Da-iCE花村想太「人間性が上がれば音楽性も上がる」バンドNatural Lag始動
INTERVIEW

Da-iCE花村想太「人間性が上がれば音楽性も上がる」バンドNatural Lag始動


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年01月22日

読了時間:約12分

“Lag”が中核の本作

花村想太

――本作は作詞作曲全て花村さんですね。制作はどのように進むのでしょうか。

 制作は曲が先なんです。ピアノの前に座って、好きなコード進行を使ってそれに合わせてメロディを作ります。アレンジが決まった段階か1番くらいまで作ってその場で歌詞を書いて歌うといった感じです。

――歌詞はどういった着想で書くのでしょうか。

 “Lag”をテーマに書いています。例えば、「蜃気楼」の<遠くで見つめるその横顔 手の届く距離にいるのは誰だ>という部分だと、男の人から見た女の子って、好きだから全てが特別に見えちゃうんです。視点が重なってあざとい表情のように見えるけど、実際向こうはただ友達と喋っているだけだし、目が合っただけでも、好きな人から見る自分と、他人から見る自分のLagだったりとか。

――そこが蜃気楼のような?

 <想いの差で現れる 君は蜃気楼>の“蜃気楼”という言葉は、相手を好きという想いの強さと向こうは冷めている高低差で蜃気楼が見えている、ということなんです。10代後半から20代前半の恋愛を書きたいと思って書いています。その年代の人達は知っている言葉の意味をそんなに深く考えずに使うところもあるかもしれないと思うんです。だから蜃気楼という言葉の、“幻”とか“幻想的”というところだけを切り取って自分の語彙力に組み込んで歌詞にしちゃうというイメージで。蜃気楼という言葉を辞書で引くと、熱の高低差で現れる現象、下にあるものが上に浮いて見えるという現象でもあるんです。先入観を歌詞にしちゃうところがLagなのかなと思って、あえて入れてみたんです。

――Lagというテーマは「ファイティング・ソング」にもある?

 これもそうです。同じ友達でも時間が経つにつれてその関係性が変わっていくことを表現したくて。小さい頃はいつも一緒にいることが当たり前だったけど、大人になるにつれて会うのはたまにという風になって、「当たり前」のLagが生じるけど友達は友達という。同じ人でも時間が変われば関係にLagができるというのをテーマに書きました。

――確かに友達関係は時間とともにLagが生じますね。

 一生、何があってもLagは出てくるものだと思うんです。嫌なこともたくさんあるけど…これは上司に凄く怒られている曲なんです。でも、大嫌いな上司をも幸せにできれば、世界を平和にできるんじゃないか、という曲です。

――身近な嫌いな人を幸せにすればそれが広がる、という感じでしょうか?

 それが全世界に普及すれば世界平和に繋がるというイメージです。目の前の嫌いな人を好きにさせることができれば嫌なことが忘れられるわけですから。<ほら clap clap clap 叩くほど忘れてく嫌なこと>と歌詞にありますけど、どこかの国のトップの人も好きになってもらってclapさせれば世界は平和になるのかなって(笑)。

――確かにそうですね(笑)。それが普及すればみんなハッピーになると思います。

 それぞれの人生で嫌な人には必ず出会うと思うので、その人にこの曲を聴いてもらえれば世界平和に繋がるんじゃないかなって。

――身近な人を幸せにすればそれが広がって、という想いは素敵ですね。

 ちょっとしたことで身近な人が幸せになればその人は良い気分になって、その人のまわりの人もまた触発されてテンション上がって幸せになると。そういう意味でも人の繋がりは大事だと思うんです。

――「無愛想なベル」にもLagというテーマが含まれている?

 これは“ベル”に対する意識が変わっていくんです。「無愛想なベル」って僕のイメージだと東京に行く新幹線のベルの音で、最初に聴いた時はそっけない音だったんです。でも、このベルが鳴っている場所でずっと生活ができていたことは凄く特別というか。新大阪のベルが鳴っている土地にずっといられるのは、家族と友達と一緒にずっといられるということなので、東京に出てきたりして初めて「あの場所が特別だったんだ」ということに気づくんです。同じベルの音を聴いているはずなのに、夢を叶えて新大阪に帰った時はそのベルの音が祝福の音に聴こえるんじゃないかなというLagです。

 歌詞の<涙の意味が変わるまで>というのも、出発した時の涙と帰ってきた時の涙は変わると思うので、今泣いている悔し涙も成功すれば「あの時の悔し涙があったから今がある」と、悔し涙さえもあの時流しておいて良かったという意味に変わっていくので、そのLagもあるんです。

――Lagというコンセプトが様々な形で表されていますね。「愛と恋」では?

 これは自分と相手の恋愛観が違うというLagです。“愛”と“恋”って、言葉的には凄く似ていて、わからない人には違いがわからないLagだと思うんです。「愛してほしい」というのと「恋してほしい」というのは明らかに違うと思うんです。主人公は女性なんですけど、この女性から見た男性は愛してるんですけど、男性から見た女性は「ただ恋しているだけだった」というLagを書きたくて。でもこの人は愛してほしかったという意味で使っているんです。

――それを聞いてから歌詞を見るとまた広がります。この曲は今作で唯一バラード調ですね。

 けっこう許されない恋愛とかをイメージして書いたんですけど、いつか終わってしまう恋は、男性側が「恋」として考えてしまうじゃないですか? 砂時計みたいなのがあって、砂が落ちていくのを女の人も感じると思うんです。「もうすぐこの人はいなくなる。この恋は終わってしまう」と。でも、終わるのがわかっているからこそ、本当は今別れたら傷が浅くて済むのに「もう少しだけ一緒にいたい」という気持ちになってしまうというのを書こうと思いました。

――制限時間があると切ないけど燃えるところでもありますね。最後の<愛さないで>というのは裏返しの気持ちでもある?

 そうなんです。やっぱり愛されると愛してしまうから。私のことを愛さないでというのは多分そういう意味なのかなと思って書きました。あと、この曲だけ歌詞と同時に書きました。メロディを歌っていたらそのまま歌詞がついてきて、1番はまるまる同時に出てきたんです。ピアノを弾いていて気持ち良い感じで歌っていて、フリースタイルで作ったというか。

――ナチュラルに出てきたのですね。

 NaturalにLagって出来ました(笑)。

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