シンガーの海蔵亮太が2月23日、愛知.・名古屋ボトムラインで東名阪ツアー『LIVE DAM STADIUM presents 海蔵亮太 LIVE 2019 「Communication」』のツアーファイナルをおこなった。ツアーは1月23日にリリースされたメジャー1stアルバム『Communication』を引っさげて、東京を皮切りに2月11日の大阪、2月23日の名古屋まで東名阪を回るというもの。オリジナルとカバー曲を織り交ぜ、伸びやかで透明感のある歌声をホールに響かせた。ツアー初日となった東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

みんなの前で歌えることは本当に幸せ

海蔵亮太

 開演時刻になり会場が暗転すると、サポートメンバーの高山和芽(Key)と、海蔵亮太と親交が深いR&Bユニット・MAY’Sでもサポートを務める佐藤 豊(Gt)、それに続いて海蔵亮太がゆっくりとステージに登場。アルバムのラストを飾るオリジナル曲「春つむぎ」で、人生初のワンマンライブの幕は開けた。アコースティックなサウンドに乗って、透明感のある歌声をホールに響かせ、オープニングからその美声に心が奪われるようだ。

 続いては、ル・クプルのカバーで「ひだまりの詩」、森高千里の「渡良瀬橋」と90年代のヒット曲を海蔵の歌声でオリジナルとは一味違ったカラーを打ち出していく。場面は一転し、海蔵はステージから放たれる青い光を受けながら、昨年テレビ東京系『THEカラオケ★バトル』でも歌唱した、さだまさしの「たいせつなひと」を披露。情感を込めた圧巻の歌声で訪れたオーディエンスを魅了した。

 MCでは歌っている時とはまた違った、ユーモア溢れるキャラクターで楽しませる海蔵。このギャップも彼の魅力のひとつだ。「これからも皆さんと何年も掛けて、多くの人に伝わるような歌を届けられるように頑張ります」とこれからの活動への意欲を語り、アルバムに収録されているオリジナル曲「巡恋慕」、「ぬくもりを残して」と切ない楽曲を表情豊かに歌い上げた。

 続いて、SNSに投稿された質問に海蔵が答えるスペシャルコーナーへ。多くの質問に次々と答え、海蔵の素顔が垣間見れたコーナーだった。

 ライブは中盤戦へ。中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」をエネルギッシュな迫真の歌声を響かせ、続いて、小学生の時に何故か涙がこぼれてしまったという思い出深い1曲、槇原敬之の「LOVE LETTER」を届けた。思い出の1曲ということもあり、感情的に歌い上げていく海蔵の姿が印象的だった。

 そして、AIの「Story」では、この曲の持つスケール感の大きさを余すことなく届けたかと思えば、グルーヴィーなORIGINAL LOVEの「接吻」を披露。オーディエンスもその心地よいリズムに合わせ手拍子で盛りたて、その上で歌う海蔵も体を揺らしながら楽しそうにパフォーマンス。演奏が終了すると客席から飛び交う声にも即座に反応し笑顔で返事をする海蔵。「みんなの前で歌えることは本当に幸せです」と喜びを伝えた。そして、ライブは後半戦へ。

目指すはレッド&ホワイト、紅白です!

海蔵亮太

 ここで披露されたのはカラオケ世界大会『KWC』でも言葉の壁を超え、優勝に導き、メジャーデビューのきっかけにもなった、海蔵にとって重要な1曲であるシンガーソングライター・中村つよしの「愛のカタチ」を熱唱。そのエモーショナルな歌声にオーディエンスも静かに耳を傾けた。

 ウキウキとさせるリズムが、このライブのフックとなっていたオリジナル曲「On My Way」で盛り上げ、「皆さんと同じ場所、同じ時間を共有できたことは、僕にとって素敵なことで、きっと忘れることはないと思っています」と、このライブで感じたことを述べ本編ラストは、さかいゆうの「君と僕の挽歌」を披露。オーディエンスもスタンディングで、<How’s it going? 調子どうですか?>と盛大なシンガロング。一体感あふれる空間を作りあげ、海蔵はステージを後にした。

 アンコールに応え、再び海蔵がステージに登場。ここで、海蔵といえばカラオケというイメージもあり、カラオケ機をステージに持ち込んで歌を披露することに。オーディエンスから桐谷健太の「海の声」やASKAの「はじまりはいつも雨」などリクエストが飛ぶなか、リハーサルで試しに歌っていたという、大塚愛の「恋愛写真」を、オーディエンスからのリクエストもあって歌うことに。点数を本気で取りに行くと意気込んで挑戦した海蔵。歌い終え表示された点数は96点。その点数に「こんなグラフ初めてみた。この機械厳しい!」と、決して低くはない点数に納得が行かない様子をみせた。

 気を取り直してカラオケ機でもう一曲、今度はデュエットで「愛のカタチ」を披露することに。デュエット相手にはオーディション企画で選ばれた女性1名とおこなった。この曲をデュエットをするのは初めてということもあり、海蔵もパートナーと向かい合い、緊張を解しながら「愛のカタチ」を歌い紡いだ。

 「今年は僕の方から皆さんにどんどん何かを届けられるように、成長していきたい。目指すはレッド&ホワイト、紅白です!」と年末の『NHK紅白歌合戦』を目標に掲げ、ラストはクリス・ハートの「I LOVE YOU」を凛とした歌声で届け、初のワンマンライブは大団円を迎えた。歌の持つ力を終始感じられた2時間。心地よい揺らぎの中、ライブが終わった後も長い間、歌声の余韻が体に残っていた。2019年はどんな歌を聴かせてくれるのか期待が高まった。

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