JABBA DA FOOTBALL CLUB「メジャーは超スタート」HipHop界の新星が見る未来
INTERVIEW

JABBA DA FOOTBALL CLUB「メジャーは超スタート」HipHop界の新星が見る未来


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年06月06日

読了時間:約13分

 4人組ヒップホップ・グループのJABBA DA FOOTBALL CLUB(ジャバ・ダ・フットボール・クラブ)が6月5日、シングル「新世界」でメジャーデビュー。2014年にNOLOV(ノルオブ)とBAOBAB MC(バオバブ エムシー)により結成され、のちにASHTRAY(アシュトレイ)とROVIN(ロビン)が加入。2015年に1st Album『QUEST』を500枚限定で発売し即完。ヒップホップという枠を超えたポップな音楽センスと親しみやすい個性豊かなキャラクターが魅力的だ。インタビューでは、メジャーデビューの心境から、ドヴォルザークの楽曲を引用した「新世界」や、敬愛するORANGE RANGEのNAOTOがリミックスを手がけた「i&i」の制作背景、これからもずっと歌い続けていくと話す、ライブでは欠かせない楽曲「君の街まで」が出来たエピソードなど4人に話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

メチャクチャ能力がある人が集まっても駄目

「新世界」通常盤ジャケ写

――みなさん名前が個性的ですよね。名前の由来をお聞きしてもいいですか。

NOLOV 四者四様、理由は違うのですがそんなに面白くないです(笑)。

――そう言われると逆に聞きたくなりました(笑)。では、ASHTRAYさんからお願いします。

ASHTRAY JABBA DA FOOTBALL CLUBをやる前に、NOLOV、ROVIN、僕の3人で別グループでラップをやることになったんです。ラップをやる人ってだいたい実名でやらないんですよ。それで、「何がいいかな」と考えて目の前を見たら灰皿があったので、それを英語にしてみたという感じなんです。響きも良いし、字面も何かカクカクしていいなって。

――目の前にあった灰皿とは意外でした。ではROVINさんは? キン肉マンのロビンマスクからじゃないですよね?

ROVIN それ良く言われるんですけど、僕は『バットマン』の方です。バットマンの相棒でロビンというキャラクターがいるんですけど、そのロビンが好きだったのでそこから取りました。

NOLOV ROVINはまだマシで、僕の由来なんてつまらなくてビビリますよ? 最初、偽名でやろうと思ったんですけど、結局その偽名を、アナグラムしてみて、出てきたのが「NOLOV」でした。

――まさかのアナグラム! BAOBAB MCさんは?

BAOBAB MC 僕の本名が「大樹」なので、世界で一番大きい木はBAOBABという。ほら一番面白くない…。

NOLOV いやいや、マシだよ。本当に名前の由来の話になると戦慄が走るんですよ(笑)。

――由来としては問題ないと思いますよ(笑)。さて、このたびメジャーデビューされますが、どのような心境ですか。

NOLOV メジャーデビューなんて人生でありえないじゃないですか? 「結婚」とか「出産」とかのライフステージの中にまさか「メジャーデビュー」というのが食い込んでくるとは思わなかったです。結成した2014年頃は、自分がまさかメジャーデビューするなんて思っていなかったですから。

ASHTRAY なんとなく根拠のない自信みたいなものはあったんですけど、それが具体的にメジャーデビューとなったのはJABBA DA FOOTBALL CLUBを始めてからです。

ROVIN 僕はメジャーデビュー云々より、本気で音楽だけで飯を食うと考えていたバンド時代があって、「これ音楽で食えるんじゃね? ヤバくねえ?」と思った時期があったんです。でも現実的に一回諦めて…。

――挫折を経験したのですね。

ROVIN そのとき僕らの世代に格好良い奴らがどんどん出てきて、もう無理だろうと思いました。仕事もして金も稼がなければというのもあって、一回全部やめたんです。でも結局、音楽を作ることはやめられなくて、この4人と出会って「これはいける!」と思いました。

――BAOBAB MCさんはメジャーデビューについてはいかがですか?

BAOBAB MC デビュー単純に嬉しいというのと、そもそも僕も音楽をけっこう前からやっていたんですけど、その時期はメジャーデビューというのは頭になくて。目指してもいなかったし、入り口も知らないみたいな。無意識に音楽をやっていたんです。

NOLOV 「メジャー?」みたいな?

BAOBAB MC 「そんなの色付けられて終わるんだろ?」みたいな感じで尖っていました。でも、それが今の3人と出会ったときにチラチラ見えてきて具現化していった、みたいな感じですね。だから話をもらったときはびっくりしました。同時に自分の中にあった自信が補強されたというか。「僕そういうことしていい子なんだね」みたいな。メジャーというものに優しく包まれたみたいな感じです(笑)。

――メジャーデビューの話はたくさんあった?

NOLOV けっこう続々と来てたんですよ。でもよくわからないし、メジャーに行ったことない奴がわかったふりは良くないなと思って、メジャーに行ったことのある人に話を聞いて「そうなんだ」って情報を集めて。でも、一番バイブスが高いところにしようと思ってはいたんです。今のレーベルは連絡もくれるし、現場にも来てくれるし…「こんなシャバい僕らのためにこんなに来てくれる人いるか?」というわけで、僕らは一番いい“人”のところ行きたいなと思いました。

――人間関係を重視したのですね。

NOLOV 何を作るにも結局愛がないと良くならない、というのは自分らが感じています。メチャクチャ能力がある人が集まっても駄目なんです。それは人間の歴史が証明している気がしていて。ありとあらゆる素晴らしいものって、誰かの愛があるからで、自分たちもそういうのを実感することが多くなったんです。愛がないと人は動かないし、良いものは出来ない。出来たとしてもそれはラッキーパンチだから2発目が出来ない、ということを凄く感じるようになって。人選びとか人と会うときはそこしか考えないです。もちろん技術があったりしてもいいんですけど、「愛はあるのかよ」と。

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