蘭華「“三足のわらじ”で頑張ってみたい」歌手活動への苦悩から見えた未来
INTERVIEW

蘭華

「“三足のわらじ”で頑張ってみたい」歌手活動への苦悩から見えた未来


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年07月16日

読了時間:約11分

音楽活動を続けるか悩んだ

蘭華

――今はどのような気持ちで歌手活動に臨んでいるんですか。

 今年に入ってからも「こんなはずではなかった」と、引きずっている自分がいました。昨年は、この先、音楽活動を続けていけるのかという不安や迷いはありましたけど、条件が悪い中でもCDをリリースすることが出来て、頑張って届けていくぞと意気込んでいました。猪突猛進、有言実行が私の座右の銘で、今までは前向きな目標が多かったのですが、精神的なダメージも大きかったのか、自分で掲げた年始の目標が「ゆっくり地道に歩く」というものになりました。

――止まらないですけど、だいぶ考え方が変わって。

 そうなんです。それまで全速力だったのが歩くになってしまって。私とマネージャー、プロデューサーの3人でプロモーションもしなければいけなくて、一生懸命やってはいたものの壁にぶつかったり、限界を感じていたところもありました。なかなか目標に辿り着かなくて…。

――その目標というのは?

 CDを1枚でも多くの方へ届けることです。CDに関しては3000枚という目標を掲げていて、それにたどり着くことが出来なかったんです。それもあって3月頃に心が折れかけ、本当に音楽活動を続けるか悩みました。

――そこまで思い悩んで。

 そこまで行ってしまいましたね…。でもまた奮起して、インストアライブなど継続してやっています。そのなかで新たに始めたことがあって、1月から「スナックキャンペーン」というものを始めました。数年前からやってみたいなとは思っていたんですけど、なかなかご縁がなくてやれてなかったんです。『悲しみにつかれたら』をもっと沢山の人へ届けていくにはどうしたら良いのかと考えていた時に、このアイデアを実行しようと思いました。

――演歌歌手の方も今ではあまりやっているのを聞いたことがないです。

 特に私はJ-POPと歌謡曲をミックスした音楽なので、ほとんどやっている人はいないと思います。関東のスナックを100軒制覇することを目標に頑張っています。鎌倉や新橋、赤羽など色んなエリアに出向き、まずはキャンペーンをやらせて頂けるかどうかを確認しに行きます。扉を叩いてアポイントをまず取るので“コンコンキャンペーン”と私たちは呼んでいるんですけど(笑)。

――可愛いですね。成果はどうですか。

 これがまたなかなか厳しくて10軒回って1軒しか承諾していただけなかったり、門前払いされてしまうことも多々あります。でもやっと、街によっては3軒4軒と増えてきて、恵比寿が意外と反応が良く、8軒もこのキャンペーンを承諾してくださいました。

――逆になかなか難しい地域は?

 三軒茶屋と学芸大学はなかなか厳しくて、1軒OKが出るか出ないかという感じでした。今、トータルで40軒ぐらいキャンペーンをさせて頂いたのですが、私たちの中でひと月に10軒という目標がなかなか到達できなくて。この目標ですら到達できていないということが、悔しくもあり、もどかしくもあって…。そんな中、6月は頑張って初めて10軒の目標を達成することができました。

――「スナックキャンペーン」の手応えはいかがですか。

 実際、やってみると私のことを知らない人が大半です。3軒に1軒ぐらいの割合で「『ノンフィクション』見たよ」と言って下さる方と出会います。「本当に自分たちだけでキャンペーンをやっているんだね」と驚かれることや、なかには「ここまでして歌いたいの?」と言われたこともありました。でも、私にとってはテレビ、ラジオ、ネットなどと手段が違うだけで、私のことを知らない人に届けたいという気持ちは変わらないんです。確かに全国放送のテレビは早いかもしれないですけど、こうやって地道な活動も大切だと思っています。bayfmさんで『スナック蘭華』という番組を5年近く担当させて頂いているので、せっかくならリアルにスナックでやってみたいというのもありました。

――大変ですよね。

 私よりもマネージャーやプロデューサーが大変なんです。昼間に仕事をして、その後に「スナックキャンペーン」で深夜まで私に付き合って下さっていますから。終電を逃して3人でファミレスで始発を待つこともあるので、お2人は体力的にも相当キツいと思います。でも、そんな中で温かい声を掛けてくださるお客さんやオーナーさん、ママさんたちとの出会いもあり、私は新しい場所を見つけたなと思っています。

――キャンペーンをやっていく中で不安な事はなんですか。

初めての場所なので、ドアを開けるまで、どんな状況かわからないところです。若い人しかいない時は、私の音楽が受け入れて頂けるのだろうかという不安があります。時には全然聴いてくださらない時もあるんですけど、逆に凄く乗ってくれて、一緒に手を振ってくれたり、歌ってくれたりと思いもよらない盛り上がりを見せてくれた時は、やって良かったなと思えるんです。

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