MIYAVI「ケミストリーや爆発を体感して欲しい」ニュー・ギター・ミュージックへの挑戦
INTERVIEW

MIYAVI「ケミストリーや爆発を体感して欲しい」ニュー・ギター・ミュージックへの挑戦


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年12月09日

読了時間:約14分

ギターでどれだけ歌えるか、を追求

『SAMURAI SESSIONS vol.3 - Worlds Collide -』通常盤ジャケ写

――MIYAVIさんは、ステージ上や普段でもすごく存在感があり、輝いていますがその秘訣みたいなものはありますか。

 はは、ありがとうございます。どうだろう、ロックスターとして人にドキドキやワクワクを与えられる存在でありたいなとは常に思っていますけど、いつもがむしゃらにやっているだけです。

――オリジナリティを追求しているMIYAVIさんですが、特に影響を受けたロールモデルみたいな方はいますか。

 たくさんいますよ。今回のアルバムでも僕自身、影響を受けたX JAPANのhideさんとコラボさせていただいて、彼からはクリエーションに対する姿勢、応援してくれるファンに対する姿勢、世界と対峙する姿勢という点でも大きな影響を受けています。でも、どう足掻いたって僕はhideさんにはなれない。だから、結局、影響を受けた上で、結果自分にしかないもの、自分とは何なんだろうというところを掘っていくことになります。それで出来上がったのが今の僕だと思います。

――その自分にしかないもの、自分の魅力、武器を見つけた瞬間というのはあったのでしょうか。

 見つけた瞬間というのはなかったと思います。日々、一粒ずつ見つけていくような感じというか。今も道の途中だし。

――もしかしたらギターを弾き始めた瞬間かもしれませんね。

 そうですね。その時に心が踊り出した感覚は覚えています。幼心に大観衆の前でロックをしている自分の背中が見えた。その時が全ての始まりだったと思います。

――さて、前作から約1年と早くも新譜が完成しましたが、vol.1からvol.2までが約5年ほど開いていたこともあって、今回はペースが早かったなと感じています。

 LAでは、リリースとか関係なく、コンスタントに現地のアーティストとセッションをやっていて。前作に引き続き、ギターでどれだけ歌えるかを追求しました。もちろん今でもガンガンスラップ奏法はやりますが、ギターで殴るだけじゃなく、ギターで奏でたい、抱きしめたい、聴いてくれる人を包みこんであげられるようなメロディを弾きたい。その上で、聴いて一瞬でMIYAVIだとわかってもらえるような、シグネイチャートーンを作りたいと思い、追求しました。

――「Worlds Collide 」と名付けられたアルバムとしてのコンセプトは?

 音楽に国境はないと言っても、見渡せばやっぱりまだまだ邦楽と洋楽の壁はある。レコードショップにも当たり前に邦楽フロアと洋楽フロアがあって。ジャンルで分けるのはわかるんですけど、邦楽と洋楽でわけるのは、もうそろそろいいんじゃないかなと感じていて。僕自身、ジャンルも、邦楽洋楽も関係ないところでやっているつもりなので、今回それをごちゃ混ぜにしたらどうなるんだろうなと思って。

――確かにこのアルバムは邦楽洋楽という垣根がないです。

 正直、聞く人にとってはごちゃ混ぜの幕の内弁当かもしれないし、和洋折衷のフルコースかもしれない。でも、僕にとっては有意義な実験で、ここから何が見えるんだろうというのがあって。邦楽ファンが洋楽を聴き出したり、逆もしかり。

――そういうきっかけになってもらえたら嬉しいですよね。

 そうですね。本当の意味で、言葉の垣根を越えられれば、本望です。僕としてもギタリストとして素晴らしいシンガーたちとセッションさせていただくということは光栄なことだし、勉強にもなります。

――その中で新しい自分を発見出来たりもあって。

 「俺はスラップだから」と、そこに固執してこだわることもできるけど、僕は好奇心旺盛な方なので、常に新しいことに挑戦していたい。他の誰かと音を交えた時にそこで何が見えるか。セッションは握手やハグするのと同じ感覚で、自分をさらけ出して、お互いを分かりあう。そこが醍醐味かなと思います。

――今までも様々なセッションをおこなってきたわけですが、今作で特に印象的だったのは?

 もちろん、どれも印象的ではあるんですけど、Yunaちゃんとセッションした「Me and the Moonlight」は、自分としても今までに作ったことのない楽曲でした。「いかに刀を抜かずにして切るか」というか。僕のスラップギターを好きなファンの皆は「もっとスラップしてくれよ」と思っちゃうかもしれないけど、僕の中では、「Gentleman (Remix) 」のリミックスもそうですけど、こういった音色で自分らしさ、アイデンティティを見出すことは、逆にすごくスリリングだし、今の僕にとって新しい挑戦でもあります。もちろんステージでは変わらずスラップしてますけど。

――「Fragile」も今までとは違ったアプローチで。

 前作では「Slap It」という曲でスラップギタリストとしての自分と向き合ったんですけど、もちろんこれからも歌っていくし、自分の言葉で伝えたいことも沢山ある。なので、今回はシンガーとしての自分と向き合ってみたいと思い、この曲を書きました。

――「Slap It」のようなアグレッシブな曲でも「Fragile」のようなメロウな曲でもMIYAVIさんというアイデンティティは変わらないですか?

 変わらないですね。具体的なアプローチの仕方は違いますが、そこに存在して、表現するという点ではゾーンに入ってしまえばどの曲でも同じように思います。

――よくアスリートの方やミュージシャンの方がゾーンに入ることがあると聞きますが、意図的にゾーンに入ることも可能なのでしょうか。

 感覚的なことなので、言葉で説明するのは難しいのですが可能です。これはアスリートの方と一緒でどうやって試合までに高めていくか、寝るタイミングや気温や体温、精神状態と色々あるのでそれを把握してコントロールして高めていくことになります。感覚的とは言いましたけど、ロジカルな部分もあります。その先に感覚的なものがついてくるという感じかなあ。

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