自分にとって音楽とは「ガソリンであり、癒し」俳優という仕事と比較して思うこと
――ではその1,200本の映画を見るということを決められ、そのモチベーションというところには、危機感があったということ…。
そうですね。実家で犬を飼っていたんですけど、夜の散歩の当番が…友達とも遊びに行かないということで僕になっちゃって(笑)。犬の散歩は、夜な夜な家の近所に結構大きめの公園があって、そこが山の上にあるんで福岡タワーや、今でいうヤフオクドームなんかが遠くに見える、本当にきれいな景色が見られるところがあって、そこに行っていたんです。
一人ぼっちの山頂で、隣に犬がいて…という状況があって、それも自分にはこたえましたね。犬がワンワンと泣く中で“俺は大丈夫か?”って(笑)。そんな緊張感と不安な気持ち、ですかね。結局。不安な気持ちが自分をそういうふうに掻き立ててくれたようにも思います。
――その1,200本の映画を見た高校時代を振り返ると、今はよかったと感じますか?
それはもちろん。多分その時代がなければ、今はないですし。絶対に自分の人生を振り返る中で大切な三年間だったと思います…けど、まあもうちょっと友達と遊んでおいてもよかったかな、とも思うんですが(笑)
――将来的にはたとえば映画監督とか、映画に携わった職業を目指す向きも、ご自身の中にはあるのでしょうか?
もちろん、自分の中では、いろんな欲や思いはあります、たとえば監督になりたいとか、脚本を書いてみたい、とか。
――映画や演技にかかわる仕事も、やっていきたいと?
もちろんそれもあります。映画というものが一番好きで、映画というものに携わる形であれば、逆になんでもやってみたいという思いが。それは心の中で、何となくいろんな可能性があるんじゃないかと考えています。でもまだ今は、俳優として何もやれてない状況ですし、言うべき言葉ではないと思うので、まだそういったことを自分の中で考えて楽しんでいる状況ではあります(笑)
――一方で、ドラマで演じられた鮎川誠さんの印象が強く、福山さんの印象から離れないんですが…(笑)。ドラマでは、結構弾き込まれていましたね。ギターをプレーする役は、前回のドラマが初めてでしたか?
そうですね、エレキギターは初めてでした。アコギは、Fコードを抑えられるレベルで、高校の授業であったので。
――Fコードは、ギターを弾き続ける壁ですから、それができるのは大きいですね(笑)。最近は映画から飛び出したバンドが、本当にメジャーデビューするというケースも結構ありますが、福山さんもそういったご希望などは?(笑)
いや~それは…(笑)。でも、それはいい形だなとは思います。俳優って、正直脚本があって、スタッフさんに撮ってもらって、各部署に支えられる職業じゃないですか。でもその俳優の仕事でやった作品がきっかけで、アーティストという、自分で商売を行う経験ができるようになるというのは。
――いつかそんなチャンスがあるといいですね。一方で普段はどんなふうに音楽と接しておられますか? 映画をたくさん見られるというところからも、たとえば音楽には映画監督的な視点で接しておられるのかなとも思ったのですが…。
でもわりと昭和が好きなので、吉田拓郎さん、さだまさしさん、イエモン(THE YELLOW MONKEY)、あとは尾崎豊さんも聴きますし。あとは浜田省吾さんとかもたまに聴きますし。あとは河島英五さんとか、結構昭和の時代に作られた音楽が、すごく自分に刺さるんですよ。もちろん今の音楽も聴きますけどね。
――そんな音楽というものは、福山さんにとってどのようなものだと考えられていますか?
ガソリンであり、癒しです。鼓舞してくれるときもあれば、自分を支える、気持ちが落ちたときに常に寄り添ってくれるもの。また映画よりも遠い存在ではない、たとえば近年ではボタン一つでなんでも聴けるという意味で…そうだな、友達かな?
――ある意味サプリメント的な感じでもあるのでしょうか?
あ、サプリ! それはいいですね(笑)。でも確かにそうですね、自分を高めてくれるというところは。
(おわり)