで役に立つのは不思議な感じでした。ミュージカルも機会があったらやってみたいです。
――その道のプロの方に聞くと、小さい頃の環境がその道に影響を与えていることが多いのですが、子供の頃の体験は大事?
小さい頃の環境が影響する部分はあると思います。私の話で言うと、生まれ育ったのが乗鞍高原(長野県)という観光地で、催し物があると地元の子供達が合唱団として歌うんですよ。その当時から人前に立って歌っていました。その後も中学では合唱部、高校は軽音部に入って活動していて、何かしら音楽に携わってきました。歌わない時期はなかったんです。やってきて良かったなと思います。ジャンルは違えど、小さい頃から歌うことや、良い音楽を聴くことも大切だと思います。父親が洋楽好きで、ザ・ビートルズやカーペンターズを何気なく聴いていましたが、そういう環境は今思うと有難かったです。今のルーツとしては、ソウルの部分もありますが、いまだにカーペンターズを練習しています。シンプルにナチュラルに歌う練習をするのも大好きです。
――ボーカルについて研究されているんですね。
研究は好きです! 気になる声の人が居たらまず動画を見つけて、歌声をコピーしてみます。オペラやクラシックもやってみたりとか。
――ソウルとオペラとでは発声法が全然違いますね。
個性的な声を持っている人が好きなんです。その人たちをピックアップして、一人一人研究していきます。そうすると、それぞれの歌い方の発見があって、これは自分の歌い方に使えるかもしれないと、取り入れたり。歌に関しては追求することが大好きです。
――歌が好きなんですね。
歌う事、声を出すことが大好きで、今作ではセリフは一言しかなかったけど、その一言に心を込めるもの楽しかったです。