RockCorps共同創設者・スティーブン氏が感じる音楽シーンの変化
INTERVIEW

RockCorps共同創設者・スティーブン氏が感じる音楽シーンの変化


記者:松尾模糊

撮影:

掲載:18年08月31日

読了時間:約8分

セレブレーションにふさわしい出演者

――今年の海外アーティストとして出演する、エリー・ゴールディングの音楽についてはどう思いますか?

 イギリスで何度か観たことはあります。ファンとの壁を取り払うように、一体感の高いライブでとても感動しました。

 彼女は、あまり日本でライブをおこなっていないので、とてもワクワクしています。彼女のライブを観れば、もっと日本のファンは増えると思います。ソングライティングは素晴らしいし、パフォーマンスも魅力的です。

 彼女はRockCorpsの理念に賛同してくれていて、彼女自身も立場の弱い女性や環境問題などの社会活動にも積極的に参加されているのでこのイベントにもピッタリのアーティストだと思います。

――国内アーティストのBLUE ENCOUNTについてはいかがですか。

 2週間前(取材時)にボランティアに参加して頂いてとても嬉しかったです。まだ、彼らのパフォーマンスは映像でしか観れてないのですが、彼らの曲を聴いているとライブ映えしそうな曲がとても多い気がします。コールドプレイ(英ロックバンド)とそういう面では似ている気がします。セレブレーションはボランティア参加者の打ち上げの様な祭典なので、そういう意味でも楽しみです。

スティーブン・グリーン氏

スティーブン・グリーン氏

――公式アンバサダーとなる高橋みなみさんは3年連続の就任となりましたが、彼女を高く評価されている?

 最初はとても有名な方なので、本当にボランティア活動などやってくれるのか心配したこともありました。でも、たかみな(高橋みなみ)は軍手をつけて、長い時間をかけてボランティア活動をしてくれたのでみんなに対してもボランティアの素晴らしさを伝えてくれていると思います。

 年に2、3回はお会いする機会もあって、彼女のラジオ番組でもRockCorpsを紹介してもらっているのでとても助かっています。

ボランティアが生活、文化の一部に

――福島でのボランティアは引き続きおこなわれていますが、今後2016年に震災が起きた熊本など全国でボランティア活動を展開する可能性はあるのでしょうか。

 もちろん、全国的にRockCorpsの活動を広げて行きたい思いはあります。ただ、仮設住宅を作ったり、ライフラインを整えるのは政府の仕事です。RockCorpsは、災害から何年か経った後に被災地でまだ人手が必要だったり、地域のコミュニティー、繋がりが必要な時にそこへ人を呼び込む力になれればいいと思っています。ですから今後、熊本や他の被災地へのサポートも行っていきたいと考えています。

――2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックでは11万人のボランティアが必要だと言われています。ボランティアの不足や仕事量の多さなどが懸念されていますが、ボランティア活動を長い間推進されてきた側から見てどう思いますか?

 人数を集めるという意味では、そんなに大変なことではないと思います。クリケットやラグビーのワールドカップなど、これまでに大きな大会を見てきましたがボランティアの人数は難なく集まると思います。

 しかし、大きなイベントごとにただ、ボランティアを集めるのではなくて、そのボランティア精神が根付いていくような活動をしていくべきではないかと考えます。

スティーブン・グリーン氏

スティーブン・グリーン氏

――東京オリンピックは楽しみですか?

 そうですね。私は音楽と同じくらいスポーツも好きですのでとても楽しみです。先日ロシアでサッカーのワールドカップがおこなわれていましたが、来年はラグビーのワールドカップがあります。そして、東京オリンピック。日本への世界からの注目度も高まっていると思います。

 現在、アメリカと中国が経済的に二大巨頭のような立ち位置ですが、「日本はすごい」と世界に証明できるシーンを個人的には見てみたいと思っています。今回の東京オリンピックはその大きなチャンスになると考えています。その中に、ボランティア活動というものも含まれているということはとても嬉しいですね。

――今年で5年という節目を迎えますが、5年間で変化を感じる点はありますか?

 多くの変化がありました。全て語るには1時間くらいかかりますが、かいつまんで話しますね(笑)。日本では、去年から関東のプロジェクトを増やしました。どこでやるにしてもその活動が成長するには時間がかかると思います。

 福島ではボランティア活動を始めて5年が経とうとしています。1年目は戸惑いもあったと思いますが、2年目は大体どんなものか分かってきて、今5年目になる人にとってはそれが生活、文化の一部となっているように感じます。それと同じ変化が関東圏の人にも起こるということを願っています。まだ始まったばかりなので、少し時間がかかると思います。

――RockCorpsとしては、15年という歳月が経過していますが。

 これまで15年の変化を見ていると、今は家庭での自分と仕事場での自分、そして社会での自分という3つの居場所を探している時代だと思います。そして、この15年で社会的な居場所は拡大していると思います。15年前は株主のためにお金を稼ぐというシステムだったものが今は、会社にとっても社会的貢献が大きな価値として位置を占めるようになったと感じています。

 私個人の見解としては、いつか、お金を作りながら社会貢献ができるというシステムが普通になると思います。ユニリーバやパタゴニア、セールスフォースなど大企業の代表も同じようなことを話しています。

スティーブン・グリーン氏

――今後の展開について、そして今年の意気込みを聞かせてください。

 RockCorpsはスポンサーの協賛から成り立っています。なので、マーケティングやコミュニケーション、プロモーションのお手伝いができればと思っています。そんなに難しくないことだとハードルを下げられれば。

 今年は、エリー・ゴールディングをはじめ、多くの素晴らしいアーティストたちの音楽を皆さんにお伝えできることが楽しみです。参加者には5年間でインスパイアされたことを、周りの人たちに伝えて欲しい。そして、2020年に向けて、スタッフなど裏方の人に光が当たるようにセレブレーションが成功すればと願っています。

(おわり)

 ※なお、9月1日のセレブレーション当日までボランティアは参加可能。

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スティーブン・グリーン氏
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