レゲエ・プロデューサー、HASE-T率いるユニットthe WOBが6月13日、1stデジタルアルバム『the WOB』をリリースする。シンガー・AAACHAN、Deejay・貫太郎、フォトグラファー・カメラのかたぱん、そしてHASE-Tによるユニット。今作は、レゲエを基調とした様々なテイストが現代風に洗練され収められた意欲作で、ジャンルレスな音楽性が市民権を得てヒットチャートを闊歩するようになった現代の土壌を見据えて制作された。『the WOB』各曲のテイストの詳細から現在のレゲエシーンについて、日本のレゲエ・クラブシーン創世機から活動をするHASE-Tに話を聞いた。【取材=平吉賢治/撮影=木村陽仁】
根っこの部分から飛び出て、閃き・初期衝動を曲に
――the WOB結成のいきさつは?
自分は今までレゲエのプロデューサーとして音楽に携わって来ましたが、その枠から飛び出て表現することがあってもいいなと常々思っていまして。ユニットをやりたいなと思っていて、その時、貫太郎がいて。彼はもともとレゲエの人で。「レゲエの枠を飛び出て面白いことをやりたいよね」という話をしたら「是非やりたいです」と、AAACHANもカメラのかたぱんも「枠を飛び出て面白いこと」で声をかけた感じです。自分の根っこにある部分から飛び出て、新しい表現や曲をやろうということに賛同してくれたという感じです。
――今作はレゲエが根っこにありながらも、HIP HOPやハウス、チルなど様々な要素が含まれていると感じました。コンセプトは何でしょうか?
「色んな要素がある」と感じて頂いたと思うんですけど、それがコンセプトですね。ひとつに絞らないと。なぜかと言うと、もともと自分はレゲエという枠にいたので、あえてやるのであれば色んなことにチャレンジしたいなというのがあったからです
――1stアルバム『the WOB』にはシングル3作も収録されていますね。今作が仕上がった心境は?
意外と勢いで録っていた部分があるんです。閃き、初期衝動で作っちゃえというのが大事だなと思って、そういう作り方をしています。そのわりにバランスがとれていて、360度全方位のダンスミュージックというか、そういう感じで色んな要素を散りばめられた感じで上手く出来たなと思っています。今、世の中のトラックメーカーやプロデューサー名義の作品はひとつのジャンルに縛られていなくて、アルバムを通すとレゲエっぽいやつ、ハウスっぽいやつがあってと…そういう世界に今なっているんだなと思っているんです。だから、あえて縛らない方がいいなと思いました。
――一つのジャンルに絞った作品、例えば、レゲエの作品だったら全曲がレゲエ一色というわけではなく、現代ではベースとなるジャンルのなかで様々なテイストが含まれている場合が多いのですね。
エド・シーランとジャスティン・ビーバーの新しいシングルなんかもレゲエですもんね。「レゲエの曲をやりました」と言っていないだけで、あれはレゲエですね。
――「どこからがレゲエか」というのも難しいラインですよね。
そう。それを明言しないだけで、世の中の人達は自然に受け入れているのが今なんです。今ポップミュージックはかなりレゲエ寄りになっている部分もあるので。