ロックバンドの04 Limited Sazabysが9月29日、さいたまスーパーアリーナで単独公演『YON EXPO』をおこなった。YON EXPO会場に隣接する巨大スペースには様々なエンターテインメントが楽しめるエリア “YON PAVILION” が登場し、フードエリアにはRYU-TA(Gt/Cho)プロデュースの“麺や おがた”も出店。ライブ前にも数々の楽しみ方ができるイベントで賑わいを見せていた。そしてライブでは全28曲が軽快なテンポ感で展開され、燃え盛るようなエネルギーのフォーリミのパフォーマンスに会場は終始熱気に包まれていた。【取材=平吉賢治】

テンポ感抜群のライブでオーディエンスを圧倒

(撮影=ヤオタケシ)

 ライブ開始前、スクリーンには『YON EXPO』開催までのフォーリミの想いがドラマ仕立てでスクリーンに映し出された。この日のワンマンライブに向けてのメンバーの心模様、真剣な想いが、ときに挟まれるコミカルな描写と共に表されると、ライブ開始前にしてオーディエンスは歓喜の渦に包まれた。

 映像が終わると鋭いギターフレーズが鳴り響き「Now here, No where」からライブスタート。ステージ前方に覆われた幕に歌詞が映し出され、フォーリミのメッセージが視覚化された。そして曲中に幕が上がると、それまでアンバーな色の照明のみだった会場に一気にきらびやかな光が四方八方へ煌々と広がった。「もっと高く!」というGEN(Vo/Ba)の声高らかな煽りを受けたオーディエンスは、大歓声と満場一致の力強い挙手でエネルギッシュなレスポンスを見せた。

 マシンガンのようなスネア連打と印象的な旋律のギターリフの掛け合いが光る「Kitchen」まで立て続けに3曲が披露され、フォーリミのライブの初動の熱は一気に会場中に充満した。

 MCでGEN(Vo/Ba)は「この人数の人々が俺達のためだけに集まっていると思うと責任も感じます。今日はちゃんと責任をとってみなさんのことを幸せにするのでついてきてください!」と、頼もしい言葉をオーディエンスへ伝えた。そして「今日は9月発売の『SEED』からのレコ発もかねているので、そのなかから1曲やってもいいでしょうか!」と、「SEED」収録曲の「Cycle」へと繋げた。

 フォーリミのライブはMCもそうだが、ライブ展開のテンポ感がとにかく抜群だ。曲間はほぼ繋げて進行し、オーディエンスとの呼吸がバッチリとシンクロしているような空気を肌で感じることができた。

 「Cycle」から繋がれた「message」ではKOUHEI(Dr/Cho)の高速ビートに乗るエモ・パンクなハードコアサウンドに圧倒される。アリーナ席ではあらゆる位置でサークルモッシュやクラウドサーフが巻き起こり、ライブの熱気を如実に表していた。軽快なビートとポップセンスが光るナンバーだけではなく、ダークネスなライティングやギターリフ、コード進行と、様々なサウンドテイストでライブを彩らせ、ステージ前面で炎が燃え盛る演出や乱反射するレーザービームなど、あらゆる角度からオーディエンスの心を引きつけ、ホールを震撼させた。

 そして中盤、RYU-TA(Gt/Cho)プロデュースのラーメン屋“麺や おがた”の小芝居的な演出をはさみ、会場の和やかな笑いも誘った。ラーメンを岐阜県からさいたまスーパーアリーナまでRYU-TA 扮する“麺や おがた”が300kmという道のりを徒歩で、自転車で、懸命に出前をライブに間に合わせようとするこの演出は、一旦「断念か」と思わせるタイミングで一区切り。そして、最終的にはタクシーで会場に到着(人力での300km出前は早々に諦めたもよう)し、ライブ後半でRYU-TAがライブ中のステージに到着するも岡持ちには割り箸しか入っていないというまさかのオチで幕閉じとなった。ちなみに会場到着時のBGMは“麺や おがた”歌唱によるZARD「負けないで」――。

「普段しないことをしたい」変形編成でのアコースティックコーナーも披露

(撮影=ヤオタケシ)

