ロックバンドのGLAYが17日と18日、埼玉・メットライフドームでワンマンライブ『GLAY 25th Anniversary “LIVE DEMOCRACY”』を開催した。今回のライブコンセプトは17日を“良いGLAY”、18日を“悪いGLAY”と題し、初日は爽やかなロックナンバーでセットリストが組まれ、翌日は意外性のある曲目・演出の“悪いGLAY”というスタイルで披露された。替え玉演出から始まった18日の公演は、同曲3連続演奏にゲスト・MISIAの登場、投票ワースト3楽曲演奏にダーク・クールなパフォーマンス、そしてほっこり酒場演劇と、多種多様な“悪いGLAY”を堪能させてくれた。18日の模様を以下にレポートする【取材=平吉賢治】

替え玉演出にまさかの同曲3連発

TERU(撮影=橋本塁)

 “悪いGLAY”というコンセプトのこの日、いかなるセットリストと演出で“悪さ”を含んだショーが展開されるのか――。そう期待に胸を膨らませていると、ステージから伸びる花道の真ん中、ちょうどドームの中央位置にあたる部分にバルーン状のものが膨らんでいた。

 爆発音と共に弾けたバルーンと「誘惑」のイントロのサウンド。そして現れたGLAYの4人、ではなく、“ダミーメンバー”らの登場というサプライズ演出。出だしから“悪いGLAY”を見せてくれたかと思うと、TERUのシャウトと共にメインステージに姿を現したGLAYメンバーは灼熱のテンションと火炎演出のなか、「FATSOUNDS」を披露。演奏半ばからはTERU・TAKUROペアとHISASHI・JIROに分かれ、ワゴンに乗ってアリーナをゆっくり一周し、全ての角度から演奏する姿を見せてくれた。

 “悪いGLAY”どころかサービス精神満載の“良いGLAY”ではないかと思いきや、次曲もその次も「FATSOUNDS」と、しかも日本語・韓国語・アラビア語の3バージョンというまさかのセットリストでオーディエンスを驚かせた。

 曲間ではHISASHIが「GLAYの闇営業にようこそ!」と、TERUは「お前ら、気に入らねえんだよ!」と毒づくも、やはりどこか優しさがにじみ出ていたのが何ともGLAYらしかった。前代未聞の同曲3連発を経て、JIROがステージセンターで荒ぶりを見せてからの「SHUTTER SPEEDSのテーマ」、そして「BURST」と、アップテンポの楽曲でライブを走らせTERUとTAKUROが肩を寄せ合いつつのプレイを見せるなど、熱いステージを展開させた。

サプライズゲストにMISIA登場

 “悪いGLAY”というコンセプトはここまでの流れで納得の演出。ドームは爽やかな青の照明に包まれ、GLAYは花道から中央ステージへ向かい、8Beatが輝かしく刻まれる「はじまりのうた」へ。太陽のようなTERUの歌声と、頼もしく逞しいトーンのTAKUROのギターソロがドームいっぱいに広がった。イントロで大歓声が沸いた「TWO BELL SILENCE」ではTAKURO&HISASHIのツインギターソロが美しく、鋭く鳴り響く。

 「シキナ」ではTERUは黒のアコースティックギターを構えてメロディアスなボーカルを披露し、夏満載の暑さのドームにシャワーのような清涼感を浴びせた。そしてTERUは「僕らの仲間を紹介したいと思います」と、白いドレスを身に纏ったMISIAをステージに招き入れる。MISIAは「白い衣装を着てきたけどBad・MISIAのつもり」と、この日のライブ・コンセプトにノリノリの様子だった。TERUは改めてMISIAを「闇MISIA!」と紹介した。

MISIA(撮影=岡田裕介)

 GLAYとMISIAによる「YOUR SONG」のコラボは迫力・熱量満点。1バースずつ歌い交わし、サビでは2人のハーモニーと豪華な歌唱を披露した。そしてTERUとMISIAは手を取り合いメインステージへ。1曲限りだったが日本を代表するロックバンドと歌姫のスペシャルコラボを終え、TERUの「休憩!」のコール。“悪いGLAY”公演、ちょいちょい優しさを挟むのがGLAYらしくもあり、また嬉しい気遣いだった。

ファン投票“ワースト3”のライブ披露

TERU(撮影=橋本塁)

 さて、更なる“悪い”演出を繰り広げるGLAY。「メットライフドームで聴きたい曲ベスト3」が披露された1日目は“良いGLAY”。2日目は“悪いGLAY”ということで、ワースト3の曲「SMILE」「Time for Christmas」「WHY DON’T WE MAKE YOU HAPPY」が披露された。

