HASE-Tの美学、アルバム発売日に解散 幻のユニットになった「the WOB」
INTERVIEW

HASE-Tの美学、アルバム発売日に解散 幻のユニットになった「the WOB」


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年06月13日

読了時間:約13分

シンガー・Deejay・フォトグラファーというthe WOBチーム

HASE-T

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――the WOBのメンバーについてですが、シンガーのAAACHANさんは、かつてはタイ・バンコクが活動拠点だった?

 AAACHANはもともと日本にいて、自分がプロデュースする立場で関わった面識があったんです。彼女は幼少期、タイで過ごした方なんですけど、日本に来て歌をやってちょっと手伝って、そのあとまたタイに行って、今ちょうど戻って来たところなんです。そこで僕が声をかけました。バンコクでは色んなミュージシャンとセッションをして作品を作ったりする活動をしてた方です。タイ語はネイティブなんですよ。

――HASE-Tさんから見てAAACHANはどういったタイプのシンガーでしょうか?

 本人はR&Bが好きで、日本のR&Bも消化していると思うんですけど、そのなかで彼女なりの視点の歌詞が面白いですね。今回、the WOBに誘って曲を作るときもそういう点がちゃんと出ているなと思います。

――視点に面白さがあるのは、タイで過ごしていたという部分が大きいのでしょうか?

 インターナショナル感ですね。

――貫太郎さんは10代の頃からDeejayとして活躍しているそうですね。

 そうですね。HIP HOPで言うラップですね。レゲエで言うとDeejayです。

――HIP HOPの“DJ”とレゲエの“Deejay”、読み方は“ディージェー”と一緒ですが役割が異なるそうですね。

 レゲエの方が先だと思うんですけど、レゲエを歌う人をDeejayと言って、音楽をかける人をセレクターと言うんです。HIP HOPになるとディスクジョッキーになって、そっちがDJになるんです。ラップするのはMCですよね。“master of ceremony”で。レゲエではDeejayは喋る人です。HIP HOPは70年代後半に生まれて、レゲエは脈々とジャマイカの音楽としてあって。HIP HOPを始めた人はジャマイカ出身のクール・ハークという人がいて、彼がブロックパーティーをやり始めてと。

――レゲエのDeejayの場合はラップという言い方で正しいのでしょうか? 語り口調というか、掛け声というか、そういったものも含まれますよね。

 レゲエはDeejayスタイル、“Deejay”が一番言葉としてはハマると思います。ラップというとHIP HOPになっちゃいますよね。細かいですよね。

――トースティングと呼ばれる掛け声のようなものも含まれる?

 あれは“合いの手”みたいな感じですよね。

――貫太郎さんはどういった活動をされていたのでしょうか?

 彼は東京都福生市出身で、福生中心に活動しています。駅前にひとつCLUB HEATというクラブがあって、そこでイベントを自分達でずっとやっていて、高校生くらいからレゲエが好きで Deejayを目指すという感じでやっている人です。東京のなかでもトップの位置というか、かなりイケてる感じです。

――『DeeJayクラッシュ』という大会で優勝したという経歴があるのですね。

 HIP HOPのバトルのような大会ですね。それのレゲエ・バージョンというか。大阪での大きいイベントの勝ち抜き合戦的なものがあって、そこでも準優勝でした。スキルは凄くありますね。

――フォトグラファーという役割でカメラのかたぱんさんというメンバーもクレジットされていますね。

 カメラのかたぱんは「the WOBのなかでビジュアルも大事だよね」と話をしていて、どうせだったら周りにカメラマンが一人いるので、ビジュアル担当で。ステージに立つわけではないですけど、写真を撮ったりする専属の人がいたら面白いねということで誘って、準メンバーのような形で入っています。

――斬新ですね。グラフィック担当のメンバーというわけですね。

 最近そういうの多いじゃないですか? アンダーワールドも「Tomato」というデザインチームと一緒にやっているし。ロックバンドのKing Gnuだって自分達でジャケットもPVもやっていますよね。今は音楽って全方位でやるというのはあると思うので。そういうイメージもあって、ビジュアル担当がいたら面白いなと。アーティスト写真やジャケット写真は彼に全てやってもらっています。「26:00」という楽曲のPVもバンコクと渋谷で彼がカメラを回しました。

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