伊藤美来「新しい一面を見てもらえる」歌手での挑戦が音楽にもたらすもの
INTERVIEW

伊藤美来「新しい一面を見てもらえる」歌手での挑戦が音楽にもたらすもの


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年02月15日

読了時間:約11分

緻密なレコーディング

――2020年の最初の作品となる「Plunderer」が完成しましたが、第一印象はいかがでした?

 Plundererという言葉を私は知らなくて、「どんな意味なんだろう?」と調べるところから始まりました。曲を聴いた時は今までリリースさせていただいた曲とは違う、リズムの取り方だったり、新しい挑戦の曲だなと思いました。アニメ『プランダラ』のタイアップがつくことは知っていたので、アニメのオープニングらしい疾走感もあって、すごく難しい曲だと思いました。

――新しいことに挑戦することはお好きですか。

 ドキドキします。レコーディングに向けて練習はたくさんしていきますけど、その場で変わることもたくさんあるので。楽曲の解釈を相談したり、特に「Plunderer」は緻密に一つひとつのフレーズに対して、何回も録り直しました。

――この曲はどのような気持ちで歌おうと思いましたか。

 実はアニメのタイトルと曲のタイトルが同じというのは初めてなんです。なので、より作品に寄り添った楽曲だなと感じたので、作品の世界観を大事にしようと思いました。作品の内容は結構ヘビーなんですけど、オープニングの曲なので、そこはあまり重くならないように、引っ張っていける、冒険に出ることへの高揚感が生まれるような歌を歌いたいなと思いました。

――歌うにあたって一番大変だったところはどこですか。

 全体的に苦戦しています(笑)。しいて挙げるなら最後の<遥かな道>というところです。歌い方の部分なんですけど、どこまで地声でどこからファルセットに切り替えるかというのを相談しました。その中できっちり分けてしまうと<遥かな道>という言葉自体が分かれてしまう、声の切り替わりによる変化をあまり見せたくないということで、ミックスボイスを混ぜながらファルセットに切り替えていくことになって。

――めちゃくちゃテクニカルですね。

 そういうのが多かったんです。結果として遥かなの“な”あたりから徐々にファルセットに変えています。

――声優としての歌い方と、歌手・伊藤美来の時では、声の出し方などに意識は違うのでしょうか。

 声自体、私はあまり変わらない方だとは思うんですけど、意識は変えています。キャラクターソングではなく伊藤美来として歌うことになったとき、「伊藤さんらしく歌って」と話して頂いたんですけど、それまでキャラソンしか歌ってこなかったので、自分らしく歌うのがすごく難しかったんです。

――これは声優さん“あるある”かも知れませんね。歌詞で特に気に入っているフレーズはありますか。

 作品にも寄り添っているけど、作品を知らない人でも共感が出来るところが多い歌詞だと思っていて、2番の<嘘でごまかす 気持ち わかりたくない>というところです。人はごまかしてしまったり、そういうのが当たり前になってしまうことがあると思うんです。それをわかりたくないと言える意思の強さ、自分を貫いていくというのがすごく格好良いなと思いました。その後に続く<運を天まかせには しないよ>というのも良かったです。

――伊藤さんもその精神がありますよね。

 そうであれと思っています(笑)。自分自身に負けず嫌いなところがあって、もうちょっと出来るんじゃないかと思うんです。決められたことをしっかりとやる、自分の中に意地みたいなものもちょっとあるんですけど。それは自分が心配性なので、安心できるまではやる、というところに繋がっているのかも知れません。

――さて、“Plunderer”は略奪という意味なのですが、伊藤さんが略奪したいことってありますか。

 う~ん、料理が上手い人の料理スキルですかね…。私、料理が全くと言っていいほど出来ないんです。出来たらいいなと憧れているんですけど。練習すれば出来るよと言われるんですけど、盛り付けなどセンスも必要だと思うんです。なので料理スキルを略奪したいです。上手く出来るようになったら、ラジオとかで自慢したいです(笑)。

――ほとんど料理はしないとのことですが、最後に作った料理は覚えていますか。

 たぶん、スクランブルエッグです。混ぜるだけ(笑)。

――なるほど(笑)。スキルを略奪できたら作ってみたい料理はありますか。

 ラザニアを作ってみたいです。ラザニアが得意料理だったら、すごそうじゃないですか?

――確かにポイント高いですね! さて「Plunderer」はミュージックビデオ(MV)も公開されていますが、撮影はいかがでしたか。

 『プランダラ』では星がキーワードになっていて、MVでも星をメインとした作品になっていて、今回色んな星が散りばめられているんです。今まではロケが多かったんですけど、スタジオでの撮影は初めてでした。ずっとスタジオに籠っての撮影は新鮮で、新たな挑戦のひとつでした。移動がなかったので体力も消耗せず出来たんですけど、逆に色んな所に行くわけではないので表情とかで見せていかないといけないし、私一人なので見栄え的にも色んな振りを見せないといけないとなというところで、ロケに行くよりも難易度は高かったです。

――DVD付き限定盤にはメイキング映像も付属されますが、見どころは?

 セットがバンバン切り替わっていくところが見どころです。ロケではなかなかそういったことはないので、私も観ていて面白かったです。

――ナチュラルな伊藤さんも見れますよね?

 そうですね。曲が格好良いので撮影中はクールな感じなんですけど、それ以外は結構ヘラヘラしているかも知れません(笑)。そのギャップも楽しんでもらえたらと思います。

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