PassCode「成長していくには痛みを伴う」辛い経験も乗り越えて見える希望
INTERVIEW

PassCode「成長していくには痛みを伴う」辛い経験も乗り越えて見える希望


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年04月07日

読了時間:約16分

曲が嫌いになりそうだったレコーディング

南 菜生と高嶋 楓

――レコーディングのエピソードもお聞きしたいです。

高嶋 楓 前日に曲と歌詞が届いて、翌日にレコーディングをするというスタイルでした。ずっと聴き込んで寝ずに覚えるという感じで…。

南 菜生 レコーディングの時間がどんどん迫ってくるし、焦りもあったので曲が嫌いになりそうでした。

――曲の覚え方ってどうしてるんですか。とりあえず自分のパートだけ集中して覚える?

高嶋 楓 私の場合は全パート頭に残るくらい集中して聴いて、その後に自分のパートを重点的に覚えます。そうしないと全体の雰囲気が分からないままになってしまうので。

南 菜生 今は歌う場所も決まっているので、昔に比べたら楽です。インディーズの頃は全部録ってから、振り分けていたので。歌割りの表をもらわなくても聴いた感じで、誰が歌うのか分かるようになってきて、それは平地さんのイメージと合ってきてるなと感じています。

高嶋 楓 今回、2人で歌っているところのペアが私と南のペアと今田(夢菜)、大上(陽奈子)ペアで歌うところが多いんです。違うメンバー同士だと違和感があったみたいです。大上と南のペアだとどちらも歌声が強すぎて、うるさくなってしまうみたいで。

南 菜生 高嶋と大上だと声質が似ているから1人で歌っているみたいになって、高嶋と今田だと高嶋の声が通る声なので、今田が掻き消されてしまうんです。このペアの声質が合うみたいなんです。

――確かに凄く良い感じの響きになっていますよね。あと、全体的にキーが高いみたいですけど、それも大変そうですね。

高嶋 楓 「PROJECTION」のサビがずっと高いんです。

南 菜生 私は本当にこの曲のAメロが嫌いになりそうやった(苦笑)。早口の英語が多くて何を言ってるのかホンマにわからへんって。けっこうギリギリまで困ってました。

――今田さんのシャウトも次のステップに行ったのではないかなと思うんですけど、お2人はどう感じていますか。

南菜生 ある時期から凄く上手くなったなと感じているんですけど、正直ずっと聴いているから分からないんですよね。

高嶋 楓 『ZENITH』のレコーディング辺りから変わったんかな?

南 菜生 レコーディングもそうだけど、『ZENITH TOUR』で出来ることの表現の幅が広かった気がしています。あのアルバムはシャウトで挑戦があって、そこで苦戦して、ライブをやっていく内にどんどん出来るようになっていった感じがあります。歌もシャウトも求められる事が増えていくと出来る事も増えて行くと思うんです。自然と出来ていっている感じもあるので、自分たちではあまり気づいていないんです。

――「Taking you out」や「In the Rain」のような出だしからシャウトで入る曲もあって、高嶋さんと今田さんのシャウトの掛け合いも見られて、新しい表現方法がこのアルバムには詰まってますよね。

高嶋 楓 平地さんが掛け合いをやってみたかったみたいです。平地さん次第でまた掛け合いもあるかもしれないです。

――楽しみですね。今作『CLARITY』はPassCodeにとってどのような1枚になりましたか。

高嶋 楓 インディーズの時は今作のようにすごくカラフルな作品で、メジャー1stアルバムの『ZENITH』は1色な感じやったんで、すごく懐かしい感じが『CLARITY』にはあるけど、すごく進化しているPassCodeが表現できていて、これからが楽しみな1枚になったと思います。色んな曲があるので、どれかは好きになってもらえるんじゃないかなと思います。

――インディーズの頃に近い感覚もありますよね。メジャーに来てからはラウドな方向性を打ち出していたと思うんですけど、ここに来て明るい曲が多くなったのは何か意識変化があったのでしょうか?

南 菜生 平地さんは18年から19年に掛けて曲を作っていく中で、明るい曲が好きと思えるようになったと言っていました。それを最後の曲「WILL」で表現したみたいです。あと、今までPassCodeを認めてくれる人ってすごく少なかったんです。認めてくれる人が段々増えてきたことによって、明るい曲も作りやすくなったんじゃないかなと思います。

高嶋 楓 『ZENITH』の時はとにかく知ってもらいたくて、1stアルバムということもあり凄く尖っていたんだと思います。

――今はまた違うベクトルに向かっているんですね。さて、ライブなど目白押しですが、これからのPassCodeの展望は?

南 菜生 私たちは凄く歩みが遅いんじゃないかと不安になる事があります。今回のZeppツアーが決まったのは、前回の『Taking you out』ツアーの時なんです。私たちが求められているものって動員にしてもパフォーマンスにしても、もっと大きいものなんじゃないかなと思っていて、もっと歩みを速くしないといけないなと思っています。ライブのクォリティを上げるのもそうですし、知ってもらえるスピードを上げなければいけないんです。

 焦りも感じているんですけど、今までも納得するという事がなくて、そこに着いたら次の場所が待っていて、その繰り返しなんです。自分たちがやっと追いついたと思ったら、次の目標地点が置かれていて。そこに行くために必死に足掻いて、ゴールが見えない感じが面白いんです。「どこまでいけるんやろう」という感じはあります。同じキャパ間でツアーをやっていても面白くないし、常に困っているのが良いのかなって(笑)。

高嶋 楓 新しいツアーの発表があるたびにメンバー全員「無理かも…」って言うんですよ。でも、それに向かって頑張るので、その時には身の丈に合って来るのかなと信じてやっています。

――今までもそうでしたけど、今を頑張れば結果がしっかり付いてきますよね。PassCodeはアイドルですけど、何かその辺も超越した感じがありますよね。

南 菜生 すごく都合の良いグループだと思ってもらって大丈夫です(笑)。アイドルしか出れない番組にはアイドルとして出ますし、アイドルが出にくい所なら「女性グループです」と言って出ますから(笑)。自分たちから「こういうグループです」というのは、言わないようにしていて、その人たちから見て感じたもので良いというのが、私たちの基本姿勢にあります。こういう風に思われたら嫌だとかもないんです。すごく自由なんです。

――何にでもなれてしまう、ある意味最強の存在ですね。さて、最後に前回、高嶋さんと大上さんにはお聞きしたんですけど、今のPassCodeを一言で表すなら、どんな言葉が良いですか。

南 菜生 私は「成長痛」です。やっぱり成長していくには痛みを伴わなければいけないなと思っていて、痛みがあった分だけ成長出来ているなと。最初にもお話しましたが『ZENITH TOUR』はグループの存続が危うくなるくらい辛かったですし、悩みました。それで私は声が出なくなったり、身体もボロボロで…。それを乗り越えて『Taking you out TONIGHT! Tour』をやって、その痛みがあるからここまで来れたんだなと思えるようなグループだからこそ、ずっと成長痛があるほうが良いんじゃないかなと思います。辛いことや悲しいことがあっても、パフォーマンスに活きてくるのならば、それで良いと思えてしまうんです。

――追い込みますね…。さて、高嶋さんは?

南 菜生 前回、何て言ってたんだっけ?

高嶋 楓 確か私が「現在突進」で、大上が「停滞阻止」と言ってた(笑)。なので、今回私は「向上希望」ですね。 阻止するだけではなくて今は向上していきたいです!

(おわり)

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