海蔵亮太、デビュー曲をリイシュー 歌い続けることで変化する曲の奥深さ
INTERVIEW

海蔵亮太、デビュー曲をリイシュー 歌い続けることで変化する曲の奥深さ


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年06月09日

読了時間:約11分

「愛のカタチ」は別物というくらい捉え方が変わった

――「愛のカタチ」を歌い続けて来て、新しい発見はありましたか。

 毎回歌う度に発見があります。ここの表現をこう変えるとこういう風に伝わるんだ、とか何十回、何百回歌っても変わらないという事はないんです。一緒に成長して歳を取っているような感じなんです。その時によって好きな歌詞やフレーズも変わります。なので、歌う事が楽しいですし、歌うことが嫌いになる事もないと思います。

――まさに生き物ですね。

 そうなんです。あと、認知症がテーマの曲ではあるのですが、その当事者や介護されている方だけではなくて、色んなベクトルの方向に向いている曲だなと感じました。例えば、自分の好きな人の事を思い浮かべて歌っても良いですし、両親が子どもに向けても良いですし、色んな可能性をこの曲から感じています。この曲を(NHK)『のど自慢大会』で歌ってくれている方もいるんですけど、自分じゃない人が歌っているのを聴いて、また違う感じ方をしたり、教えてもらう事が増えました。本当に発見が沢山あって、同じメロディと歌詞なんですけど、今では別物というくらい捉え方が変わりました。

――そういえば、この曲の生みの親である中村つよしさんには、お会いになられました?

 それがまだお会いできていないんです。お会いしたい気持ちも、もちろんあるんですけど、この曲を歌っていくにあたって、まだ会わない方が良いのかなと考えている自分もいます。きっと、お会いしたらこの曲の背景について根掘り葉掘り聞いてしまうと思うんです。それによってまた曲の解釈が変わると思うんですけど、それが歌にどう影響するのかわからないので…。歌い方が変わってしまい、聴いてくださる皆さんが「ちょっと違う」となってしまうかもしれなくて、それは曲に申し訳ないなと思っていて。でもお会いしてお話したい気持ちはすごくあります。

――タイミングが難しいですね。でも、いずれお会いして欲しいです。さて、コンベンションライブではこの「愛のカタチ」のエピソードで、亡くなった祖父に向けて「愛のカタチ」をずっと流していたみたいですね。

 そうなんです。亡くなる前におじいちゃんに会いに行くことが出来なくて、「愛のカタチ」を流してくれている状況を、兄弟が動画に撮ってくれて送ってくれました。でも、その映像は悲しくて一回しか見れなかったです…。

――「生で歌ってあげたかった」という思いもあったんですよね。

 はい。デビューして3カ月くらい経ってから、おじいちゃんに会いにいく機会があったんですけど、その時に歌ってあげれば良かったなという後悔は残っています。おじいちゃんの余命も少ないことも聞いていましたし、いつも「思い立ったらやろう」と思っていたんですけど、その時は歌わなかったんです。でも、こういう出来事があったからこそ、もっとしっかり歌っていこうという思いは強くなりました。でも、実はコンベンションライブでこのお話をする予定ではなかったんです。

――それはなぜですか。

 やっぱりコンベンションライブなので、歌詞のことなど曲の情報をしっかり伝えた方が良いのかなと考えていました。でも、ライブが進んでいく中で、おじいちゃんのことを伝えたいなと思ったんです。そのMCのあとに歌ったことで、歌にも良い影響があったので、おじいちゃんのことを話して、今は良かったなと思います。

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