西山茉希「ごまかしたくなかった」過去を語った理由、母になり変わった仕事観
INTERVIEW

西山茉希「ごまかしたくなかった」過去を語った理由、母になり変わった仕事観


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年01月16日

読了時間:約11分

分かってもらえることで救われる、育児における夫婦仲

 エッセイでは“ありのまま”を伝えている。そのなかには冒頭の一文や、母としての葛藤なども綴られている。たとえば夫婦間。育児の中で抱える感情をこうしたためている。

 <自分のストレスに気づいてもらえないことが、すごく苦しい>

 しかし、それまでため込んでいた思いを、夫に伝えたことで自身も楽になれたとして、<ただ感情をぶつけるのではなく、ちゃんと伝えることで、自分でも楽になれたことを覚えている>としたためている。その思いについてこう語った。

 「キャッチしてくれる人がいたら、伝えた方が良いと思うんです。生活や将来に対する悩みもあるかもしれないけど、多くは対人との間で生まれるもの。何かを考えて誰かを考えるから感情が生まれて。でもそれは人と過ごしている毎日があるから、いろんな喜怒哀楽が出てくる。その喜怒哀楽をコントロールするためには自分だけで処理しようと思ってもだめだし、人に与えられたものだったら人と解決していかないと前には進めないと思う。私も苦しんでいたけど、向き合うようになりました」

 その一方で、夫婦間だけではなく、自分自身の気の持ちようで心が開けるものもあるとしている。

 「辛いと言ったら辛いで終わるから、それをいかに楽しむかという思考でいようと思っています。それは育児だけではなくて、みんな生きているなかで辛いとか悲しいとかはある。その辛さを笑い話に変えられるような目線を持てば、少しは気が楽になると思うんです。イライラする原因が何か分かったら『こんなにイライラしている感じもバカバカしくて面白い』と思えるような心の余裕。馬鹿になれることも必要。最初のうちは出来ないかもしれないけど、そうやって声に出していくことで、近づけると思います」

 取材中に感じたのは“親近感”だった。新潟県長岡出身で2004年にたまたま訪れた東京・銀座でスカウトされた。18歳の時に上京し、デビュー。華やかに見える西山だが「もがいてもがいて、東京に馴染んで、東京が好きになれて、いまがあるので。こうした環境も好きになれたのは、自分が言葉で吐き出すことを怖がずにいられたことの一つだと思います」。

 歩む道は違うが、抱える感情は誰もが一緒なのかもしれない。

 親近感を得たのは西山の庶民的な考えもあった。トップモデルといえばブランド品を身に着けている印象はあるが、普段から愛用しているのはファストファッション。それを組み合わせた着こなし術もこのスタイルブックで紹介されている。

――ユニクロやH&M、しまむら、西松屋のファッションを取り入れたスタイリングもされていますよね。

 「長岡にいたころ、地元のしまむらには友達としょっちゅう行っていました。そこでお買い物していかにおしゃれするかみたいな。どうしてもこのお仕事をしていると、ファストファッションをしていると『意外だね』『庶民派だね』という声が返ってくるけど、私の感覚だと当たり前にあったものを、いまありのままで見せているだけなので、そんなに特別なことはないんですよ」

――ファストファッションだと着こなしが難しいと思いますが、工夫されている点は?

 「(品の切り替えの)回転が速いところなら良いんですけど、そうでないところは、ここで買ったことが分かるような柄のものは避けて、無地なものやシンプルなものをいかにミックスして着るというのも一つかもしれません。冬など寒い時期は、機能面でも優れているインナーを身に付けたり、その時期によって組み合わせは色々です」

誌面の一部(世界文化社)

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西山茉希
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