和楽器バンドが1月5日と6日、さいたまスーパーアリーナーでワンマンライブ『大新年会2019さいたまスーパーアリーナ2days ~竜宮ノ扉~』をおこなった。『大新年会』は、2014年に渋谷clubasiaでバンド初のワンマンライブとして開催して以降、毎年おこなわれている恒例行事で今年で6回目。昨年は全国25カ所26公演をおこなったグループ最長となる全国ツアー『和楽器バンド TOUR 2018 音ノ回廊 -oto no kairou-』を大盛況のうちに収めた和楽器バンド。この日「暁ノ糸」や1月16日に配信リリースされる新曲「あっぱれが正義。」などアンコール含め全23曲を披露し、多くの観客と1年の始まりを祝った。追加公演となった5日のもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

2人1組で演奏

和楽器バンド

 『竜宮ノ扉』というタイトルをから、ステージには水の流れを想起させるセット。BGMも水中にいるかのようなサウンドが流れ深海へといざなってくれる。客席アリーナ中央にはウイングのように広がったセンターステージも設置された。これから始まるライブに期待感は高まっていく。

 開演時刻になり会場は暗転。客席は紫色のペンライトの光で幻想的な光景が広がった。紗幕にメンバーをフィーチャーした映像が投影され、終了と同時に紗幕が落ちると空中に浮かんだ舞台に8人が威風堂々とした姿で登場。歓声のなか、ゆっくりと着地し「光の中で」で大新年会の幕は開けた。序盤から『「儚くも美しいのは」』、センターステージまで移動し盛り上げた「雪影ぼうし」とキラーチューンを立て続けに披露。「頭から一つになっていくぞ!」と鈴華ゆう子(Vo)の声から始まった「千本桜」では、早くもクライマックスとも言える盛り上がりを見せた。

 今回のライブは2人1組で演奏を披露するシーンが随所に盛り込まれた。「景の扉」と題されたセクションでは、亜沙(Ba)と神永大輔(尺八)によるコラボ。「Einzelkampf」という曲で、亜沙はスラップでベースをパーカッシブに演奏したかと思えば、神永は情緒溢れる尺八の音色を響かせ、会場を沸かせた。

 明治ロマンを感じさせた和楽器とジャズの融合したナンバー「シンクロニシティ」に続いて、いぶくろ聖志(箏)と鈴華のコラボで「前世の記憶」を披露。美しい箏のアルペジオに合わせ、華麗に舞う鈴華。日本の雅を感じさせたステージだった。

 バラードナンバー「砂漠の子守唄」は息を飲むほどの圧巻の世界観を見せた。全ての楽器がエモーショナルで、その上に乗る歌は感情を揺さぶり掛ける。和楽器バンドにしか出せない壮大なスケールでさいたまスーパーアリーナを包み込んでいた。

 「憂の扉」へ。メンバーが雪原に佇むVTRに観客の視線が集中する。映像が終了すると、8人がセンターステージに集結し「細雪」を披露。美麗なメロディがスッと心に浸透していくような空間を作り上げ、もう一曲「オキノタユウ」を演奏。昇降式の円形ステージがせり上がり、2段重ねのデコレーションケーキを彷彿とさせるよう。上段はステージがゆっくりと回転するなかで鈴華、町屋(Gt)、 蜷川べに(津軽三味線)の3人、下段に亜沙、神永、いぶくろ、黒流(和太鼓)、山葵(Dr)の5人に分かれパフォーマンス。

 ここで、メンバー1人ひとりが今年の目標を話し、真面目なコメントからユーモアのあるコメントでそれぞれの個性を打ち出していた。鈴華は「2019年は猪突猛進で行きたい!」と意気込みを述べたMCに続いて、「舞の扉」と名付けられたセクションへ。口火を切ったのは町屋と蜷川の2人で「Finite limits」を演奏。エレキギターと津軽三味線は、大きく見れば同じ弦楽器だが、特性の異なるサウンドによるコラボは、新たなケミストリーを生み出した。そして「Strong Fate」をバックミュージックに鈴華と11人の日本壮心流剣士らとともに剣舞を披露。凛とした鮮やかな舞に、音楽のライブということを忘れてしまうほど。

この8人が出会ったことが奇跡

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 アップチューン「白斑」から、黒流と山葵による「相反融合」を披露。このステージはドラムパフォーマンス集団「鼓和-core-」と和太鼓隊~黒流組~を引き連れてのパフォーマンス。2人はメインステージからワイヤーを使用し空中遊泳。センターステージまで装備した太鼓とドラムを演奏しながら移動するという前代未聞の試み。「太鼓でどーん! ドラムでどーん!」とコール&レスポンスでも楽しませ、会場が一体となったパフォーマンスで魅了した。

 その勢いからの「拍手喝采」で更に盛り上がりはヒートアップ。続いて、11月14日にリリースされた『義風堂々!!』シリーズのタイアップ曲の「義風乱舞」を初披露。2ビートの疾走感溢れるナンバーで盛り上げた。ここからライブもラストスパート。センターステージに向かう町屋のダッシュが見られた「星月夜」、「地球最後の告白を」と立て続けに披露し、ラストは鈴華が「音を全身に浴びて盛り上がりたい」と「暁ノ糸」で凄まじいエネルギーをぶつけ、本編を終了。

 観客が「暁ノ糸」のサビをメンバーが登場するまでリフレイン。その歌がアンコールの代わりとなり、ステージに鈴華が1人登場。天井から降り注ぐ光のなか、アカペラで「華火」のサビを歌唱。力強い歌声がホールの隅々まで響きわたり、バンドサウンドがさらにその歌をブースト。和楽器バンド初のオリジナルソングということもあり、並々ならぬ想いが込められているように感じた。

 鈴華は「(昨年は)和楽器バンドにはどんな可能性があるのかと考えながらステージに立ちました。この8人が出会ったことが奇跡であって、人生、心の財産だねということを最近メンバーと話しています。そのなかで私はみんなの人生にとってどうなのかな? とよく考えるんですけど、まずは自分自身をしっかりと定めて一番先頭を切って歩んでいかないと、8人を一つにすることは出来ない、そんなことを2018年は考えていました。日本の代表として世界へ行けるように、これからも進化しながら届けて行きたいです」と展望を語った。

 アンコール2曲目はライブの為に制作したという新曲の「あっぱれが正義。」を披露。年明けからCMでもヘビーローテーションされていて、キャッチーなメロディが中毒性を生むポップナンバー。コール&レスポンスや「きらきら星」のメロディをシンガロングするなど、ライブならではの一体感を作り上げ、ラストはタオル回し曲「空の極みへ」をダイナミックな演奏と感情を揺さぶりかける歌声を届け、ライブは大団円を迎えた。

 メンバーがステージを去ったあと、このステージのリハの様子を移したエンドロール。最後に「これからも共に歩んでいきましょう」とスクリーンにメッセージを残し、2Days初日の幕は閉じた。

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