解散後は良い下積み、元ヒスブル・Sabao デビュー20年を振り返る
INTERVIEW

解散後は良い下積み、元ヒスブル・Sabao デビュー20年を振り返る


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年09月10日

読了時間:約18分

デモはV系のようなアレンジだった「春〜spring〜」

Sabao

――作曲についてお聞きしたいと思います。楽曲を作る時のこだわりはどこにありますか。

楠瀬タクヤ やっぱりキャッチーなメロディですね。すぐにみんなで歌えてしまうようなものへのこだわりがあります。というのも、僕は鍵盤やギターが弾けないので、コード進行が多彩ではないんです。過去にAメロもBメロもサビも同じコードで始まっていると怒られたことがありました。メロディだけが展開しているんですけど、コードが変わらないという。それでアレンジしてもらって、メロディが同じでもこんなに雰囲気が変わるんだと知って。

――逆にコードに詳しくなかったことで、メロディに全てを注ぎ込めている感覚もありますよね。ちなみに今作でも収録されている「春〜spring〜」(編注=Hysteric Blue 2ndシングル)が出来た時、売れると思いました?

楠瀬タクヤ 佐久間さんのアレンジで上がってきた時は、めちゃくちゃ思いました(笑)。

Tama 最初のデモはビジュアル系みたいなアレンジで、今とは全然違う感じでしたから。タクちゃんは元々黒夢が好きだったから、「なるほど」と思って聴いてましたけど。なので、佐久間さんにアレンジしてもらって方向性が180度変わりました。

楠瀬タクヤ 最初のカラーが青紫みたいな感じでしたから(笑)。そこからほんわかした風の吹くような感じになって。

Tama そうそう。疾走感もありつつ、柔らかい空気をまとったみたいな。

楠瀬タクヤ 当時はヒットしそうだという感覚もありつつ、「別に売れても売れなくてもどうでもいい!」と思える満足できた曲ができたなと思いました。佐久間さんはGLAYやJUDY AND MARYなど数々のヒット曲を手掛けているすごい人だというのはもちろん知ってましたけど、自分の曲でまざまざとその魔法を使われてしまったという感じで。本当にびっくりしましたね。

――今作には「春〜spring〜【Jazz piano remix】byござ」が収録されています。

楠瀬タクヤ ジャズアレンジバージョンも収録させていただきました。昔では出来なかったことが38歳でようやくできました。ベテランの方たちが過去の曲をマンネリから脱出するためにアレンジを変えたりしちゃうじゃないですか? でも、僕らみたいにたまに集まって演奏すると最初のバージョンがやっぱり良いなと思うんです。佐久間さんが作ってくれた、僕らが感動したアレンジを超えられない。それは一生超えられないなと思っていたけど、今回ジャズバージョンという違うベクトルで出来たというのは、この20年間の僕の成長だと思っていて。あっ、ピアノ一本のアレンジだから僕は何もしてないか(笑)。強いて言えば、ござさんを見つけた僕の目の成長ですね。

――Tamaさんは歌を歌うにあたって、心掛けていることやこだわりはどこに置いていますか。

Tama どうやってその曲に上手く乗っかるかです。頭で考えるのではなくて、聴いた時の感覚、歌詞を読んだ時の感情を、そのまま乗せるんです。歌を歌うというよりは朗読に近い感じかも知れません。それに音符が乗っているみたいな。歌が上手い人はたくさんいるし、理屈で歌える人もいるけれど、私は感情的な方が好きなので。

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