渕上舞「歌で人の感情を動かすのはすごいこと」歌手活動通して感じた成長
INTERVIEW

渕上舞「歌で人の感情を動かすのはすごいこと」歌手活動通して感じた成長


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年08月31日

読了時間:約12分

何年後かに今の光景を思い出す

――カップリングの1曲「君色夏模様」は、アコースティック調でゆったりとした温かい雰囲気のナンバーです。夕暮れ時を想像させるラブソングですね。

 空がオレンジに染まった海辺でカップルが肩を寄せ合いながら、今日楽しかったことを語り合っているような、すごく分かりやすいシチュエーションで温かい空気感の曲になりました。

――作詞は六ツ見純代さんが担当されていますね。

 六ツ見さんは、『プリキュア』シリーズの曲や、以前リリースしたコンピレーションアルバムの『KΛNΛTΛ キャラクターアルバム「~TRΛNSMISSION~」』で作詞を担当していただいたことがあって。その時から、とても可愛らしい世界観の言葉を選んで物語を作っていく方という印象で、それ以降もふと耳に留まった曲が六ツ見さんの作詞だったということが何度もあって。いつかお願いしたいと思っていました。だから今回タイミングが合ってお願いすることができて、とても嬉しかったです。

――<誰の「イイね」もいらないくらい>とか、Instagramなど直接的な言葉を使わず、今っぽさを表現しているところがいいですね。

 そこは、私もすごく好きなところです。私自身も、これまでもたくさん作詞をさせていただいていますが、こういった時代を反映する言葉は使ったことがなくて。改めてこういうのもいいなと思いました。今っぽくて可愛いのはもちろんですけど、10年後くらいはもしかすると「イイね」を押すこともなくなっているかもしれなくて、そんな時に「こういう時代もあったね」って振り返られると言うか。昔、「ポケベルが鳴らなくて」という曲があったじゃないですか。

――ありました。国武万里さんが歌った1993年の曲ですね。

 曲でその時代の思い出が甦るのは、すごくいいですよね。きっと何年後かにライブなどで「君色夏模様」を歌ったときは、今の光景が思い出されるんだと思います。それに曲の主人公たちは、きっと夕焼けのインスタ映えするような写真をいっぱい撮ったんだろうなって、<「イイね」>という言葉だけでいろいろ想像できると思ったので、すてきな歌詞だなと。

――こういう淡い感じの歌詞の世界観は憧れますか?

 とても憧れます。最初は、この曲も自分で作詞をする予定で、大好きなあなたが明日突然いなくなったとしても、私は今まで通りの日常を送っていくだろう…という感じの歌詞を書こうと思っていて。よく女性は過去の恋愛の上に新しい恋愛を上書き保存するけど、男性はフォルダに名前を付けて保存すると言うじゃないですか。そういう内容にしようと思っていたんです。

――それも聴きたかったですが。

 それは次の機会にとっておきます…今回は「Love Summer!」の次に流れる曲なので、やっぱり六ツ見さんの歌詞がすごく合っていて、この歌詞で良かったです。それに「Love Summer!」であれだけ楽しく遊んでおいて、相手がいなくなっちゃうのは悲しすぎるじゃないですか。

――そして3曲目の「Dive Into Emotion」はEDMのダンスチューンで、夜まで遊び尽くすと。

 それこそ前回のミニアルバムの『BLACK CAT』が、近い空気感なのかなと思います。夏の夜なので、クラブ感やナイトプールでハジけるような、非現実的な空間を表現できたらいいなと思いつつ、小悪魔感もエッセンスとして加えられたらいいなというところがあって。それで、1stアルバム『Fly High Myway!』に収録の「アイTACTICS」で小悪魔感満載の歌詞を書いてくださった結城アイラさんに作詞をお願いしました。

――歌詞に<ユニコーンの背に乗って>と出てきて、ユニコーンの浮き輪というのはいかにもナイトプールにありそうですよね。

 ありますよね。フラミンゴとか、人魚姫みたいな貝殻とか。ナイトプールってそういうイメージがあるじゃないですか。そういう景色も浮かんでくる歌詞です。

 アイラさんには、ソロデビュー当時に、可愛いだけじゃなく、アニメやキャラソンの仕事ではなかなか歌えないような、恋愛と言うよりは大人の遊び感がある曲をソロでやっていきたいと話をしていて。それを踏まえて書いてくださったと思います。

――「BLACK CAT」のライブではダンスをしていました。今回の「Dive Into Emotion」も、ライブで歌う時はダンスするイメージですか?

 そうですね。曲や歌詞の構成としてはとてもシンプルな作りになっているので、その分間奏やアウトロにコーラスを厚めに入れていただいたり、曲として聴いてノれるものになっています。サンプリングされた私の声がコラージュされていたり、歌自体にも加工が施されていて。ここまで声で遊んだものはなかったので、新しい世界観になったなって思います。

――夏っぽさとデジタルの近未来感があいまって、不思議な浮遊感がありますね。レコーディングのほうはどうでしたか。

 レコーディング自体は通常と同じ流れで、あとで加工してもらっています。メロディも決して難しいものではなかったので、とてもスムースでした。その分メロディが、すごくクセになるんですよね。一度聴くと、ずっと頭の中でグルグルして思わず口ずさんでしまいます。そんな曲になっていますので、気に入っていただけるとうれしいです。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事