シシド・カフカ「見せびらかしながら…」横山剣招き豪華な夜演出

シシド・カフカ
ミュージシャンのシシド・カフカが7月20日、東京・マイナビBLITZ赤坂で『シシド・カフカ「DOUBLE TONE」リリース記念 ーリメンバー・ライブー』をおこなった。このライブは7月25日の新作『DOUBLE TONE』の発売を記念しておこなわれたもの。「見せびらかしながらやっていきます」と彼女が意気込んだ様に、新作の中から一足先に披露された新曲だけでなく、ゲストにクレイジーケンバンドの横山剣を招き「タイガー&ドラゴン」をデュエットするなど豪華な演出でオーディエンスを楽しませた。カフカはドラムを叩きながら歌うスタイルでかなりのエネルギーを必要とする中、最後までエンジン全開。叩きまくり歌いまくった、この日の模様をレポートする。【取材=小池直也】
見せびらかしながらやっていきたい
低音の効いたSEに続きメンバーが入場。バックバンドはギター・大西省吾、キーボード・カメダ・タク、ベースにYUTAROという布陣だ。そしてステージど真ん中にカフカが鎮座。骨太なギターから始まる「特選」でステージが開幕した。
カフカは「皆さん、リメンバー・ライブへようこそ。最後まで楽しんでいこうね」と優しく告げ、マイナーのディスコ調「タチアガレ」へ。ブレイク部分でオーディエンスをスティックで指すしぐさにドキっとする。リズミカルに光るオレンジの照明も演奏を引き立てた。最後は天を指して合唱を求めるカフカ。「ラヴコリーダ」はシンセサイザー中心のサウンドでダンス衝動を揺さぶる。さらに「まだいくよー! ついて来て!」とオーディエンスを巻き込み「キケンなふたり」でロックに疾走。
「改めまして元気?」頭に取り付けるヘッドセット型のマイクが彼女の息切れの音もしっかり拡声している。「少年の様になってきたでしょ」と自身のショートヘアについて冗談も交えた。「今日は来てくれてありがとう。『DOUBLE TONE』はまだリリースしてないので見せびらかしながらやっていきたいと思います」。
MC明けは東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦が作詞した「ひとり シンプル」から。サビ最後のカフカの声がセクシー。跳ねたリズムで明るい「新宿サノバガン(SON OF A GUN)」は要所要所で3つ綴りのビートをねじ込む。そこからワイルドな「Get up!」へ。キャッチーなギターとオルガンのリフからスタートし、叩きまくり歌いまくる。
「単独ライブは去年の12月以来じゃない。ちょっと(最初から)詰め込みすぎたかな(笑)」と息を切らし笑う。そして2枚組の新作について改めて触れ、軽妙なトーク。改めて「ブエノスアイレスに行って参りまして、無事に帰ってきました」と報告した。彼女が学んだ現地の新しい音楽は10月に主宰する『el tempo』というイベントで披露される予定だ。「お酒と音楽をコネクトした大人の遊び場を作ろうと思っている」という。
横山剣が登場
ここからアコースティックな雰囲気で「あの夏、君が見てたモノ」。ドラムをMASUOとスイッチして、ハンドマイクで歌うカフカ。陽気なバッキングにけだるい声を乗せて。「ダメかしら?」では、カフカがカリブのリズムを提示してスタート。歩きまわりながら自由に歌う。細かいメロディを滑舌よく歌いこなす。ドラムを叩いている時とは違うキュートな一面でオーディエンスを魅了した。「リメンバー・ミー」はこの夜だけの特別バージョンで。低いメロディを艶っぽく歌ってから、南国を感じさせるリズムが入って展開していく。最終的にスカのグルーヴにも変化して変幻自在の演奏陣。
MCでは「昔だったら恋を失ってしまったら、それを別のものに変えようと忙しくしてみたりしていました。でも最近思うのはそういう失った恋や、自分の感情にどっぷりと浸かってみるという事。自分が何を感じて、これからどこに行くのかを見つめるという時間の使い方もあるのかなと。そんな失った恋について考えながら書いた曲です」と優しく前置き。そこから、若干レイドバックさせた伸びやかな歌声で「たったひとこと」、切なく歌った3拍子系の「空席のとなり」と繋げる。
スペシャルゲストとして横山剣が呼び込まれ「羽田ブルース」を息の合ったデュエットで披露。1コーラス目をカフカ、2コーラスは横山が艶っぽく歌い上げた。明るい曲調の「T字路」も共演。「ドキドキして口から心臓が飛び出そうだった」と語る横山だが、その理由は「(カフカが)素敵だから」。さらっと出る言葉がニクい。
カフカの歌もドラムも動きも素晴らしいと評価した。「あと1曲御一緒したいんですけど」とカフカが誘い、演奏したのはクレイジーケンバンドの名曲「タイガー&ドラゴン」。ドラムに戻ったカフカと横山が<俺の話を聞け! >をハモった瞬間のインパクトは想像以上だった。
横山が退場し、いよいよステージも終盤戦へ。疲れ知らずのカフカがドラムソロを力強く叩き出し、キックを4つ踏みながら「blue n' red」を歌い始めた。仕上げは「全力のアイラヴユー」 から「FLY HIGH!」への爽快なロックチューンで。澄みきった空の様なサウンドを全力で叩き歌うカフカ。オーディエンスも手を突き上げてカフカを鼓舞する。そして叩ききった。彼女は「ありがとうー!」とステージを後にするが、すぐに“カフカコール”が。
再登場したカフカはラフなTシャツ姿で、ドラムの台に座りながらゆるくトーク。「歌って踊ってジャンプして、いける?」と呼びかけ、延長戦は「バネのうた」。初期衝動溢れるロックでオーディエンスを巻き込んでもう1度絶頂へ。エンディング後、去り際、「完全に使い切った…。ありがとう! またね!」と去り際に話してカフカは退場。最後までフルパワーで公演を終えた。
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