柴田淳「やっぱり自分の声が好きなんだ」自身を客観視して辿り着けた境地:「ブライニクル」インタビュー
INTERVIEW

柴田淳「やっぱり自分の声が好きなんだ」自身を客観視して辿り着けた境地:「ブライニクル」インタビュー


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年11月10日

読了時間:約10分

聴き方を決めつけたくない

『ブライニクル』初回限定盤ジャケ写

──来年2月には、約6年ぶりのツアー『JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vol.5 ~お久しぶりっ子、6年ぶりっ子~』を開催します。

 先日スタッフと話したら、「これからはツアーの時代だ」と。前からそうなんでしょうけど…。仕事に一生を捧げるつもりはないけど、今のフリーズ状態が溶けるまでは、ツアーをやったりとか、とことん歌い倒して歌手に徹しようかと思っていて。

 ただツアーで何が苦しいかと言えば、その曲のモードになってしまうことなんです。若い時の辛い恋愛の歌を歌う時は、一瞬でその時の自分の感情が甦るわけで、それがライブだと、曲順によって年代や感情がランダムに変わるので、それをコントロールするのがすごく苦しいんです。ただ、今回のアルバムの歌詞は、俯瞰で書いているところが多いから、アルバムの曲に関してはある種他人ごとのように歌えて気持ちが楽かもしれないです。そう話すと、心が入っていないように聞こえるかもしれないけど、そういうわけではなくて、入り込みすぎないと言うか。ボーカル録りもそうやって客観視してシンプルに歌えたから、いい声が出せたのかもしれないなって思います。

──どんなライブにしたいですか?

 私は天邪鬼のところがあるので、人から薦められたもので良かったと思った経験があまりなくて。もちろん良かったものもあるけど、音楽も売れているから聴くのではなく、私がいいと思ったから聴くというスタンスは今も変わらないんです。だから自分で聴く時も、「聴いて欲しい!」って訴えてくるような曲が得意ではなくて、「自分のタイミングで聴くから大丈夫です」と、なってしまう。歌が上手いか下手かも、それは聴いた人が決めることだし。だから私は、ただ等身大で歌っていこうと思っています。

──柴田さんのライブは、映画を観に行くような感覚で、その箱の中で繰り広げられる私小説のような物語を楽しんでもらえばいいという感じかも。

 そうですね。それが理想です。私のステージを観て想い描くものは、人それぞれで違うと思うので、その人が想い描く世界を崩したくないし。これはこうですと、自分から決めつけたくないです。だから、私から訴えることをしないぶん、リスナーが自由に決めてくれればいいと思います。私の歌を聴いて、その時に思ったことや浮かんだ映像を、それぞれの中で思い巡らせながら聴いてもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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