JABBA DA FOOTBALL CLUB「メジャーは超スタート」HipHop界の新星が見る未来
INTERVIEW

JABBA DA FOOTBALL CLUB「メジャーは超スタート」HipHop界の新星が見る未来


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年06月06日

読了時間:約13分

自分の知らない未知の世界に飛び込んで行く

――メジャーという環境が「新世界」というタイトルの意味でもある?

NOLOV そうです。曲では自分たちの話をしているんですけど、自分達に起こったことはみんなにも起こることだと思っていて。今僕らがメジャーに行くことは特別なことではないんです。就職で初めて入る会社だとか、高校に入って新しいクラスや部活とか、あれ全部「新世界」だと思うんです。自分の知らない未知の世界に飛び込んで行くというのは一緒だから、僕らは自分にあったことをちゃんと噛み砕いて伝えれば、それはみんなのことにもなると思いました。

――それで各々が自分達の歌詞を考えて「新世界」という一つのテーマを設けてと。タイトルからもわかるようにドヴォルザークの「新世界」を引用して。

NOLOV はい。これは思いつきです! 

BAOBAB MC この曲は最初に作ったものからだいぶ変わっていきました。最初はNOLOVとディスカッションして作っていたものから、そこに「ドヴォルザークの『新世界』を入れよう」となった瞬間に色んなものがこう…上手く合わせなきゃいけないって思って。すごく大変な作業になってしまって。

――それぞれの歌詞についてですが、出だしはROVINさんですね。どういう気持ちで書かれたのでしょうか?

ROVIN この曲に対しては、とりあえず格好良くしたかったので、ラップを入れる前の段階から「僕が一番目だね」という話になっていて「OK、カッコ良くするわ」と。これはそこだけです。特にメチャメチャ強いメッセージを込めたつもりはないですし、この曲のスタートをいかに格好良く始められるか、そこだけを考えました。

――起爆剤的な感じですね。続いてはNOLOVさんですね。

NOLOV 詞は自分の話しかしていないんですけど、この1年で起こったことを総括しているかもしれないです。「新世界」を作るまでにJABBA DA FOOTBALL CLUBで色々あったんですけど、そのことを書いているのかなあ…というのも書いたときに酔っぱらっていたので、実はあまり覚えていないんですけど(笑)。僕はけっこうお酒ばっかり飲んでいるので、このとき最初の<頭の上のモクモク>というフレーズだけできて、「これだけ出来たんだけど」ってレコーディング前日にみんなに送って。1番はチーム内のことを書いていて、<愛されたいなら自ら愛さな話になりまへん>とか、<ひとにやさしく自分にもっとやさしくしないと息すらできまへん>というところに出ています。

――次のバースはBAOBAB MCさんですね。

BAOBAB MC 僕は新世界に行く、行かないというのをメインテーマで書きました。正直行くか行かないか迷っているよりも、今までの自分を考えると悩む術もなくだいたい行っちゃってるんです。何で悩んでいないかというと、その前の選択で自分の好きなことをやっていてそこに向かっているんだから、そんなことは思わずに口を動かしていますよという宣言みたいな感じです。みんなの鼓舞にもなればいいなと思って書きました。

――<昨日にアディオス 待ってらんないって>のアディオスを使ったのはBAOBAB MCさんがブラジルの血が入っているから?

BAOBAB MC それキャラ設定だったんです…。純粋な日本人なのでメジャーデビューを機にその設定にピリオドを打ちます(笑)。

――ピリオドでいいんですか(笑)。さて、最後はASHTRAYさんです。パクチーが食べられないというところから始まりますが…。

JABBA DA FOOTBALL CLUB

ASHTRAY (笑)。最初のパクチーとか最後のコリアンダー以外は、<Bad dayだとしても>とか<それでも飛び込む 韻踏む音楽稼業>だのメチャクチャ重たいこと言っています。それだけ言ってたら重くなりすぎないかと思ったんです。でも言いたいことはそこだし、それをどう柔らかく、みなさんが共感してくれそうな歌詞にするかというところで悩みました。オリジナリティも含め「それは何だろう?」と考えたときに、食べられない物が食べられるようになることって新しいことだなと、自分はパクチー食べられないので、そこから書いてみようと思いました。

――その甲斐もあり、重さを中和しつつオリジナリティのあるものに仕上がりましたよね。みなさんは各々のパートを歌うわけですが、他のメンバーのパートも意識されてますか?

NOLOV テーマを一回書いてきてみんなのリリックを見て先に話をします。今回は「新世界へ行く」というテーマなんですけど、それぞれ捉え方が違うじゃないですか? みんなどういう風に思っているのかを聞いて、意識を統一して書き直すという感じです。なので1曲でちゃんと筋が通っているんです。逆に言うと、納得していなかったら作れない、4人がそのテーマに対して「なるほど、そうだよね」と思えないとたぶん駄目なんです。この4人がまず納得しないと伝わらないですし。さらに伝える人に関しても絞ります。100人全員に理解してもらうなんて無理じゃないですか?

――確かに万人全てに、というのは非常に難しいことですね。

NOLOV だから、「僕らと一緒の奴」というのがひとつあって、わかってくれる同志にしか響かなくても良いと思って書いてます。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)