和楽器バンドが11月28日、Vocalの鈴華ゆう子の故郷である茨城県・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホールで全30公演に及ぶ全国ホールツアー『和楽器バンド 8th Anniversary Japan Tour ∞ - Infinity -』の幕を下ろした。8月27日の神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールを皮切りに、全30公演にわたり開催した今回のツアーは、バンドのデビュー8周年イヤー突入を記念して実施されたもの。昨年以来コロナ禍においても、待っていてくれるファンがいる限りエンターテイメントの火は消さない、ファンの元へ届け続けるという意志の元、感染拡大防止のガイドラインに乗っ取り、コロナ禍の限定された状況の中でライブ活動を続けてきた和楽器バンドが、今創る音楽を存分に体感してもらおうとアルバム『TOKYO SINGING』と最新リリースであるタイアップ楽曲満載の「Starlight」 E.P.の楽曲を軸に、彼ららしいステージを展開した。

 スクリーンに垂らされた幕に映される大きな「∞」がやがて8周年、そしてメンバー8人を象徴する「8」へと変化すると、そこにはメンバーのシルエットが浮かび上がる。そのまま幕が上がると、ライブは、フジテレビ系月9ドラマ『イチケイのカラス』主題歌でスマッシュヒットを記録した「Starlight」からスタートし、客席は早くも紫色のペンライトで埋め尽くされ、早くも会場の一体感が急上昇。3段にそびえ立つステージセットには、上段に黒流(和太鼓)と山葵(Dr)、中段にいぶくろ聖志(箏)、下段に亜沙(Ba)、神永大輔(尺八)鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gt, Vo)、蜷川べに(津軽三味線)が陣取り軽やかな歌と演奏を届けていく。間奏では鈴華がキーボードで流麗な旋律を披露し、楽曲の持つ美しさを際立たせることに。続く「生命のアリア」では曲が進むにつれバンドから放たれるパッションが増していくと、3曲目には早くもバンドの代表曲とも言える「千本桜」が披露され、この日最初のクライマックスを迎えた。

鈴華ゆう子

 最初のMCではこの夏から始まったツアー中に迎えたコロナ禍の状況変化について触れつつ、鈴華が「この状況下でお越しいただいて本当にありがとうございます!自分の故郷でツアーファイナルというのも、もう2度とないかもしれないので、一生の思い出となるようなライブにできたらと思うので、最高のツアーファイナルをみんなで一緒に作っていきましょう!」と挨拶。声を出せない観客は、声援の代わりに盛大な拍手でバンドの熱意に応えていく。その後、ライブは「月下美人」の壮大なバラードから再び和楽器バンドの世界観へ。曲中、鈴華は扇子を手に美しい舞いを見せる。続く「ブルーデイジー」では町屋のボーカル&アコースティックギターもフィーチャーされ、鈴華との絶妙なハーモニーで優しい世界を作り上げていった。

鈴華ゆう子

 インダストリアル調のSEに続いて披露されたのは、町屋、亜沙、山葵の3人によるインストゥルメンタルナンバー「咎首」。ハードロック色の強い激しい演奏は非常にスリリングなもので、それまでの穏やかな空気を一変させる。続いては、3つの楽章から構成された組曲「ウロボロス〜ouroboros」で和楽器バンドならではの世界観を提示。第一楽章では箏と尺八のセッションに鈴華の和傘による舞が華を添え、第二楽章では和太鼓と津軽三味線の融合により凛とした空気が徐々に熱を帯びていく。そして第三楽章に入ると、和楽器で構築された気品漂う演奏に乗せて、鈴華が扇子や日本刀を手に流麗に舞う。さらに、途中からエレキギターも加わり、ドラマチックな構成で観る者を圧倒させた。その流れから亜沙(Ba)のボカロPとしての名曲でもある「吉原ラメント」に突入。ステージ両サイドには岐阜和傘をふんだんに使用した巨大な和傘のオブジェも登場し、ライブはお祭りのような盛り上がりを見せた。

和楽器バンド

 メンバー紹介を兼ねたMCでは、茨城・水戸の名物でもある納豆に関するトークをメンバー間で展開しながらも、コロナ禍の中でもライブができるのは、お客さんの協力があってこそという感謝の言葉が、それぞれのメンバーから丁寧に伝えられたのが印象的だった。MCに続いては、このツアーで唯一の日替わり曲コーナーへ。この日選ばれたのは「ゲルニカ」で、アグレッシブな演奏と華やかな歌で観客を圧倒する。さらに、NHK Eテレ『あはれ!名作くん』の主題歌「名作ジャーニー」では曲の華やかさに合わせて、ミラーボールやカラフルな照明も演出に加わり、日替わりソロパートでは鈴華が鍵盤ハーモニカでソロを披露する場面も。その後の「ドラム和太鼓バトル・対決列島〜砕打〜」では黒流&山葵のドラム和太鼓バトルに、観客もハリセンで加勢。今ツアー中に全公演で展開されたお客さんを2チームに分けてのチーム黒流 vs チーム山葵の対決は、14勝対15勝で迎えたが、最後なんと、勝負の直前で、このツアーファイナルは、300,000,000ptが加算されるという衝撃の展開となり、その結果チーム黒流が勝利した。

