そらる、なぜ支持を集めるのか 「歌う」「作る」ことの本質 シーンと共に歩んだ10年
INTERVIEW

そらる、なぜ支持を集めるのか 「歌う」「作る」ことの本質 シーンと共に歩んだ10年


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年11月28日

読了時間:約16分

「銀の祈誓」の制作背景

――さて、今回の作品「銀の祈誓」は書き下ろしですよね。ロック色が強いのもアニメに寄せたところがあるのでしょうか?

 エンディングテーマですが、やっぱり盛り上がる曲にしたいなというのもありました。作品自体が戦うシーンが多いということもあって、あとはアニメの制作サイドからの希望などを加味して、自分が歌うんだったらどういう曲がいいのかと考えたときに、静かな所、ギターのアルペジオから歌と一緒に入って、盛り上がる展開で終わる、そういう曲にしたいと思って作りました。

――歌詞もアニメの方に寄せた?

 そうですね。原作の世界観を出せるように考えて。小説とかを読ませて頂いて、印象的な言葉を抜き出していってそれを自分なりに言葉として、という形で書かせて頂きました。

――曲だけを聴くのと、MVを観ながら聴くのとではイメージが全然違います。映像は曲に合わせてイメージを膨らませたのでしょうか?

 作る際にどういうものにしたいのかということで、キャラクターのイメージ、デザインとかから話し合って「ここはこういう風にしたい」というところを話して、作っていったという感じです。もともと『ゴブリンスレイヤー』というアニメありきの作品ではあるんですけど、それをそのまま映像化してしまうとそのままのものになってしまうので、それとは別の、『ゴブリンスレイヤー』はどちらかというと、曲は内面の強さみたいなものを描いてはいるんですけど、作品として戦う話なので、そうではなくて内面的な葛藤だったり心の強さというのをイラスト版のMVでは出して欲しいということで、実際に剣を持って戦うということではなくて、自分自身の内面と戦うというか、それを描いた作りになっています。

――セリフっぽくなったり、感情がとても入っている部分が特徴的だと思うのですが、それはシーンの特徴なのか、それともあえてそう入れているのでしょうか?

 作品を語るうえで俯瞰的な視点での世界観を描いている部分と、直接内面を描いているところにわかれていて、作品的には主人公は自分のことを話すタイプではない寡黙なキャラなんですけど、そこに至るまでに色々な絶望だったり、そこで折れないで立ち向かう決断をしたり、内面の強さというのを凄く感じて。それを俯瞰的なところと織り交ぜて差を出しつつ、曲の展開に合わせて徐々に感情を爆発していくというか、そういうような作りです。

――それは計算されているということでしょうか?

 曲先で作ったので、どういうことを言いたいか、どういう展開にするかというのをまず決めて、曲と言葉があまり乖離しないようにそれに合わせて。やっぱりそこで「こういうことを言いたい」というのをセクション毎に決めて作りましたね。

――ある種の脚本家のようですね。

 そうですかね(笑)。結果としてそういう感じに…もちろん全ての曲がそういう風に作られているというか、その世界観を表すためにどういう作りにしたいかとか、そういうところなので、ゴールありきというか、そこに向けてどういう曲にしたらいいのか、どういう書き方をしたらいいのかというところは、そんなに繊細なことをしている訳ではないと思うんですけど。

――タイアップがあるのとないのとでは作り方は変わってきますか?

 全然作り方が違いますね。曲を作るって基本的に自分のさじ加減で自由にできるものなんですけど、急に何もないところに放り出されて「自由に遊んでいいよ」と言われるのと、ゲームセンターに連れてこられて「ここで好きに遊んでいいよ」と言われるのとでは、同じ自由でもやれることとかやることって変わるじゃないですか? ただ、与えられたものの中で選んで遊ぶからこその楽しさもありますし、何もない所で自分が自由にのびのびと遊ぶからこその楽しさ、どっちもあると思うんです。

 だからどっちがやりやすいか、どっちがより良いものになるかというのは不自由だからというか限られたところだから良いものができないかというとそうではなくて、逆にだからこそできるものとか新しい発見とかもありましたし。逆に何も縛りがない中で作る曲は、それはそれでどこからやるかと、結局それも自分でテーマを決めて作っていくので、そこの自由度が上がるは上がるんですけど。急に何もない所で「好きにしていいよ」って言われても「何しよう」ってなることあるじゃないですか? ある程度の前提があるものが書きやすいという部分もあるので、どちらも良さがあるという。

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