浜田麻里「次の人に繋がるものをしっかり残したい」デビュー35周年の矜持
INTERVIEW

浜田麻里「次の人に繋がるものをしっかり残したい」デビュー35周年の矜持


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年03月17日

読了時間:約17分

次の世代に繋がるものを残していきたい

浜田麻里

――最初に歌というものを意識したのは?

 それこそ幼少期は、美空ひばりさんなどの歌謡曲しか知りませんでしたが、自分に音楽をやる才能があると思ったのは、小学校で合唱クラブに入ったころです。そこで下級生に教えたりしているうちに、自分は音感が人よりもいいことに気づき、歌うことが当たり前になっていました。小学校の卒業文集にも「私はプロのシンガーになるので、そのときは応援してください」と、しっかり書いてあります。

――ご両親もそれを応援して?

 反対はされなかったですけど、干渉もされなかったので(笑)。それで小学生のときに親には内緒でオーディションに申し込み、そこでいい成績をおさめた関係で、中学生のころにはすでにCM曲などを歌っていて、自分の中ではプロになるのが自然でした。それで高校生になり、どういう形でデビューしようかと考えていて…。

 当時、世の中で流行っていたのはニューミュージック系で、それこそ松任谷由実さん、尾崎亜美さん、八神純子さんなどのような形でデビューする提案もいただいていました。同時に、高校時代は洋楽のディープ・パープルやレインボー、スコーピオンズなどのハードロックのカバーバンドが流行っていて。私は趣味でハードロックバンドをやるようになって、その趣味のバンドで「EAST WEST」という、YAMAHA主催のロックバンドコンテストに出場し、そこでスカウトされたんです。ハードロック系の女性ボーカルはほぼいなかったですし、そのころにはもう、それをやることが新しいと確信を持っていました。

――ベスト盤には、そうしたデビュー当時の写真も掲載されています。懐かしい写真をご覧になっていかがですか?

 周年があるたびに昔の写真を掘り出して、以前は恥ずかしさもありましたけど、さすがにもうそういうのはありませんね(笑)。ただアナログレコードの時代の写真はフィルムで撮っていて、そのフィルムも残っていなかったりするんです。そのためジャケットをスキャニングしてサイズを小さくすると、真っ黒になってしまって、それを明るくするなど調整する作業が大変でした(笑)。

――アイドルっぽい時代の写真も貴重です。

 男性誌や少年誌のグラビアで巻頭を飾ったりしていた時期です。一時期、メイクがすごく濃くなった時代もあって、ファンの方の中には、私=メイクが濃いという印象をお持ちの方もいらっしゃって。それは、撮影もアメリカでやるようになって、ヘアメイクさんも向こうの方になったからであって。普段は、いたって普通だったんですよ!

――ファンの世代によって、浜田さんに対する印象がいろいろなのは35年もやっていればこそですね。そうした世代による違いは、『Light For The Ages』と付けられたタイトルに反映されていると思いました。1曲1曲が、聴いてくれる世代それぞれにとっての光のようなものである、と。

 おっしゃる通りです。このタイトルは、最後のギリギリに付けさせていただきました。長い期間であることを感じさせながら、自分の思いを言葉にした結果こういう言葉が浮かびました。

――40周年でベストを出すときは、昭和、平成、新元号の3元号の楽曲が収録されることになると思うので、また面白いものになりそうですね。

 そうですね。40周年のタイミングでは、10年ごとにリリースしている私が監修するベストアルバム『INCLINATION』シリーズの『Ⅳ』がありますので、それは出したいと思っています。

 女性ロックシンガーでこれだけ長く継続して、メジャーでやっている人は他にいないと思いますし、その上でこれだけの枚数のアルバムをソロで作ってきたアーティストは世界的にも他にはいらっしゃらないそうです。その意味では、道を作っていきたいと思っています。記録と言うと自分のためのものになってしまいますが、それだけではなく、次の世代に繋がるものをしっかり残していきたいと思っています。

――4月には26年ぶりの日本武道館公演も開催されます。懐かしい曲も歌われますか?

 『The 35th Anniversary Tour “Gracia”』の一環ですので、あくまでも最新作『Gracia』を中心にしたものになります。基本的には現時点での自分の姿を観ていただくことと、未来の自分に対して期待していただけるようなものにしたいと考えています。ただ、せっかくの26年ぶりの武道館ですので、なるべく懐かしい曲も歌いたいと考えています。ぜひ楽しみにしていてください。

(おわり)

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