鈴華ゆう子

 観客もハリセンでライブに参加したことで、一体感がさらに強まったところで、ライブは「日輪」でラストスパートへ。バンドのエネルギッシュな演奏に合わせ、会場の熱量は最高潮へ到達。そして、今の時代を表したようなアップチューン「雨上がりのパレード」で晴れやかにライブ本編を締めくくった。

 アンコールは恒例となった亜沙カメラコーナーから開始。ここではサイコロで次の曲の煽り担当を決めるのだが、ツアー中に、山葵(Dr.)が行う筋肉ルーレットなるものが登場したりして、大いに盛り上がるコーナーとなったが、ツアーファイナルで煽りを受け持つことになったのは鈴華ゆう子。彼女の煽りで「Ignite」へ突入すると、ハードさとしなやかさが融合されたバンドの演奏とリズミカルな町屋のラップボーカル、伸びやかな鈴華の歌声が融合し、唯一無二の世界観を見せつける。

 その後、大きなノリの中にも儚さを感じさせる「生きとしいける花」を届け、最後に「30公演本当にみんなありがとう!また帰ってきます!」との言葉から、コロナ禍ならではの思いを乗せたアンセム「Singin' for...」でステージ上と客席との絆を提示し、ツアーファイナルらしく、お客さんとの写真撮影を実施して、30公演にわたる全国ツアーは幕を下ろした。

和楽器バンド

 この全国ツアーでの手応えを経て、和楽器バンドは2022年1月9日に毎年恒例となったベストヒット・エンタテインメントライブ『和楽器バンド 大新年会2022 日本武道館 ~八奏見聞録~』を日本武道館で行う。デビュー以来毎年行なっている和楽器バンドの大新年会。コロナ禍の過酷な状況下でも、独自のやり方でエンターテインメントを守り抜いた彼らが2022年の幕開けにどんなステージを見せてくれるのか、ぜひ会場で体感してもらいたい。【西廣智一】

セットリスト

■『和楽器バンド 8th Anniversary Japan Tour ∞ - Infinity -』 11/28(日) 茨城県・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール公演

00. Overture〜Infinity〜
01. Starlight
02. 生命のアリア
03. 千本桜
04. 月下美人
05. ブルーデイジー
06. 咎首
07. ウロボロス〜ouroboros
08. 吉原ラメント
09. ゲルニカ
10. 名作ジャーニー  ※本日よりデジタル配信スタート
11. ドラム和太鼓バトル・対決列島〜砕打〜
12. 日輪
13. 雨上がりのパレード
<ENCORE>
14. Ignite
15. 生きとしいける花
16. Singin' for...

 また本ツアー会場限定でCD販売が行われていた人気コメディショートアニメ NHK Eテレ『あはれ!名作くん』の主題歌である新曲「名作ジャーニー」について、音源を手にしたいという全国のファンの声を受け急遽本日よりデジタル配信が開始され、更に配信とあわせて『あはれ!名作くん』とのコラボ リリックビデオが和楽器バンドのオフィシャルYouTube Ch.で公開された。コラボ リリックビデオは『あはれ!名作くん』のキャラデザインを行なっているイラストレーターのJUN OSONが書き下ろした和楽器バンドメンバーのイラストと『あはれ!名作くん』の主要キャラクターのイラストを使用したアニメーションコラボリリックビデオとなっている。

■和楽器バンド / "名作ジャーニー" 『あはれ!名作くん』コラボ リリックビデオ

■和楽器バンド "名作ジャーニー"配信サイト一覧
https://wgb.lnk.to/meisaku_journy

「名作ジャーニー」のデジタル配信リリースを記念して、和楽器バンド 「名作ジャーニー」 × 『あはれ!名作くん』のコラボグッズの販売もスタート。グッズはコラボリリックビデオ同様にイラストレーターのJUN OSONが書き下ろした和楽器バンドのメンバーイラストを使用した、A5ノートセット(2冊)、ステッカーセット(メンバー8枚)、ブランケットとなる。こちらはUNIVERSAL MUSIC STOREでの販売となっている。

■和楽器バンド 「名作ジャーニー」 × 『あはれ!名作くん』コラボグッズ
smarturl.it/z01ht9

■和楽器バンド 「名作ジャーニー」特設ページ
https://sp.universal-music.co.jp/wagakkiband/meisakujourney/

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