世界一を経験、振付師・Ruuが考える音楽とダンスの関係性 IZ*ONEの振付も
INTERVIEW

世界一を経験、振付師・Ruuが考える音楽とダンスの関係性 IZ*ONEの振付も


記者:小池直也

撮影:

掲載:19年03月06日

読了時間:約12分

IZ*ONEは今までで一番のアイドル

Ruu

――インスピレーションはどこから生まれるんですか?

 ファッションですかね。色や衣装やメイクが一番先に出てくるかもしれません。「こういうことがやりたい」というざっくりしたコンセプトやストーリーを決め、それから曲を3日間くらいかけてPCと向き合って探します。それでいい曲が見つかれば作り始めるという感じ。何を見て、とかはあまりないです。湧き出てきます。才能ですかね(笑)。

 普段から人の作品もあまり気にしません。もちろん好きな作品はたくさんあって「あの曲良かったな」「あの人たち上手だったな」と何度も見ます。でも、そういうのはコンテンポラリー(ダンス)だったり、全然違うジャンルのことが多くて。だからパクることもないですし、パクる要素もない。影響もないです。やっぱり本当に上手い人のスキルには追いつかないから「あれをやっても無理だな」と思ってしまうんです。

 だからNBCの時は「ターン回っちゃだめ」とチームで決めていました(笑)。だって、ターンのレベルが違いすぎるんです。ターンしない、ジャンプしない。自分たちにしかないことしかやらない。だから、手の動きやオリジナルの動きをたくさん取り入れました。

――では、何がRuuさんの強みだと思われますか。

 私自身幼い頃からたくさんのコンテストに出て、勝ったり負けたりを繰り返していました。やっているうちに勝てる作品が作れるようになりましたね。だんだん振付も普通じゃつまらなくなってきたので「バラをかじってるように!」「雨で濡れた砂を爪で集めるように!」「骨折した鳥のようなポーズして!」みたいな指導をするようになって(笑)。メンバーと私は長年一緒に踊ってきたので、私の振りに慣れているし、感覚がすぐシェアできたりすることが勝てた何よりのポイントだと思います。短期間での勝負ですから。ただ上手いだけの子を連れていったら、微妙になっていたんじゃないですかね。

――海外と日本で一番違うなと感じたことは?

 自信です。みんな英語がわかるから、言語的な不安要素は少なかったんじゃないかと思います。海外のダンサーは表現力がただただオーバーで、ずるいなと思いましたけど。私はどんなネタを見ても「これなら勝てる」という感覚でしたね。あとは本番前のメンタル。私たちは舞台袖でど緊張でウォーミングアップしているなか、かなりリラックスしていて、笑顔でステージに出ていくのが衝撃でした。

――音に対してこだわる部分はどこですか。

 ダンサー以外の人が飽きないパフォーマンスには音が重要だと思っています。もうダンサーに向けて踊ることも減ってくると思っているんですよ。アーティストさんや、一般の方などにたくさん見てもらいたくて。そういう人たちが見た時に刺激的な流れを音で作り、キャッチーな要素とコアな要素をうまく混ぜることを意識しています。だから、音の展開などが大切。

 私は色々な人が感動できるものを作りたいんですよ。好きな音で踊るんだったら、自己満足で踊ればいい。でも何を目指しているのか、どこで踊ることを目指しているのかを考えると、音の選び方や編集、踊り方が大事になってくる。音の編集はいつも直感で「ここ要らないな」という場所がすぐわかるんですよ。踊りやすいかとか色々なことを考えながら、いらないところを削って、2分半バージョンを作ります。そこからさらに削って、1分版を作って、みたいな感じです。日本とか海外を意識した選曲とかはしていません。

――ところで、Ruuさんはアイドルの振付にも携わっています。その時はご自分の作品作りとはまた違うアプローチをされます?

 そうですね。基本的には「こうしてほしい」という要望に全力で応える様にしています。自分のこだわりはもちろん入れながらですが、変にこだわりを強くしたり「こうじゃなきゃできない」というのはほとんどありません。アーティストさんがしたいことや監督さんが求めていることに沿いながら、自分のカラーを出せる様に心がけています。

 アイドルの方はプロのダンサーの様に踊れなくても、舞台に立つプロとしてのオーラがすごいんですよ。少し踊れなくても気にならないくらい、見せ方が上手いので見習ってほしいなと思う場面もあります。韓国のアーティストはたくさんのオーディションや戦いを得てデビューしますから、スキルも表現力も長けていますよね。

――最近だと、アイドルグループIZ*ONEの「ご機嫌サヨナラ」の振付を担当されました。

 はい。とっても可愛くて、練習熱心で驚きました。韓国人のメンバーがほとんどだから、日本語の歌を練習するためなのか、練習がしっかりできました。振り入れ自体が4時間くらいで、本人たちはそこから自主練(習)していましたね。難しかったのでみんな苦戦していたみたいですけど、次の日に見たら完璧。やっぱり違うなと。ライブ前日の質問も「ここの部分はこれとこれ、どっちですか?」というものばかり。しっかり自分たちで練習して、さらにその詰めを先生に聞きにくる感じです。任せっきりではなく、自分たちで全部やる。これぞアーティストだと感じました。

――難しい振付にしたのも、彼女たちの実力を見て?

 そうです。ダンスはみんな踊れますし、私にオファーが来る以上、簡単な振付を求められる事は少ないので。グループの雰囲気は日本のことは日本の子が、韓国のことは韓国の子が和気あいあいと教えあっているイメージで、仲良く言葉のやりとりをしていましたね。

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