解散後は良い下積み、元ヒスブル・Sabao デビュー20年を振り返る
INTERVIEW

解散後は良い下積み、元ヒスブル・Sabao デビュー20年を振り返る


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年09月10日

読了時間:約18分

佐久間さんから見させていただいたものは全てに息づいている

楠瀬タクヤ

――Sabaoは第2のHysteric Blueという意味合いも強そうですね。

楠瀬タクヤ 僕はそういう感覚もあります。

Tama Sabaoの結成はふとしたお話がきっかけでね。

――確かアニメ『鋼の錬金術師』の楽曲制作で久々にお2人はお会いしたんですよね?

Tama そうです。

楠瀬タクヤ でもその時は2人でまた活動するみたいな話にはならなくて。相手のやっていることにもその時は特に興味もなかったですし(笑)。

――でもその時の作業で手応えを感じて?

楠瀬タクヤ いえ、そこから年月が経ってからですね。僕もその間にいろんなバンドやサポートをやっている中で、Tamaちゃんの活動も気にするようになって、僕と一緒に活動した方がうまくいくんじゃないかなと思ったり。その時、Tamaちゃんが佐久間(正英)さんとやっていたバンド、Screaming Frogsにお手伝いで入って。佐久間さんからしたら「2人一緒にやりなよ」ということだったと思うんですけど。僕らからしたらお父さんみたいな感じなので、『鋼の錬金術師』みたいな大作の仕事を親心から振ってくれたのかなと。

――お二人からしたら佐久間さんは重要な方だと思うんですけど、佐久間さんの印象に残っている言葉などありますか。

Tama たくさんあるんですけど、私は「音で仲良くしなさい」と言われたことです。グループだとずっと一緒にいると仲が悪くなってくるじゃないですか? もちろん私たちにもそういう時期があって…。当時はその言葉の意味がよく分からなくて。普段から遊んだり、コミュニケーションをとれ、というわけではなくて、一緒に音を出すときは相手の音をちゃんと聴いて、空気を読んでアンサンブルをしっかりとしなさいということでした。佐久間さんは決して「リズムを合わせろ」とかを強くは言わないんです。

楠瀬タクヤ 佐久間さんらしい柔らかい言い方だよね。自身がいろんな方とバンド活動をされてきたからなんでしょうね。

Tama 理詰めで攻めてくるわけでもなく、ただ一言そう言われたのが今になって、わかりやすく、かつ優しい言葉で言ってくれたんだなと思います。きっと長くバンド活動を続けている人達はその意味を知っているんだと思います。

――これは様々なことにも当てはまりそうですね。タクヤさんの印象的だった言葉は?

楠瀬タクヤ 最近意味が分かったというシリーズですけど、「明日できることは明日やろう」という言葉です。当時はなんでそんなことを言うんだろうと思ったんですけど(笑)。例えばスタジオで、まだ使える時間があるのに「今日はここで終わりにしよう」みたいな。僕は大阪人でせっかちなところもあって「今日できることは今日やっちゃいましょう」と思うんですけど(笑)。でもそういうのが仕事をしていく上で大事だなとわかったんです。みんなもリフレッシュできて、良いテイクが次の日に録れたりして。

Tama 佐久間さんは良い意味でいい加減な人だったんです。時間はめちゃくちゃルーズだし、スタジオに1時集合なのに5時ぐらいまで来なかったり(笑)。

楠瀬タクヤ まあ僕らは“ペーペー”なんで何も言えないんですけどね(笑)。

――そういった佐久間さんの言葉が今の活動にも影響していますよね。

楠瀬タクヤ 僕らが音楽活動をしているうちは、佐久間さんから見せていただいたものは全てに息づいていると思います。

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