浅井健一「自分が正しいと思った道を生きていく」ネット社会から生まれた「ぐっさり」
INTERVIEW

浅井健一「自分が正しいと思った道を生きていく」ネット社会から生まれた「ぐっさり」


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年02月28日

読了時間:約11分

 

自分が強くなること

浅井健一(撮影=冨田味我)

――今作は浅井さんの完全ソロという形式を取られていますが、なぜソロ名義で今回はリリースしようと思われたのでしょうか。

 THE INTERCHANGE KILLSはものすごく最高なんだけど、、違う血も入れようと思って。

――「HARUKAZE」というタイトルに込められた意図はなんでしょうか。

 何となく「HARUKAZE」かなと思ってさ。

――歌詞はどのような心境の時に書かれたのでしょうか。昨年に出された詩集『宇宙の匂い』で書かれていた内容とリンクする部分もあるなと感じました。

 この曲は秋頃に書いてたんだけど、確かに「宇宙の匂い」と重なる部分はあるね。でも、歌詞の内容について説明するのは俺はナンセンスだと思っていて、聴いてくれた人が自由に感じてくれればいいかな。

――歌詞に「ふるさと 」というワードが出てきます。浅井さんにとって故郷は名古屋以外にも、そう感じられる場所はありますか。

 いや、もう故郷といったら名古屋しかないかな。

――東京は第2の故郷みたいな感じにはなっていないですか。

 なってない。東京に関しては「いつまでここにいるんかな?」という感じかな(笑)。

――そうなんですね(笑)。さて、レコーディングでは、新しいチャレンジはありましたか。

 いや、いつもと同じで、バンドで一気に録ってる。普段と変えたところはないかな。

――通常、歌も一緒に録っているのでしょうか。

 一緒に録ってる。その後歌だけでとったりするけど。越えられないことが多い。

――基本的にはライブと同じ感覚なんですね。さて、もう一曲の「ぐっさり」は照井(利幸)さんが久しぶりの参加ですが、今回はどのような経緯での参加となったのでしょうか。

 電話して、「ソロ作るから照ちゃんベース弾いてくれる?」って。そうしたらすぐに「いいよ」って返事が来て。

――即答だったんですね。PONTIACSでもご一緒されていますが、久しぶりに一緒に音を出されてみていかがでしたか。

 照ちゃんのベースはもう凄い領域にまで行ってる。本当に凄いよ。

――ベースプレイにも注目ですね。さて、タイトル何ですがも一曲の「ぐっさり」というのはインパクトがあります。これはネット社会のことを歌っていますか?

 そう。

――確かに心に突き刺さるような言葉でネットはあふれていますよね。

 何かにつけてそうじゃん。そういうのすごく嫌でさ、みんながみんな傷つけ合っているアホな状態。そんな心境の中で生まれた曲が「ぐっさり」。

――そういう場所を敢えて探しに行っている感覚もあります。この状況を打破するのは難しいですよね?

 もう、みんなの心次第だよね。昔のサービスエリアのトイレの壁って落書きだらけだったじゃん。あれってネットの掲示板が出来始めたころからなくなったみたいでさ。あのトイレの落書きってものすごくレベルが低かったじゃない? どんな人間がこれを書いてるのかと。ごく少数だと思うんだけど。

――確かにそうでした。

 それが今度はネットで書ける。しかもそれが世界に広まる可能性も秘めてさ。だからネットの世界ってそのレベルのものなんだよね。今までそれとは無関係、相手にして来なかった人たちが巻き込まれてるんだよ。それで、そっちの世界に引きずりこまれちゃって、ごちゃごちゃになってる状態なのかもね。もちろん素晴らしいサイトのほうが圧倒的に多いのは知ってるけどね。

――私はそういったところには書き込みはしないですけど、目にしてしまう時があります。

 やっぱり反応してしまうじゃん人間って。それってすごく皆んな“ぐっさり”きてると思うんだわ。でも、そこからは逃れられないんだよね。そういった意味でもネットって人間に良くないものも齎(もたら)しているんだけど、逆に良い部分も齎していることもあるから。だから、戦っていくしかないわ。

――難しいですが、見ないという手段もありますよね?

 関係ないところで生きるということだね。それがあるべき姿かもしれない。同じ土俵に上がったら収集がつかなくなると思うしね。その中で大事なのは自分が強くなることで、そういうことにものともせず、自分が正しいと思った道を生きていくことが一番大事だと思う。

――強い心が必要ですね。その中で私は音楽やライブというものが、現実を忘れさせてくれることの一つでして、嫌なことがあっても良い音楽やライブを観た後はすごくスッキリします。そういった心をケアしてくれるものがあるのも良いのかなと思いました。

 本当? 俺もたまにライブを観に行くんだけど、ずっと観てられないんだよね...。プレイヤーになっちゃって、もうリスナーには戻れない感じでさ。

――見方が変わってしまった浅井さんが感動したライブがどんな音楽だったのか興味深いです。

 新宿のLIQUIDROOMで観たLove & Rockets(英・ロックバンド)はカッコ良かったな。確か90年代にやったライブだったと思う。

――浅井さんの感動するハードルは高いと思うので、そのライブ、観てみたかったです。さて、浅井さんは今年で55歳になりますが、「五十にして天命を知る」という言葉があります。50代も折返しの年ですが、浅井さんの天命とはなんでしょうか。

 一生懸命音楽を作るということと、音楽以外でも作品を作って発信していくことかな。

――ありがとうございます。最後に「HARUKAZE」「ぐっさり」と配信リリースしますが、この2曲についてファンの方へメッセージをお願いします。

 今回の2曲を聴いて、良いなと思ったら色んな人に広めて欲しいね。沢山の人に知ってもらって、今まで作った曲の中にも良い曲が沢山あるから、そこまで掘り下げて聴いて欲しいかな。

(おわり)

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