 「Time for Christmas」は季節外れの楽曲ながらも、JIROがサンタ帽をかぶっての真剣プレイがオーディエンスの笑いを誘う。よく見るとJIROの周りだけ雪が降っているという小技演出も光り、大いに楽しませてくれる。ワースト3曲を演奏した後TERUは「清き一票をありがとうございました!」と、本演出協力への謝辞を高らかに伝えた。

 「まだまだ“悪いGLAY”は続きますので、この曲でもっともっとみなさんの悪い部分を引き出していきたいと思います…」と、TERUは“悪い”姿勢をブレさせることなく、「JUST FINE」の曲名をシャウト。本日のコンセプトにピッタリなダーク・クールな雰囲気のギターリフから始まり、オーディエンスが手首に装着するライトが輝かしい光を放ち、ドームを照らした。そして、「まだまだピークは先にあるだろう!」と叫ぶTERUと「ピーク果てしなく ソウル限りなく」の熱い演奏、客席で跳ねるバルーン、アンセムのように響き渡るオーディエンスのコールと、ライブの熱気は最高潮に達した。

 ヘヴィなリフの「coyote, colored darkness」に、刺激的なビートの「彼女の“Modern…”」と、最高潮のテンションからの怒涛の展開にメットライフドームは燃え盛る。最終曲「XYZ」まで、様々な“悪いGLAY”の演出とパフォーマンス、TERUの熱き歌唱とコールで焚きつけられた熱気を蒸発させるように、「みんな愛してるぜ!」と、天高らかに叫ぶTERUのシャウトで本編は幕を閉じた。

「一緒に夢を見て行こうぜ!」

“悪いGLAY”(撮影=橋本塁)

 熱いアンコールに応えたGLAYはここで“酒場放浪記”と題した楽しげな演出を見せた。

 ステージには屋台が設置され、TERU以外のメンバーはそこでジョッキを片手にリラックスムード。TERUはギターケースを抱えて登場。オーディエンスからの笑いが漏れっぱなしのなか、TERUはおもむろにアコースティックギターを取り出し、ギターケースを開いて前に置くというストリートミュージシャン・スタイルだ。

 アンコール1曲目は、そんな芝居仕立てのなかで披露される「HOWEVER」のTERU弾き語りバージョン。TERUの哀愁漂う歌唱に魅せられた屋台のお客さん(メンバー)が投げ銭をしてTERUが「あざっす!」と言い、二千円と硬貨一枚をゲットしたシーンは爆笑ものだった。

 そして、TERUの「Toshi!」というサポートドラマーのコールと共にスネアのフィルインで始まる「誘惑」へ。今度はダミーメンバーではなく、GLAYのガチ演奏だ。サビはオーディエンスとの掛け合い、ラストのサビはオーディエンスの合唱という綺麗な締めくくりを見せ、最終最後の曲目「BEAUTIFUL DREAMER」で輝かしい光を放ったGLAYは、「一緒に夢を見て行こうぜ! 今日からみんなファミリーだ!」という、温かく、熱い言葉をドーム中のオーディエンスにプレゼントし、『25th Anniversary “LIVE DEMOCRACY”』は大盛況のなかフィナーレを迎えた。

 本公演では、ライブ中にオーディエンスが一斉にスマートフォンで撮影した写真が立体画像へと合成されるという、3万人で作る3Dフォトの試みがあるなど、GLAYが25周年に掲げた7公約のなかのいくつかが実施された。ファン投票によるライブ楽曲の選出、ドーム公演自体もそれにあたる。GLAYがこの日最後に伝えてくれた「一緒に夢を見て行こうぜ」という言葉は、一つずつ、GLAYとみんなによって叶っていく――。

セットリスト

『GLAY 25th Anniversary “LIVE DEMOCRACY”』
2019年8月18日@埼玉・メットライフドーム

00. 誘惑
01. FATSOUNDS
02. FATSOUNDS
03. FATSOUNDS
04. SHUTTER SPEEDSのテーマ
05. BURST
06. はじまりのうた
07. サバイバル
08. TWO BELL SILENCE
09. COLORS
10. シキナ
11. YOUR SONG with MISIA
12. SMILE
13. Time for Christmas
14. WHY DON’T WE MAKE YOU HAPPY
15. JUST FINE
16. ピーク果てしなく ソウル限りなく
17. coyote, colored darkness
18. 彼女の“Modern…”
19. XYZ

ENCORE

20. HOWEVER
21. 誘惑
22. BEAUTIFUL DREAMER

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