the pillows・山中さわお「想像を上回った」結成30周年記念映画は人との縁
INTERVIEW

the pillows・山中さわお「想像を上回った」結成30周年記念映画は人との縁


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年09月13日

読了時間:約15分

 ロックバンドのthe pillowsが9月13日、結成30周年企画として制作した映画『王様になれ』が公開(シネマート新宿から順次全国公開)される。また、9月4日には『王様になれ』オリジナルサウンドトラック&『REBROADCAST TOUR』最終公演を完全収録したLive Blu-ray&DVD『LIFE IS ONLY ONCE 2019.3.17 at Zepp Tokyo “REBROADCAST TOUR”』を同時発売。『王様になれ』は、山中さわお(Vo&Gt)が自身の体験を元にした原案を俳優であり舞台演出家のオクイシュージが監督。俳優の岡本天音が主演する。ライブシーンを多く入れたかったという山中の意向でGLAYのメンバーやストレイテナーなど豪華メンバーがthe pillowsの曲をカバー。「自分らしく幸せになろうよ」という想いが込められているという今作。本人役として出演した山中に話を聞いた。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】

映画制作の経緯

the pillows・山中さわお

――映画の原案は山中さんですが、どのように創作を進めましたか?

 15、20、25周年と、アニヴァーサリーには普段やらない企画をやってきたんです。「30周年に何かやりませんか?」というスタッフからの提案で考えたんですけど、もう普通のことはやりつくしていて。そうすると普通はドキュメンタリーじゃないですか? でも、それは15周年のときに一度作ったことがありまして。

――それで今回はオリジナル原案を?

 どんな方法があるかと思ったときに、ちゃんと俳優さんがお芝居をする、オリジナルストーリーの映画を作ることを思いついたんです。単純に俳優さんがthe pillows役をやると、映画『ボヘミアン・ラプソディ』的なものになるんです。それはちょっと違うなと思って考えました…主人公がthe pillowsを好きになって、彼の行動によりthe pillowsも含めた色んなロックバンドのライブシーンもできるだろうと。

――今作ではthe pillowsや色んなバンドが本人役で出演されていますね。

 そうです。それで主人公がどう僕と接点を持つのかと考えたとき、自分の経験上、無名でも内容が良かったから採用して、そこから付き合いが始まったのはデザイナーかカメラマンかという二択だったんです。

――それで岡山天音さん演じる主人公はカメラマン役を?

 デザイナーだと絵的に難しいかなと。カメラマンは仕事自体で僕と絡んでいる画が撮れるから、そう絞り込みました。基本的には自分が経験したことしか思いつかないので、主人公のバイト先であるラーメン屋さんを拠点として、色んなミュージシャンと偶然出会ったり。実際に僕が使っているレコーディングスタジオでも毎回同じ蕎麦屋さんに行くんです。そこで実際にバイトをしていれば僕と会うだろうとか、それは実際に起きたことなので不自然ではないと考えたんです。そこからスタートしました。

――山中さんの実体験が含まれた原案なのですね。

 そうです。だから、もう一話映画を作ろうとなっても出来ないかもしれません(笑)。

――全力投球の映画作品ですね。

 監督のオクイシュージさんが脚本を整えてくださって。僕の物語ではヒロインのゆかりは、単にthe pillowsの存在を主人公の祐介に教えるという役でちょっとしか出てきません。でもドラマが起きなければならないので、そこは色々とオクイさんが考えてくれました。

――山中さんのシーンも?

ラーメン屋でネギ抜きと僕がオーダーしたのにネギ入りが出てきてケンカしたりとか。

――あのシーンは迫真の演技でしたね。

 あのシーンは僕の原案にありました。あれは僕、人生で200回くらいあるんですよ(笑)。経験のことなので演技ではないんです。

――確かに凄く自然な演技でした(笑)。

 ただ、あんな風に気づいても押し付けてくる店員さんはいませんけどね(笑)。すぐに作り直してくれます。実際は、作り直してくれなくてただネギを取ったものを出されても泣き寝入りですよ。悲しい気持ちで食べます。

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