 ライブのテンションは上がり続け、中盤以降も絶好のペースで疾走。美しいビジュアルアートをバックに弾ける「midnight cruising」でのバンドアンサンブル、シャッフルビートでグルーヴに変化を見せた「me?」と、フォーリミはけたたましくもフレッシュなエネルギーを会場中に浴びせ続ける。

 そして、GENは「普段しないことをしたい」ということで、担当楽器のベースを置いてのハンドマイク歌唱を提案するとオーディエンスからは大歓迎の声が上がった。ライブはアコースティックコーナーへと突入。まずはRYU-TAとKOUHEI、GENとHIROKAZの2組に分かれ、アリーナの通路を歩きながら「labyrinth」を披露した。そのままアリーナ中央の特設ステージで合流し、RYU-TAはベースを、KOUHEIはパーカッション、HIROKAZはアコースティックギターという編成で「hello」「shine」をややリラックスモードで演奏。GENのハイトーンボーカルが伸びやかに広がるこのコーナーでは、オーディエンスは手元で各々ライトを光らせ、会場は銀河のような幻想的空間と化していた。

 アコースティック・コーナーを終えメインステージに戻ったメンバーは「Utopia」のバンドサウンドで再び会場に熱気を浴びせた。HIROKAZ&RYU-TAの重厚なギターアンサンブルに、圧倒的な手数・速度の激しいドラミングを見せるKOUHEI、そしてベースラインを走らせながら情熱的に歌い飛ばすGENと、“04 Limited Sazabys”というどこまでも膨張するエネルギー体は灼熱のステージングでライブを突っ走らせた。

「涙あり笑いありの僕ららしいライブ」

【撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)】

 GENはMCで改めて「この4人でステージに立って、こんなにたくさんの人が一緒にライブをしてくれることを本当に幸せに思います。いつも力をもらっています」と、オーディエンスへ感謝の想いを朗らかな表情で伝えた。「フォーリミの曲を聴いたときにあの瞬間を思い出せるなとか、みなさんの思い出と一緒に俺達の音楽がみなさんの人生のサントラになったらいいなと思っています」と、このライブの瞬間をオーディエンスと共有できる喜びを言葉にした。

 そして、「大切な曲なのであまりやらないんですけど、この曲をお聴きください」と紹介し「Horizon」へ――。その後も絶妙な曲の繋ぎ方で「Puzzle」へと進め、GENのノスタルジックなボーカルメロディが会場に心地良く漂った。怒濤の勢いで最高潮のテンションをキープしつつ「Feel」、そして最終曲「monolith」まで完走し、全力疾走感溢れるライブ本編は幕を閉じた。

 アンコールを前にGENは「夢みたいな現実、こんな良い場所に自分達のために集まってくれている人達の前で歌えるのが本当に幸せです」と、この日の素晴らしいワンマンライブに対しての想いをオーディエンスへ向け、真っ直ぐな声と表情でストレートに伝えた。そして、「ワンマンのアンコールでしか歌わない曲」という楽曲を含んだ3曲のアンコールに応え、『YON EXPO』公演は大盛況でフィニッシュとなった。

 最後にフォーリミは「涙あり笑いありの僕ららしいライブだったと思います」という言葉で締めくくった。正にその言葉通り、フォーリミらしいストレートなサウンドの楽曲からアコースティック・コーナーに各種会場演出、芝居仕立てのパフォーマンスにビジュアルアートと、04 Limited Sazabys の“生きた感覚”をエネルギッシュに受け止められるライブだった。

セットリスト

『YON EXPO』
2019年9月29日@さいたまスーパーアリーナ

01. Now here, No where
02. Warp
03. Kitchen
04. Cycle
05. message
06. My HERO
07. fiction
08. Montage
09. Chicken race
10. midnight cruising
11. Galapagos
12. me?
13. swim
14. labyrinth
15. hello
16. shine
17. Utopia
18. Alien
19. discord
20. Horizon
21. Puzzle
22. Letter
23. milk
24. Feel
25. monolith

ENCORE

En1. Squall
En2. Remember
En3. Give me

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