寺本圭佑、サラリーマンからシンガーへ デビュー10年さらなる高みへ
INTERVIEW

寺本圭佑、サラリーマンからシンガーへ デビュー10年さらなる高みへ


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年08月15日

読了時間:約11分

“感じる歌”をどんどん歌っていきたい

「ひとりにしない」ジャケ写

――そうやって地道な活動が今回のオリコン2位というところまでいきましたね。

 「移籍第一弾だから頑張ってね」ということで、今回はみなさんに協力して頂いて。始まりですから、出だしとしてはもの凄く良かったなと思っています。それに感謝してずっと続けていけるようにしたいなと思います。

――今作「ひとりにしない」は、いままでのご自身の曲のテイストとは違いますよね? レーベルを移籍して、令和という新時代が始まったというところで、新しい自分を出していこうというところもあったのでしょうか?

 そうですね。まずディレクターさんとカラオケボックスにも行って、自分の色んな歌を聴いてもらいました。「今までの寺本圭佑を超えていかないと、みんな喜ばないよ」ということで、今回は曲作りから「こんなのがいい、あんなのがいい」というのから始まって一緒に考えさせて頂きました。それからレコーディングもいままで楽器の音入れは立ち会ったことなかったんですけど、立ち会わせて頂いて曲が出来上がっていくのを見て感動しました。

――楽器の録音からレコーディングを見るのは初めてだったのですね。レコーディングでご自身の歌唱に変化はありましたか?

 いままでとは全然違うパターンですし、昭和歌謡なので、歌い方に少しずつ優しさを出すように心がけました。けっこう時間をかけてレコーディングをしました。納得いかないところもあって、もう一回歌わせてもらったり。

――寺本さんが歌を歌うにあたって一番大切にしている部分は?

 これは途中で変化がありました。いままで、デビューした頃は一生懸命上手く歌おうというのがあったんです。でも、みなさんが応援してくださるようになって、みなさんが退屈しないようなステージ、歌もそうですし、トークも含めてみんなで楽しんでいけるようなステージが作りたいと思うようになりました。“感じる歌”をどんどん歌っていきたい、色を大切にしたいなと思います。

――「ひとりにしない」をカラオケで歌うときのポイントは?

 力まずに淡々と語りかけていって、<少し痩せたね 無理してないか>という実際にあるようなことですから、とにかく優しさを出してほしいです。サビの部分は<倖せと 倖せと はぐれずに ひとりにしないよ これからは>もう離さないよという気持ちをドーンと出すんですけど、そこも<これからは>と強くやらないで、優しさを持って声を出すように気をつけて歌うと良いと思います。テクニック的には、簡単な方だと思うので、一回聴いて覚えられると思います。

――歌詞でイメージされている情景はあるのでしょうか?

 なかなかこういう経験もないですけど、昔付き合っていた子がいて、その子に今もし会ったらどうしているだろうなとか、変わってしまった部分もあるだろうし、会ったらまた昔のことを思い出すんだろうなと、そういうところに気を遣いながら歌っています。

 でも、詞の世界観に入り過ぎるのも良くない…「自分がTVのドラマを観ている感じで歌いなさい」とよく言われます。入り過ぎると感情が入り過ぎて、全部が気持ち悪くなっちゃって。それよりも淡々とドラマを観て「この部分たまらないな!」というところに気持ちをのせて、そこが一カ所あればいいんだなと。あまり気持ちを入れ過ぎると押し付けがましい歌になってしまうんです。歌に入りこんで涙を流して成功するのは、美空ひばりさんだけだと聞いたことがあります。

――寺本さんの歌の第一印象なんですけど、私は凄く良い声だなというのがあったんです。良い低音だったり、男性が羨ましがるといいますか、女性はセクシーに感じる声だと思いました。「良い声だ」と言われることは多かったのでは?

 逆でしたね。どちらかというと掠れているというか、ハスキーまでもいかないんですけど、昔は声的には良くなかったと思うんです。ボイストレーニングを10代、20代の頃にやっていて、発声練習をすると、声を作っちゃってて駄目でした。そこで20代の頃は悩みました。何を歌っても「うるさい」「張り過ぎ」とか、どうしても張ってしまう自分がいて。いまはケータイで音が録れるので、歌って聴いて「もうひとつだな」とか思いながら、聴くということをよくしています。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)