嫌な事でも…認めて愛しちゃおう、コレサワ「うつヌケ」主題歌に寄せた思い
INTERVIEW

嫌な事でも…認めて愛しちゃおう、コレサワ「うつヌケ」主題歌に寄せた思い


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年10月12日

読了時間:約11分

 現代病ともいわれる「うつ病」を題材にしたドラマ『うつヌケ』が9月29日から、Huluで配信されている。漫画家・田中圭一氏の実体験をもとに「うつ病」から脱出した人々の姿を描いた『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA刊)が原作。累計発行部数34万部を超えた人気コミックだ。原作者であり主人公の田中圭一役を務めるのはココリコの田中直樹。大後寿々花が演じる「うつ」とは無縁のカネコをアシスタントに成功体験をレポートする。

 その主題歌「泣く門には福きたる」を書き下ろしたのは、女子高生を中心に人気を集めるシンガーソングライターのコレサワ。女性の心情を切り取った歌詞と、明るくポップなナンバーはどんよりとした気持ちを「スカッと」させる。そして嫌味に感じさせない天性のやわらかボイスとメロディは聴く者を爽快な気持ちにさせる。今回はそのコレサワにインタビュー。主題歌に寄せた思いやドラマのテーマにちなんで自身のマインドについて語ってもらった。【取材・撮影=木村陽仁】

私の得意な開き直り作戦

――コレサワさんの歌詞は、歌詞だけを読むのと曲を通して聴くのとではイメージがだいぶ違いますよね。

 歌詞で言い過ぎた場合は、なるべく曲は可愛いのにしています。

――ゴリゴリのロックサウンドの時もあれば、ポップなものもありますよね。その使い分けは?

 その時によって「ロックっぽくしたいな」とか「センチメタルにしたいな」と変わったりもするので、曲次第ですかね。パッと思い浮かんだ時のイメージです。

――歌詞は日常的なものや女性の内面を切り取っているけど、サウンドはその時のひらめきで書いている?

 コード進行とメロディが同時に出てくるので、コード進行によってこの曲はガツガツ系、この曲は可愛くしたいとかにしていますね。

――歌詞も同時に出てきますか?

 出てきます。

――言葉は、相当蓄積していないとパッとは出てこないですよね。

 言葉にも、口に出すものと、そうでないものがありますよね。例えば食事のメニューを見た時に、「これ、どっちにしようかな」と口に出す人と、心の中で思う人がいるように。そのみんなが心のなかで言う、独り言にメロディがたまたま付いたものが歌になることが多いので、感覚としては独り言が曲になるような感じですね。

――心の中にある言葉って、もしかしたら言葉にすらなっていないこともあり得ますよね。それを表の言葉にどう変えている?

 実は私、せっかちなので思っていることをすぐに口に出しちゃうんですよ。だから、みんながやっている、言葉を表に出す変換作業を、端折って出してしまっているので、自分的には外用の言葉として練って出すわけでもなく、曲も普通に私が心のなかで思ったことを書いているだけです。逆に練りすぎると、何を言いたいのかが分からなくなって結局、ボツになってしまうこともあって。なので、なるべく練らずに自然の素材を生かしているような感じですね。

コレサワ

コレサワ

――コレサワさんのように言える人もいれば、言えない人もいますが、今回のドラマでも、そういうのが原因で「うつ病」になった人も描かれています。ドラマの印象はいかがですか?

 私自身は、「うつ」というワードとは無縁な性格ですが、もともと心理学が好きで興味を持って調べていたこともありました。ただ、体験談は聞いたことがありませんでした。このドラマを見て、景色が濁って見えちゃうとか、結構視覚的にも心の病気が出ちゃうんだというのを知って。ドラマは田中さんと「うつ」とは無縁のカネコちゃんのトークで進行して、カネコちゃんが一般者と同じ目線で意見や疑問を投げかけるんです。私はカネコちゃんのようなタイプだったので、彼女に共感しながら見られたので、わかりやすかったです。

――そのなかで主題歌「泣く門には福きたる」はどういうイメージで作られたのでしょうか?

 私はマイナスなことや暗い曲はあまり歌わないので、「暗い曲にしないで明るく」と言われたときに「良かった!」と思って。明るく歌っていいなら、私の得意な開き直り作戦というか(笑)。ドラマのなかでも「うつ」は抜けたけど、「うつくん」というキャラクターと一緒に向き合い、認めながら皆さん生活していて。でも、嫌いな人とか、嫌なことって、「うつ」になっていない人にも絶対にあると思うので、そういうのを否定するだけでなくて、自分のなかで認めて愛しちゃおう! と。「泣く門には福きたる」というワードは、本当にタイムリーなんですけど、たまたまそのワードが頭の隅っこにあって、その時にちょうど『うつヌケ』のお話を頂いて、「あ、これ合うな」と思って。なので、そのワードや曲をドラマと擦り合わせながら、どんどん広げていった感じですね。

――コメント発表の時に、「このドラマの中では沢山泣いています」ということを話されていて、そういうのも落とし込んだ?

 ドラマには、たぶん「笑いなよ」とか「笑ったら幸せがくるよ」って安易に言えないような状況の人たちがたくさん出てきて、そういう人たちが楽になる方法のひとつとして「涙を流している人たちにも幸せが来るよ」ということを伝えたかったし、自分も「笑いなよ」と言われるよりかは、「泣いても幸せがくるね」と言われたほうがいいし、いっぱい泣いてそのあと笑える、結局ハッピーになれると思ったので、サビではそれを歌いました。

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