SING LIKE TALKING「人も時代も常にアップデートされていく」変わらぬ音楽への情熱
INTERVIEW

SING LIKE TALKING
佐藤竹善

「人も時代も常にアップデートされていく」変わらぬ音楽への情熱


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年05月29日

読了時間:約16分

 SING LIKE TALKINGが5月29日、シングル「Spiral」をリリースする。昨年メジャーデビュー30周年を迎え、現在も精力的に活動を続ける。31年目に突入し、「令和」初のシングルは玉木宏主演のテレビ東京ドラマBiz『スパイラル~町工場の奇跡~』の主題歌で、厳しい現実と戦いながらも微かな希望へと力強く向かう一曲。重厚感のあるサウンドは、キャリア初となる自分たちでレコーディングからミックスダウンまでおこなった挑戦が詰まった賜物。インタビューでは、改めて30年という年月を振り返りながら、活動休止期間のことや、音楽制作を携わる者としてのオーディオ環境へのこだわり、「Spiral」の歌詞から現在のシーンについてなど、佐藤竹善(Vo、Gt&Key)に話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=片山拓】

35周年、60歳の時に面白い事が出来たら

佐藤竹善

――昨年はデビュー30周年という節目を迎えて、改めて今どのような気持ちでしょうか。

 25周年から30周年に掛けて毎年、プレミアムな感じで活動しよう、アーカイブとして映像も残していこうということで、怒涛の5年間でした。昨年は30周年ライブと毎年やっているソロでのクリスマスライブが終わって、個人的にひと段落するかなと思ったら、ドラマタイアップのお話を頂いたので、怒涛のまま今に至っています。

 SING LIKE TALKINGとしては、30周年終わったら1年ぐらい休むんじゃないかなとファンの皆さんは思ってたみたいなんですけど、僕ら3人は毎年何かしらの活動は続けていこうと話しあって決めていたので、35周年、60歳の時に面白い事が出来たらいいなを念頭に、コツコツ活動を続けていこうと思っています。

――年齢の節目と周年が一緒なんですね。

 そうなんです。でも、僕らは25周年をやるまで周年というものを意識してこなかったんです。3人とも全然興味がなくて、10周年も20周年も何もやらなかった。それで25周年の時に、ここまでやれてきたことに感謝の意を示さなければと思って、初めて周年を意識したことをやったんです。

――意外でした。周年といえばベストアルバムというものがありますが、竹善さんはベストアルバムというものも、あまり興味がなかったとお聞きした事があります。

 ベストアルバムというのは、ヒット曲がたくさん詰まったアルバムだというのが子どもの頃からあって、僕らにはまだドーンとヒットした曲はないので、ベストアルバムという名前はどうかな? と思っていました。5年目にリリースした『REUNION』に関して言えば、ちょっと売れて来た時に敢えて売れていない時代の曲だけを入れて作ったセレクションアルバムなんです。

 なので、僕らの中で売れた4枚目の『0 [lΛV](ラブ)』、5枚目の『Humanity』からは入れてないんです。その後もそう言った感覚で『SECOND REUNION』『3rd REUNION』を作っていて、ファンの方の中で人気の曲を選んだりしています。ミリオンセラーが一曲でもあれば「ベストだ!」と胸張って出せると思うんですけど(笑)。

――2004年から約6年間、活動休止期間もありましたが、それぞれの活動を経て再集結された時は大きな変化もありましたか。

 それは非常に感じました。西村(智彦)はギタリストとしてより伸びて、甲斐バンドのプロデュースなどギタリスト以上の活動で自分のスキルにしていきましたし、(藤田)千章はゲーム音楽の制作、さらに機材面やレコーディング面でのポテンシャルもすごく上がっていました。再集結したから言えるんですけど、あの6年間はすごく大事な時期でした。

――6年間という休止期間は長いと思うんです。ファンの方も「もしかしたらずっとこのままなんじゃないか」と思われた方もいたのでは?

 僕らも全くやる気はなくて、実は『RENASCENCE』というアルバムのツアーが終わって、なんかつまらなくなってしまったんです。3人が上手く噛み合わなかった。でも、誰も解散という言葉は言わなかったし、少なくとも僕はやめようとは思っていませんでした。かといって、始めようという気もなかったんですけど。

――あのままずっと休止状態という可能性もあったんですね。

 ありましたね。でも、そんな時にFM802の『RADIO MAGIC』というイベントがあって、それに「SING LIKE TALKINGとして出演して欲しい」とオファーがあって、ずっと返事をできなかったんですけど、僕らもFM802にはとってもお世話になったので、3人とも断る理由がなかった。その時はポスター撮影の締め切りも過ぎていたので、ポスターは合成でした。

 そのイベントには小田(和正)さんが出演されていて、僕らを「トリにしろ」と言ってくれていたみたいで。本当だったら小田さんがトリじゃないですか? でも、再集結ということで周りがすごく僕らを盛り上げてくれて、久しぶりに一緒にやったら感触もすごく良かったんですよね。イベントが終わった後には「次のアルバムいつ作ろうか」という話に自然となりました。

――人との出会いとタイミングがすごく大事だと伝わってきました。

 僕らは幼馴染なので割り切っているところがないんですよ。それだけにぶつかっている間はずっとぶつかっているので、幼馴染の一長一短がその時に出たんだろうなと思います。今のところは一長の方に収まっているので良かったと思います(笑)。

――今はすごく良い時期なんですね。

 3人で飲みに行ったりもしますからね。昨年から3人だけの新年会というのをやっていて、2回目があったら本物だなと思っていたんですけど、今年無事2回目をやれたので、たぶん来年に3回目もあるんじゃないかなと思います(笑)。

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