宮瀬玲奈×倉岡水巴×涼花萌に聞く22/7の変化、“軌跡”を結ぶ1年ぶりシングル
INTERVIEW

宮瀬玲奈×倉岡水巴×涼花萌に聞く22/7の変化、“軌跡”を結ぶ1年ぶりシングル


記者:木村武雄

撮影:倉岡水巴、宮瀬玲奈、涼花萌

掲載:19年08月20日

読了時間:約16分

歌詞の読解力、そして想像力、その秘密

――それぞれの1年があって迎える今回の新曲「何もしてあげられない」。最初にデモを聴いたときの心境を教えてください。

宮瀬玲奈 最初に曲名を聞いて「どんな曲になるんだろう、早く聴きたい」と思い、それで聴かせて頂いたときに、悲しい気持ちになって。「大切な人にさえ、何もしてあげられなかった後悔」や「知らない間に、人を傷つけてしまっている」という主人公が葛藤している様子が描かれていて、曲を聴くと主人公に感情移入じゃないけど、すごく悲しくて苦しい気持ちになりました。けれど、最後の方に「そうやって葛藤しつつも誰かの悲しみを置いていけない」ということに気づくフレーズがあって。「いろいろあったけど、ここから動き出す」というストーリーが曲の後にあるんじゃないかと感じて。最後にそれを感じることができたから悲しみから抜け出すことができました。そうした意味でもこの曲をどう歌えばいいのかを深く考えていました。

涼花萌 私も最初にタイトルを聞いて「一体どんな曲になるだろう」と思って。それで初めて聴いたときに印象的だったのが、歌詞の<傲慢に生きて来て/ごめんなさい>というところで、「え! どんな生き方してきたん?」と思って。でも、何もしてあげられないこういう状況って誰にでもあると思うんです。してあげたいけど、その人の全部を変えられるような力は持っていないじゃないですか? 自分の悩みは自分で解決するしかないというか、アドバイスをもらって解決することもあるけど、芯や核のところは自分で何とかするしかないから、そういう誰しもが悩むことをこの主人公はすごく考えていて。それに対して私はここまで考えてこなかったから考えさせられました。

倉岡水巴 初めてこの歌詞を読んだときに、人のためにここまでずっと悩んで、主人公はたぶん心の優しい子なんだろうなと思いました。主人公はマイナスのことをずっと言っているように思えるけど、最後の方のフレーズで「ちゃんと目を見ていたら/気づいてあげられた/誰かの悲しみを/置いていけない」とあって、「『置いていけない』って結論出かけてるやん!」と思って。なので、この歌はこれで完結なんですけど、この先の未来に何か主人公と主人公が大切に思っている人の関係が進展するじゃないかと思えて。だからパフォーマンスでは、マイナスだけじゃない希望というか、そういうものを持ちつつ、葛藤する主人公の思いを強く表現しようと思っています。

――ナナニジの皆さんは歌詞の読解力や想像力がすごいですね。行間までしっかり読んでいるというか。それは朗読劇をやってきたからなのか、もともと備わっているものなのか。

倉岡水巴 振付自体が物語調というか、「こういう気持ちだからこういう動きをしているよ」など、ダンスの先生もいろいろと考えてくださっています。それをメンバーのなかでも、どういう気持ちでパフォーマンスするのか、ということを共有してやっていて。そうしたことはこの1年でやるようにしたので、それが大きいかもしれないです。

――それまでは、決められた振付のなかで、個々が解釈したもの、思ったものをそれぞれで表現していくというスタイルでしたよね?

宮瀬玲奈 そうです。定期公演が毎月あるので「楽曲の表現力を上げていこう」と話し合った結果、メンバー一人一人が曲に対する解釈を話すグループディスカッションをやるようになりました。それまでは全然やってこなかったので、個が思う通りにやっていて。だけど、それによってみんなの意思疎通ができたので、より集団としての表現や曲の理解が深まったなと思います。

――そのうえでこの曲をどう表現していますか?

涼花萌 初めての11人での表題曲なので、振付はまずは11人で歌っていることを見せたいと考えました。印象的なのは、最初のシーン。なごみん(西條和)が一人立っていて、そこに10人が歩いて加わって11人揃うんですけど、11人の表題曲であることを印象付けさせるために整列させてくださったんです。また、歌の2番で(花川)芽衣っちが「友達は欲しくない」という部分で、みんな並んでいるのに一人が「ほしくない」と言ったり、最後にみんな走っているのに、なごみんだけど違う方向に行ってしまったり、そういうところでも「大切な人にすら何もしてあげられないもどかしさ」を表現しています。振りのなかに、初見では気づかない、意味があるものがいっぱい散りばめられているので、何回も見てそういうところに気づいてほしいなと思います。

涼花萌

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