伊藤万理華、乃木坂46卒業後2年は「試練だった」今だから話せる苦悩と葛藤
INTERVIEW

伊藤万理華、乃木坂46卒業後2年は「試練だった」今だから話せる苦悩と葛藤


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年01月25日

読了時間:約10分

展覧会を開いて気づけた「私自身」

――アートが好きなのは親の影響は大きい?

 最初は漫画が好きで漫画の画を真似して描いていました。両親の影響も大きいけど自分でやっていったのでそれも大きいと思います。乃木坂46に入って「武器」を探さないといけないと思いました。人数も多い中で見つけたのは絵を描くことでした。でも絵が上手な子は多いし、描く絵の種類も様々で、自然と「このジャンルはこの子、あのジャンルはこの子」とどんどん決まっていって、気付けば「あ、取られた…」って(笑)。「その他にないな」と思った時に、服が好きだったのでブログで私服を紹介しようと。それから積極的にブログで発信しました。でも何かしら独自のことをしないと埋もれちゃう世界だから…。だから必死で探していました。でも私は専門家でもないし、ファッション誌レギュラーモデルでもない。そのなかで自分ができることを突き進めていこうと思いました。

――乃木坂46に入っていなかったらその表現方法はなかった?

 もともとファッション業界には憧れていたので、乃木坂46に入っていなくてもやっていたと思います。きっと、昔からやっていたバレエはその後も続けて、ある時期でバレリーナかな? ファッションデザイナーかな? と考えていたと思います。

――前回の展覧会は?

 当時は「卒業を機に展覧会を開いた」という形でしたが、実は今後の進路を迷っているときに、パルコさんからお話を頂いたんです。準備を進めていくなかで「やっとここで6年間の有終の美が飾れるな」と卒業するに相応しい展覧会になる、区切りになると思いました。それで「卒業」ということをテーマにして。

――実際にやってみてどうでしたか?

 すごく大変でしたけど、充実感はありました。やっぱり初期衝動でやったことは一生に残ると思います。周りを困らせたりしましたけど、自分がやりたいことや皆さんとやりたいことを形にできたことに対して、その行動力を褒めたい(笑)。

――気づけたところありました?

 こうした活動を専門にしていく、ということではないことが前提にあるのですが、自分が何かを思った時に吐き出す方法や皆と共有したいと思った時に出来ることは、私の場合はこうした展覧会で表現することなのかなと思いました。それと、一緒に関わっているクリエイターさんと新しいものが生み出す場でもあるなと。お芝居や舞台は台本があって演出もあって監督や演出家が求めているものに応えるという作業。でも展覧会などは自分が生み出す空間。2年前にできたこと、それに気づけたことは凄く良かったと思います。それと。やってみてアーティストの感覚が分かったというか。歌を自分で作って歌う人の思考というか。溜まった感情をこうした作品で消化していくことを実感できました。

――自分が表現したいものと、相手に分かってもらいたいものの両方?

 その両方です。自分のことを知ってほしい、分かってほしい、でも分かってもらわなくてもいいというか。自分がこういう人間で、こういうことをしたくて、こういうことを生み出しました、見てください、知ってほしいです。でも興味がなかったら見てももらわなくてもいいです、と。自分だけのことを伝えたい、ということだけでは絶対に成立しなくて、これを見たことによって自分と同い年ぐらいの子が何を思うのか。私自身も展覧会や展覧会に影響を受けてきた人間だから、見て何か思ってほしいという気持ちがあります。「気付いてほしい」ではなくて、いろんな過程があってここで消化して、それで作品にしているんだ、で良いと思う。私のような作品ではなく言葉で消化できる人もいますし、そうではない“表現”のジャンルを見て受け止めてもらえたらいいと思います。

 そもそも展覧会は、軸となるテーマがないとやろうとは思えなくて。前回は「卒業」というのが軸にありましたし。今回は「HOMESICK」というタイトルを付けたのですが、卒業して1年半ぐらいが経った時に「よし、展覧会をやろう!」と思ってから決めたタイトルで、私の中で何を一番に思ったのか、私が消化できるものは何か、伝えたいものは何かと思った時に浮かんだのがこの言葉で、人と人とのコミュニケーション、家族や友達、人との関わりを軸に考えて。

――家が恋しいわけではなくて?

 そういう捉えた方をしてもいいですし、そうではない捉え方もしていいと思っています。私がなんでこういうタイトルにしたのかは作品を見られたら分かると思います。

伊藤万理華

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