ブリキの木こりと自分自身がリンク
――さて、2曲目の「統治せよ支配せよ」は古川さんのお好きなアフォリズムなんですか。
仰る通りアフォリズムではあるんですけど、これは僕のオリジナルなんです。「統治せよ支配せよ、汝の魂の主たれ」みたいな格言を考えまして。僕のケータイのメモ帳にはこういう格言だらけで、今回はこの言葉を使いたいと思いました。
――オリジナルのアフォリズムだったんですね。臆病ライオンとこの言葉がリンクされて。
そうなんです。歌詞を書いてる中で他人を統治、支配するのはつまらないと思って、自分をコントロールするというのは面白いなあと思いました。その時ちょうどM・ナイト・シャマラン監督の『ミスター・ガラス』という映画を観ていて、その中でmastermind(首謀者)という言葉が出てきたんです。それで、自分をmastermindしたら面白いなと思いました。そこと、臆病ライオンが勇気を持ちたい、というイメージが合致して、自分自身を鼓舞するようなハードなサウンドにしました。
――自分自身を支配する、すごく良いですね。さて、4曲目の「ばらの蕾」はバラードですが、なぜ「ばら」を平仮名表記にされたのでしょうか。
シンプルに優しいイメージにしたかったんです。漢字やカタカナではやはりこの曲のイメージとは違うなと。あと、薔薇という字を見ただけで、赤色を想像してしまう自分がいました。蕾なのでまだ赤いかどうかもわからない、というのもあって平仮名にしました。でも、歌詞は血液を連想して書いたんですけど。
――血液ですか? ブリキの木こりの曲だとオイルというイメージもありますが。
過去に、ブリキの木こりの曲「ブリキマン」という曲を書いたことがありました。それもあって、同じテーマだし、今回のシングルに入れなくても良いかなと思っていたんです。でも、ポリープが出来てしまって、CDリリースが伸びてしまったので、やっぱり新しいブリキの木こりの曲を入れたいと思いました。
――自分とブリキの木こりを重ねて?
ドロシーと会うまで、雨の中動けないブリキの木こりと、ポリープが出来た自分がすごくリンクしました。その時の自分も歌えなくて苦しくて...。そこで自分を錆させてしまったものはなんだろうと考えたら、それは血液だと思いました。医者から聞いたのですが、血が溜まってポリープが出来るんです。治すのも血液の流れを良くしなければいけない。なので、薔薇には赤というイメージの他にも、血液のイメージもありました。
――すごくご自身とリンクされたんですね。ちなみに過去に作った「ブリキマン」はどのような曲だったんですか。
これも「ばらと蕾」と同じように切ない曲でした。歌詞を見返してみたら、やっぱり血のことを歌っていたので、ブリキの木こりへの印象は同じだったんだなと思いました。
――「ばらの蕾」は古川さんにとって重要な1曲なんですね。さて、ツアーが始まりますがどのようなライブにしたいと思っていますか。
前回のインタビューで、自分を鼓舞するつもりで世界一カッコいいライブをやるとお話したんですけど、もちろんその気持ちは持ちつつ、休養して新たに思ったことがあって、それはもっと自然に歌いたいという欲が出てきました。なので、ライブの日を迎えるまでは世界一カッコいいライブをという気持ちで、当日は包み隠さず自然に歌って、来てくれたお客さんたちと心地良い空間を作れたらなと思っていますので、是非遊びに来て下さい。
(おわり)