存在としてムーブメントを起こしたい
――今作に収録されている曲で、これから仕事や学校で頑張るぞといった時に最適な曲はどれだと思いますか。
「BZ BZ」か「LAZY LOSER」ですかね。「BZ BZ」は毎日の忙しさに翻弄されている主人公たちを描いた作品で、生きていく中で目的を見失って行くんですけど、自分の心に何度も何度も問いかけることによって、大切なものを見極めていく曲です。「LAZY LOSER」は“なまけ虫” を退治する、怠け者の曲なのでやる気を出したいときにも聴いてもらっても、逆に頑張りすぎている人が、自分を許すことも良いんじゃないのといった感じで聴くことも出来るので、おすすめです。
――逆に黄昏れたい時はどの曲が良いですか。
「Clara」かな。自分が本来どういう人なのかというのを見つめ直したい時に良いかもしれないですね。サウンド的にも爽やかでスイートな部分もあるので、気持ちを軽くしたい時や、黄昏れている時というのはおそらくぼーっとしている時だと思うので、あまり力まずに聴けるのが「Clara」だと思います。
――最後に収録されている「before sunrise」も黄昏れたい時に良さそうですよね。
確かに(笑)。この曲はクラシックギターで弾いています。私が音楽を好きになったきっかけでもあるクラシックギターと2人きりでステージに立っているという状況なので、改めて2人きりに戻って、原点に戻りつつも新たなストーリーをここから描いていきたいというイメージも含めて、このタイトルを付けました。
――ギターを “1人” という風に捉えているのが素晴らしいです。
私の中ではそうですね。でも、色んな捉え方があると思っていて、人によっては道具としてみなしている人もいますし、道具として捉えているからこそ、独特な旋律使いが出来るとも思っています。感情移入することが必ずしも良いことだとは思わないです。雑に扱った時の音というのもあるんです。いつも愛でていると甘やかされた音が出るといいますか(笑)。接し方によって出る音は違うと思います。それが、それぞれの音楽があって面白いなと。
――色んな接し方があるんですね。さて、今の目標や夢はどこにありますか。
ずっと変わっていない、ライヴをしたい場所で言いますと、野球場のシェイ・スタジアム(米国・ニューヨーク市にあるスタジアム)です。憧れの場所です。あと、存在としてムーブメントを起こしたいというのがあります。音楽LOVERだけではなく、世の中の人達がざわつくような人物になれたら理想的だなと思っています。
――その人物像のなかで憧れている人はいますか。
いっぱいいるんですけど、セイント・ヴィンセント(米・シンガーソングライター)が好きで、すごく思想が強い方なんです。それに賛同するかどうかは別として、そういうのが大事だと近頃感じます。ミュージシャンであっても自分の確固たる考え方や、物事に対する好き嫌いがはっきりしている、それに対して賛同する人が音楽も聴いている姿は、すごく健康的だなと思っています。
音楽は口ずさんでもらったりとか、思い出に寄り添う音であってほしいという思いはあるんですけど、その人のその一時を幸せにできたらいいなというのがあります。その人から伝わってくるハピネスにずっと浸っていたい、そういったものがアーティスト自身の人となりから音楽を伝って、聞き手に伝わるものだと。人物としても皆さんに愛されるようなアーティストになれたら良いなと思います。
(おわり)