シンガーソングライターのコレサワが12月23日、東京・マイナビBLITZ赤坂で『ワンマンツアー2018“コレでショー”〜ファイナルはここでしょ〜』を開催。9月にリリースした2ndアルバム『コレでしょ』に伴うツアーのファイナル公演で、サポートバンドと共にアンコールを含め全19曲を演奏。クリスマス時期らしい演出もあり、観客と一体となったステージで、2018年最後のライブツアーを締めくくった。【取材=榑林史章】

“いいライブだったな〜”と思ってもらえるものにします

コレサワ(撮影=小坂茂雄)

 「君と満員電車」で始まったライブ。“満員電車でなら好きな相手と公然とくっつけるのに”という、かわいらしい恋心を歌ったこの曲。コレサワはアコギを弾きながら歌い、それに合わせて観客は手拍子してライブを盛り上げる。コレサワもうれしそうな表情で、ギターを弾きながらピョンピョン飛び跳ねていた。続けて歌った「あたしを彼女にしたいなら」は、コレサワの自己紹介的なナンバー。付き合うのであれば、と次々に「彼氏としての条件」をだしていく、ユーモアたっぷりの歌詞に、お客さんの表情も満開の笑顔。この曲では、観客は頭の上でクラップして、リズムに乗って盛り上がった。

 4曲目には、コール&レスポンス曲としてお馴染みの「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」を披露した。「今日はどんなお客さんがきているか、ここで調査したいと思います!」とコレサワ。「長女のひと〜!」「双子のひと〜!」と順に呼びかけ、当てはまる人が手を挙げていく。お客さんも、自分が当てはまる質問が早くこないか、ドキドキした様子で待っている様子だったのが印象的だ。中盤に披露した「君のバンド」でも、「女子〜!」「男子〜!」と次々に声をかけていき、「おじさん〜!」と声をかけたときに「うぉー!」と歓声があがると、「おじさんが絶滅していなくて良かった!」と、うれしそうな表情を見せた。こうしたステージと客席が近くに感じるコミュニケーションは、コレサワのライブの魅力。こういうコミュニケーションも加わることで、“あるある”と思わずうなずいてしまうコレサワ独特の歌詞が、より親近感を持って伝わるのだと感じた。

 最新アルバム『コレでしょ』からは、冒頭の「君と満員電車」の他にも多数のナンバーが披露された。「いたいいたい」では、アッパーなバンドサウンドに乗せて、胸がチクッとする想いを情感たっぷりに歌ったコレサワ。曲の流れに合わせて、めまぐるしく変わるサウンド展開からは、コレサワの音に対するこだわりも感じられた。最後に<いたいいたい>と繰り返し歌うパートでは、観客も一緒になって歌って一つになった。

 アルバム『コレでしょ』ではオープニングナンバーだった「彼氏はいません今夜だけ」は、その一言を言わせないようにしてほしいという女心を歌ったナンバー。ちょっと切実でリアリティ溢れる歌詞とは裏腹な、ポップなバンドサウンドのギャップが秀逸だ。また、静かで空間的なサウンドで始まった「悪いユメ」は、先ほどまでの賑やかさとは一変して、しっとりとしたサウンドが会場を包み込む。曲が進むにつれてジャズっぽさのある、オシャレなバンドサウンドがゆったりと流れていくのが心地いい。情感たっぷりの歌声に、バンドメンバーのコーラスも加わって、楽曲の世界観が会場に広がった。

 「きのうの夜は、今日が楽しみすぎて寝られへんと思っていたけど、めちゃ寝られました(笑)」など、終始笑いを取っていたMC。「最初は緊張していたけど、バンドメンバーが素粒子の話をしてくれて、気が紛れて緊張しなくてすみました。ありがとう」と、楽屋の様子も暴露。また、曲間で水を飲んでむせてしまう場面もあり、客席から「大丈夫?」と声があがる中、「今日おうちに帰ったら、“コレサワ、めっちゃ咳してたな〜”じゃなく、“いいライブだったな〜”と思ってもらえるものにしますね!」と、気合いを入れ直す様子もあった。

自分の人生をぶち上げていってください!

コレサワ(撮影=小坂茂雄)

 クリスマス直前ということで、「お願いサンタクロース」というナンバーも披露。イントロではバンドメンバーとのハンドベル演奏も聴かせて、気分はちょっと早いクリスマス。楽曲の間奏ではクリスマスソングのフレーズも盛り込んで聴かせるなど、クリスマスらしい演出でほっこりとした温かい気持ちにさせてくれた。

 また、大阪出身のコレサワらしいユーモアが詰まった「東京コロッケ」では、コロッケのかぶりものをかぶって登場した。この曲では、最前列のお客さんに歌詞の書かれたプラカードを持ってもらい、そこの歌詞のところがくるとプラカードが上がって、観客が歌うという趣向。観客も一緒に<東京コロッケ食べたい!>と叫んで、会場はまるで大阪の縁日にでもきたような、楽しく賑やかな雰囲気で包まれた。

 「最後の有給」を歌う際には、「小さい頃から歌手になりたくて、実際になってからもまだ“歌手になれた”と言えないんじゃないかと思うときもあって。でもこうやって会場が大きくなって、お客さんがきてくれているのを見ると、やってきたことは間違ってなかったと思える。自分に自信を持てないときに、背中を押してくれるようにと作った曲です」と、解説したコレサワ。ゆったりとしたリズムの中に、勇気をもらえる言葉がたくさん詰まった曲。お客さんはゆっくり身体を揺らしながら、歌詞に耳を傾けてじっくり聴き、コレサワの温かいメッセージを受け取っていた。

 ライブを終え、「もう感謝しかありません。私たちは、これから打ち上げに行きますが、みんなは自分の人生をぶち上げていってください!」と、コレサワらしい言葉で感謝の気持ちを伝えた。バンドメンバーと目を合わせたり、お客さんに声をかけたりしながら、終始楽しそうな表情で演奏し、歌を届けたライブ。10代〜20代の女性のお客さんで会場が埋め尽くされていたのも印象的。2019年に向けて、またひとつステップアップしたコレサワを実感させるライブになった。

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