映画のストーリーに重ねた、大学卒業時の不安
――清水さんは2017年に、実際に大学を卒業されたということでしたが?
そうですね。昨年、大学を卒業しました。
――その意味でも、このストーリーとキリという役柄に、非常に自分でも深く共感するところがあったかと思います。私はこの映画を見たときに“こういうときは自分にもあったな”と思うときがありました。
確かに強く共感するところはあったと思います。たとえば劇中で就活に悩んでいる男の子、ユウキとかも。この役に当てはまる人も現在では結構多いのではないかと思います。
――就活…悩みますよね。今までは学校で決められた道を進んでいて、それが新しいタイミング、新しい道に進むとなったときに、大きな試練に直面させられるというか。このストーリーのまますごく共感する部分が、私にはすごくありました。ただ一方で、清水さんは大学にも通われていたという経緯もありますが、並行して役者もやられていたということもありますが、その点ではひょっとしたらストーリーの展開とはまたちょっと違うことを感じたりもしたのではと思いましたが、いかがでしょう?
やっぱり大学卒業間近には、私も同じような意識をしていました。周りは就活して、就職していきましたし。今までは基本的に学生時代の友達と一緒にいることが多かったんですが、その中で私がやっていた役者の仕事は、どちらかというと周りから見たらアルバイト的な感覚に見えていたと思います。もちろん、私自身はアルバイトだなんて思って仕事をしていたわけでは全然ないけど…。
――客観的な見られ方は違うと?
違っていたと思います。客観的な視点で見ると「私は今までアルバイトをして、アルバイトの給料をもらっていた」という感じ。でも私自身は「みんなよりも先に社会に出ている」という意識をすごく強く持っていました。
でも、大学を卒業となるときに、これからはみんな私と同じ社会人、大変なことがない限り、基本的には右肩上がりに進んでいくんじゃないかと。でも、私はこの仕事に対して「ここから私、いろんなことに対してもっともっと頑張りたい」と思っていたけど、その反面、役者という仕事はとても波のあるものだし、いち早く社会人となった私はここにいるけど、この差ってすぐ追いつかれちゃうと…。
――下手すれば、追い抜かれることも…
そう、追い抜かれちゃうと思うんです。だから正直もっと頑張らなきゃと思ってあせった気持ちでいたこともありました。
――先の見えないことにあせる気持ちは、おそらく誰にでもありますよね。キリという役柄のキャラクターはいかがでしょう? 清水さんご自身はこの役柄に対して、すごく自分が似ているというところは感じられましたか? たとえば高校卒業するまでは、田舎の自分の家にいて、親兄弟からは将来のことに関して“表に出ることは出できない”と将来を否定されながら、高校卒業時にいきなり表にバン!と厳しい世に放たれた、そんな状況に育ったキリは、なかなか自分から手を上げて何でもできるという感じの性格にはなれないところがあると見ましたが、それは清水さんご自身にもそういうところは?
あったと思いますね。今では少し違うかもしれないですけど、昔の自分の中には劇中のそんなキリのようなもどかしい性格を持った時期があったなと思いました。
――先程言われたことの中で“この映画は絶対公開されなければいけない”という強い思いがあり“この作品に賭けている”と言われていましたが、そういった共感できるところなども、“賭けている”という強い思いにつながっているのでしょうか?
作品に携わるということは、どんなものでもその作品に賭けるというか、この映画がヒットしたらいいなという気持ちはすごくみんなあると思うんです。なので自分たちの年頃に近い、若い子たちの群像劇だし、その中で良いものを出したいし、いいものを残したいという気持ちは強かったです。その意味で自身の思いを強く掛けてはいました。
――では演じるにあたって、役作りなどの作業ではそれほど難しい部分はなかったと?
もちろんシーンごとの葛藤はありましたが、この役が理解できない、というものはありませんでした。あとは時系列を整理して“あのときの自分の感情”を思い起こして、演じていました。
――見所もいろいろありますね。また、話が変わりますが、今作のキャッチフレーズには“もしも僕が天才だったら?”というキーワードがありますが、清水さんご自身が天才だったら、どうしてますかね?
え~どうしてますかね…? 天才だったら…? やりたいことを全部やりたいですね。宇宙飛行士とか(笑)
――おお、宇宙ですか…憧れますか?
憧れますね。天才だったら・・・あと世界中の言語を喋って、世界中の人と喋りたいです。
――それもですか? 欲張りですね(笑)
はい!(笑)あ、宇宙よりもそっちの方がいいかな(笑)。言語の壁って、やっぱりすごく大きいと思うので。世界全部の言葉を喋りたいです!(笑)