音楽で強くなれる――、桜田通×高橋朋広監督 始まりの音『ラ』
INTERVIEW

音楽で強くなれる――、桜田通×高橋朋広監督 始まりの音『ラ』


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:19年03月30日

読了時間:約17分

音楽があったら、もうバカ狂っていても許される

高橋朋広監督、桜田通

高橋朋広監督、桜田通

――映画を見て思ったのですが、桜田さんは指が細長くて、ギターの指板を押さえるフォームがすごく美しいですね。あまりご自分ではそういうことは意識されないですか?

桜田通 いや、僕は普通に綺麗な手だな、って。

高橋朋広 自分で言えるって良いよね(笑)

桜田通 いや、まあ人からそう言われることがよくあるので、そうなのかなぁ、って思っているだけなんですけど。あまり意識したことなかったけど、これが綺麗な手なのか、って。まあこれが金になるようなことがあるわけでもないですし(笑)。でも確かに見映えがいいというのは、嬉しいですね。

――ギターはプレーされて長いですか?

桜田通 まあそうですね。最初に買ったのが小学校6年生くらいで、真面目にやりだしたのは高校生くらい、エレキギターを始めたのもそれくらいでした。

――そのときに弾いていた曲とか、覚えています?

桜田通 最初に練習した曲は、BEAT CRUSADERSの「HIT IN THE USA」ですね。アニメ『BECK』の主題歌だった曲。で、そのときにギターを始めたので、最初はそれを練習していました。

――では、それからずっと? その頃から役者にも?

桜田通 小学校5年生の頃から事務所に入っていて、その頃からずっとやっていました。

――途中で役者をやめて、ギタリストになりたいと思ったことなどはありませんでしたか?(笑)

桜田通 最初はずっと音楽をやっていたんです。でもそれはバンドじゃなくて、歌って踊って、って。で、中3くらいから芝居を始めたんです。ギターもまあ、今回は『ラ』もそうですし、他の映画とかでも弾いているので、僕にはわりとそんな印象がついていると思うんですけど、実はギターを弾くこと自体はそれほど好きというわけではなくて、作曲のためでしかやっていないんです。

 だから元々僕はバンドで、ボーカルだけやりたかったんで。でも、曲を作るときにギターは必要なので、それで弾いていたものがいろんなことに使えたので、すごくよかったと思っていますけど。

――ここでおうかがいしたいのですが、お二人にとって音楽とは、何でしょう? 音楽に対してどのようなものを求めるか、というところですが…。

桜田通 監督! “常に日常にある、切っても切れない存在”という回答はやめましょうね(笑)

高橋朋広 そうだね、それは禁止(笑)

――ご自分でハードルを上げられましたね(笑)

桜田通 だってそれはしょうがない、当たり前すぎますから(笑)。何でしょうね、音楽って…最近、音楽って僕は建前だと思っているんですけど。

――建前?

桜田通 音楽があったら、もうバカ狂っていても許されるじゃないですか?

高橋朋広 確かに。

桜田通 だから、本当はそうありたい、という姿を普段、街中でやったらおかしい人間だと思われるけど、音楽がある、音楽の世界にいるからこそやれるものがあるという。音楽がないと、言えないことがいっぱいある気がしているんです。

 それは別に歌詞を書く、書かないというのとは別に、爆音で音楽を聴きたい、そこでメッチャ頭を振りたいと思っても、それを街中で、一人イヤホンで聴いてやっていたら、ちょっとおかしな人と見られるかもしれない。だからそれがやりたいのに普段はできないからこそ、音楽を掛けられるところで掛けたとき、またはプレーしたときにだけできる、みたいな。何か音楽があったほうが、強く生きられる気がしていますね。

――ある種、免罪符のようなものだと? それはすごく新鮮な答えですね。

桜田通 免罪符は結構近いですね。強くなれる、自分の武器みたいなものかと。

――高橋監督はいかがでしょう?

高橋朋広 ちょっと似ているけど、僕にとっては、素敵な“添え物”みたいなものかと思います。音楽の世界に生きているんじゃないからこそそう思うみたいなところはあって。この映画にしたって音楽の世界で生きていたとしたら、多分作ってないんじゃないかなと(笑)、気持ち的に気恥ずかしくて。でもこの脚本とかを書いているときにも、ずっと音楽を聴いていたし、何かというと音楽はものを作るときでも、すごく力になってくれるし。または映像の世界で生きていると、音楽があるのとないのでは全然色味というか、その作品の風景が違って見えるし。

 僕は本流じゃないからこそ、あえてそういう言い方をするんですけど、またあくまで音楽は良いものであるという前提の上で、すごく素敵な添え物だな、と。それがあるから画が華やぐ、それがあるから力になることや、シチュエーションがいっぱいあるんじゃないかと思っています。

(おわり)

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