全人類に刺さる音楽、SHERBETS・浅井健一 確固たる信念で紡ぎ出す音の世界
INTERVIEW

全人類に刺さる音楽、SHERBETS・浅井健一 確固たる信念で紡ぎ出す音の世界


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年10月23日

読了時間:約14分

自分たちの音楽をより広めたい

写真・『The Very Best of SHERBETS 「8色目の虹」』通常盤

――初回盤にはドキュメンタリーDVD『LIFE JACKET-HISTORY OF SHERBETS-』も付属しますが、なぜ『LIFE JACKET』とタイトルを付けられたのでしょうか。

 そのまま救命胴着の意味なんだけど、SHERBETSがそういう存在になれたらいいかなということで付けたんだよね。あとは文字の形がカッコよかったのと、「Kinshasa」という曲でライフジャケットという言葉が出てくるんだけど、それもあるかな。映像を観た感想としては当たり前だけど自分が若い(笑)。

――見どころを挙げるとすれば?

 見どころはもう全部だね。頭から雰囲気があってすごくカッコいいよ。改めて面白いバンドだなと思った。

――是非初回盤を手に入れて観て欲しいですね。さて、浅井さんが思う本物とはどんなものだと思いますか。長く続くバンドやアーティストも本物ということだとは思うのですが、浅井さんの思う本物への考え方をお聞きしたいです。

 なかなかヘヴィな質問だね。本物か…。例えば映画とか観たらこれは凄い、面白いと思うものとかあるじゃない。そういう風に思えるものが本物でいいんじゃないかな。人それぞれ、それは変わると思うし、食べ物だったら一口食べれば、それが本物か本物じゃないかはわかるよね。それでもわからなかったら、それはその人がダメだと思うよ。人間の質に関わる問題で、それを見極められる人間なのかどうかってことが重要だと思う。あと長くやってるものが本物とは限らないと思う。

――自分が良いと思ったものを本物だと信じることですね。あと、浅井さんの音楽としての美学はどこにありますか。

 美学って言葉の意味がよくわかってないんだけど。噛んで話すと、やっぱり自分が格好良いと思える音楽かというところだね。センセーショナルで人の心を一瞬で動かすぐらいのパワーがないと駄目だよね。

――さて、SHERBETSの音楽は特にどんな人達に刺さると思っていますか。

 もう全人類だね。生きている人たち全員に刺さると思ってる。

――ありがとうございます。20周年を迎えたSHERBETSが目指す目標をお聞かせ下さい。

 目標はないかな。あるとすれば10月27日から始まるツアー『20th Anniversary Tour 2018「8色目の虹」』で、メンバーと会場のみんなで音の世界にのめり込んで楽しい空間にしたいということだね。あとは、自分たちの音楽をより広めたいかな。

――広めたいというところで海外進出というのはいかがでしょうか。SHERBETSは世界でも通用する音楽だと思います。

 もちろん海外も良いんだけど、言葉が通じんでしょ? それもあって海外での活動に関してはそんなにでもないんだよね。インストバンドだったら世界観で勝負出来るから良いとは思うんだけど、日本の音楽はやっぱり言葉が壁になっていると思う。というのも、村上春樹さんの本で『やがて哀しき外国語』(講談社)というのがあるんだけど、そこに書かれていることで確か「言葉には絶対に壁がある」と書いてあって。彼は英語で演説も出来るほど堪能なんだけど、それでもネイティブの人達とのジョークとかまでは理解出来なかったみたいなことが書いてあって、確かね。で、どんなに精通しても超えられない壁があるみたいでさ。

 そりゃ世界から認められたら嬉しいけど、日本人に生まれたから俺は日本で良いんだよね。たぶん日本語の細かいニュアンスまでは外国の人には伝わらないと思うし、日本でも英語で頑張っているバンドはいるけれど、結構難しいんじゃないのかなと俺は思うけどね。でも、その壁を乗り越えられたら凄いよね。でも、今は海外よりも日本で曲を広めたいよ。

(おわり)

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