BoAの最新シングル「スキだよ -MY LOVE-/AMOR」が4月3日にリリースされる。「AMOR」は昨年12月におこなわれた、自身7年ぶりとなるクリスマスライブ『BoA THE LIVE 2018 ‘X’mas’』で初披露された新曲だ。このライブは昨年12月20日・21日、舞浜アンフィシアターで開催された。その時期ではぴったりだった「メリクリ」など、日韓それぞれでリリースした楽曲を織り交ぜ、全19曲を披露した。クリスマスにちなんだ衣装やトークではファンと掛け合うなど、まさに温かみが溢れるクリスマスライブとなった。この中では「AMOR」のMV撮影秘話も明かされた。リリースに先立ち20日初日公演の模様を以下にレポートして、新曲の雰囲気を伝えたい。【取材=木村陽仁】

幕開けは「First snow」

BoA(撮影=田中聖太郎)

 円形ステージの奥には幕がかかっていた。開演前から「BoA」コールが響き、黄色いペンライトがあちらこちらで灯るなど、すでに熱気にあふれている。定刻が過ぎ、場内の明かりが落とされると、幕が左右に開けていく。その中央から漏れるまばゆい光。徐々にステージの全貌が明らかになっていく。

 下段の横幅は3メートルほど、上になるにつれて狭くなる台形のような7段ステージ。その最上段で凛々しく立っているのが、赤い衣装に身を包んだBoAだった。彼女の姿を確認した瞬間に割れんばかりの歓声が轟く。その7段ステージを中央に、左右にキーボード、パーカッション、ギター、ベース、ドラムが並ぶ。左右5つのライティングがダイヤモンドのように輝く。

 そのなかで幕開けを飾ったのは「First snow」。突き抜ける伸びやかな歌声でその世界を広げていく。幻想空間のなかで、次曲へと紡ぐのはアコーディオンの跳ねる音。心地よいリズムはやがて「Manhattan Tango」へとなる。7段ステージを下り、円形ステージに移動するBoA。ここからは男女4人のダンサーも加わる。そして「Mannish Chocolat」。変わらずの魅力で魔法をかけていく。

 MCでは愛くるしい一面を見せる。「ようこそ! (ライブの)頭から走りましたね! クリスマスライブは7年ぶり。久しぶりに歌うものもあれば、初めて歌うものもあります。2曲目と3曲目はアンケートで歌ってほしい曲の上位に入っていたので歌ってみました」。ファン思いの一面がのぞく。

 「じっくり聴いて楽しんでください」と言うと、カウンターチェアに腰かけ、ここからはしっとりとバラード曲を届けていく。まずは、韓国でリリースしたアルバム『WOMAN』収録の「If」、そして「Only One」を挟んで、同じく韓国のアルバム『Kiss My Lips』収録の「Home」。「私このままでいいのかな」ではピアノ伴奏で丁寧に歌いあげていくと、後半からは弦楽器も加わり、壮大に。ライトは焚かれたスモークによって反射し、幻想的な空間を作っていた。

 改めてMC。ファンの質問に答えながらトークを展開。笑みを多く見せるBoAが印象的だ。「私、カツサンドが好きで、レコーディングが始まる前にはカツサンドがないとだめ。お菓子は食べないから間食にいいなって」と可愛らしいトークにほっこり。また、日本酒をプロデュースしたことも紹介。その商品名は「晴れの日の雨」。「雨女」とも言われている彼女らしいネーミング。「私が味を見して選びました。辛口が好きで、夏は冷酒、冬は熱燗がいい」と明かした。

 改めて「クリスマスの雰囲気に合わせて選曲しました。懐かしい曲もあるので、知っている人は一緒に歌ってください」とクリスマスバラードを届ける。まずは懐かしのナンバー「JEWEL SONG」。そして、カバー曲「The Christmas Song」。彼女持ち前の、伸びやかで透き通る歌声が響き、観客の心を満たしていく。そして「Winter Love」。曲の後半、バンド演奏を残し、BoAは円形ステージ中央から奈落へと下がり消える。

満天の星空のもと「メリクリ」

BoA(撮影=田中聖太郎)

 暗闇のなかでヒールの音が響く。7段ステージの上にいるのはBoAの姿。先ほどの衣装とは異なり白一色。そのなかで「Woman」。ダンサーも加わり、アグレッシブに届けていく。男性ダンサーに抱えあげられるなどのダイナミックな演出も披露。「ONE SHOT, TWO SHOT」から「NEGA DOLA」のメドレーでは大歓声とともにシンガロングが巻き起こり、熱狂。BoA自身も後のMCで「皆凄く歌って踊ってくれて嬉しかった。ボリューム的には普通のツアーぐらい」と笑みをこぼすほどの盛り上がりをみせた。

 そして、4月発売の新曲「AMOR」を初披露。フレメンコ調のアコースティックギターが印象的なバラードナンバー。跳ねるリズムのなかで、そのまま「皆の声もっともっと聴かせて!」と「Jazzclub」。ジャジーな空間のなかでBoAもノリノリ。スキャットも繰り出し、華やかに彩る。「韓国の歌ですが一緒に歌って」とファンキーな「Little More」を届けた。腰をくねらせたり、脚を伸ばしてステップを踏んだりと妖艶なダンスを披露。ステージの両サイドを移動しながら、観客にあまねく魅せる気遣いもあった。

 「楽しんでますか!」とBoA。ダンスでも魅了させた彼女は少し息を切らせながらも笑みを見せる。「新曲の『AMOR』は自分で作曲した曲です。いかがでしたか?」とBoA。大歓声に再び笑顔。ここで撮影秘話を紹介。極寒の韓国で撮影したというこのMV。幾つものの倉庫を渡り、「気温はマイナスで、短いパンツ、袖のない衣装で、外で撮ったの」と苦労話。大変だった撮影を、笑みを浮かべながら振り返る彼女には愛くるしさがあった。

 そして「ライブが終わった後に、後悔してもだめよ」と煽り、“クリスマスパーティー”は佳境へ。「No.1」から「Lookbook」へと流れるメドレーから、ラストは「VALENTI」。煌びやかに舞う銀テープも演出に華を添え、幕を閉じた。

 余韻が残るなかで巻き起こるアンコール。奈落からリフトアップされ再登場したBoAはディープグリーンのミニスカート。ステージバックには満天の星空が映る。そのなかで、「メリクリ」を披露した。「『メリクリ』をフルサイズで届けました。14年前の曲ですが、良い曲は時間が経っても響くなって自分でも思います」と振り返った。

 衣装について「可愛い?」と確認。声援を起こると再び笑みをこぼして「人間ツリーだってよ」と健気だ。「ライブで久しぶりに歌う曲が多かったから。『Winter Love』も久しぶりだった」と感慨に触れると、「冬の素敵なラブソングです。じっくりと聴いてください」と「LOVE LETTER」を届ける。イントロが鳴った時点で歓声に沸く。

 最後に「今年は皆に会う機会が多かったと思います。素敵なライブを作ってくれたバンドメンバー、ダンサーに拍手をお願いします。初日はバタバタしてどうなるかと思ったけど、最初の曲が始まったときに楽しみが湧いてきた。温かいライブになったと思います」と笑顔。別れを惜しむかのように最後まで手を振り続け、ステージを後にした。

 歌唱力やダンスで魅せ、トークでは愛くるしさで魅せる。「笑顔」という言葉を多用したが、それほど、笑顔を印象的だった。信頼をおけるファンに見せた「笑顔」。そんなBoAの魅力が凝縮された一夜だった。

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