竹島 宏「歌手としての花が咲く年に」固定概念壊し自由に生きていく覚悟とは
INTERVIEW

竹島 宏「歌手としての花が咲く年に」固定概念壊し自由に生きていく覚悟とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年04月17日

読了時間:約12分

今までは花を咲かせようとは考えていなかった

竹島 宏

――カップリングの「それは幻」は珠玉のバラードです。

 この曲は僕のリクエストで歌詞が一部分変わったんです。<男と女には>と歌っているところがあるんですけど、そのメロディの部分は全部同じ歌詞だったんです。それを1カ所だけ<女と男には>に変えていただきました。そうすることによって、より色んな方がその世界に引き込まれて行きやすい曲に仕上がるんじゃないかなと思いました。その思いを松井(五郎)先生が汲み取って下さって変えてくれました。僕の中では逆にしたことによって、表情がつけやすくなりました。全てが同じ言葉だった場合、意図的に色分けをしないと、同じトーンになってしまいますけど、言葉が違うだけで、あまり意識しなくても色が変わってくれるんです。

――自然と切り替わるんですね。

 B面というのが勿体無いくらい良い曲なんですけど、先生方はA面とかB面とか関係なくて、世に出ることが重要と仰っていたんです。今あるデモもいつになるかわからないんですけど、ちゃんと世に出したいと僕も思って作って頂いているので、思い入れも違うんです。その中でもう一曲の「思ひ人」は一昨年からあった曲なんです。大好きな一曲で、音源化されて嬉しいです。

――この「思ひ人」は亡くなった人への想いが綴られた歌ですけど、そういったことをイメージされて歌われたのでしょうか?

 あまり感情移入をしないように歌っています。あまり入りすぎてしまうと重くなってしまうかなと思いました。明るい響でお客様には届いて、そこから何かを感じて頂ける状態にしておきたかったんです。メロディラインは少し沖縄っぽい感じや、アジアンチックな部分が入っている作品ですけど、一般の方にもカラオケで歌って頂けるような作品に仕上がっていると思いますし、「噂のふたり」や「それは幻」とはまた違った僕の声を感じて頂ける一曲になったかなと思います。

――竹島さんの二面性が明確に出た一枚になりましたね。さて、最後に今年の竹島さんを一言で表すとしたら、どんな言葉になりそうですか。

 「花が咲く年」ですね。おそらく今までは花を咲かせようとは考えていなかったと思います。その蕾をもっていることすら気づいていなかったと思うんです。その花は自分の意思で咲かせるのではなくて、自然と咲くべくして咲いたという感じです。でも、その咲くというのはヒット曲を出すとか、紅白に出るとはニュアンスが違うんです。歌手としての花が咲くということなんです。

 昨年40歳という節目を迎えた時に、これからどうやって生きていくのかと自問自答しました。そこで、自分の中でこうあるべきというものを取っ払いして「自由に生きていこう」と思ったんです。。昨年は紅白に出場することが出来なくて、どうしたらいいか気持ちが定まっていない中で今作のレコーディングも始まってしまって…。でも、せっかくの歌入れだから弾けて歌ってみようと思って、歌ってみたら鼻声すらも好転させる良い声が出ていました。

 今もそういう気持ちで物事に取り組んでいるので、自然と花が咲くんだろうなと思っています。最終的には皆さんに咲かせてもらっているということになるんですけど、咲いてしまったら周りがほっとかないと思うんです(笑)。

――ほっとかないですよ!

 閉じていた感性の扉を開くことによってそういう発想になるんだろうなと思います。今、自分の中で掴みたいものがあって、それはスタンダードナンバーと呼ばれる曲なんです。僕の所属しているテイチクレコードにも色んな名曲があります。平成の名曲というものを見た時に僕もこういうヒット曲を絶対に作りたいなと思いました。それを作るためにはやらなければいけないことが沢山ありますけど、CDが売れない時代と言われているからこそ、売りたい。そうすれば自然と花が咲くのと同じで、スタンダードナンバーと呼ばれるようなヒット曲が出せれば日本のミュージックシーンで欠かせないアーティストになっていると思うんです。そのなかで色んな事にチャレンジして質を高めていきたいです。

(おわり)

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