答えがなくても探し続けたい――、大原ゆい子 自然体で生まれた音楽の欠片
INTERVIEW

答えがなくても探し続けたい――、大原ゆい子 自然体で生まれた音楽の欠片


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年10月01日

読了時間:約10分

 今年10月にメジャーデビュー5年目を迎える、シンガーソングライターの大原ゆい子が9月25日に、自身初のフルアルバム『星に名前をつけるとき』をリリースした。幼少期からエレクトーンやバイオリン、ギターなど様々な楽器に触れてきた彼女。2014年に劇場版アニメ『リトルウィッチアカデミア』の主題歌アーティストオーディションを受け、翌年10月7日に映画『リトルウィッチアカデミア魔法仕掛けのパレード』主題歌「Magic Parade」でメジャーデビューした。それ以降、多くのアニメソングに携わってきた。この5年の歩みを彼女は「答えがないものを探し続けてきた」といい、それを物語るように収録曲には多彩な曲が並ぶ。アルバムはいわば個々の星が集まって作る星座のようだ。大原にとって音楽とは何か、そしてこの5年の歩みとは。【取材・撮影=木村武雄】

大原ゆい子

大原ゆい子

5年で歌い方に変化、提供曲は楽器のような気持ちで

――デビュー5年目で初のアルバムとなります。思いをお聞かせください。

 メジャーデビューする前は、シンガーソングライターとして活動していて、CDをリリースしたこともありませんでした。2015年10月に、映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』主題歌「Magic Parade」でデビューし、以降は多くのアニメソングに携わらせて頂きました。そして、5年目を迎えるこのタイミングで私にとって待望のアルバムをリリースさせていただくことができて。アルバムを作るというのが目標でもあったたので、凄く嬉しく思います。私は、アニソンアーティストでもあり、シンガーソングライターでもあるので、その両方の集大成をアルバムで出したいと思いました。

――この5年の歩みは早かったですか?

 正直、いろんなことがあった5年でした。1stシングル「Magic Parade」から2ndシングル「星を辿れば」がリリースされるまでに約1年4カ月空きましたし、こうして振り返ってみると長いけど、あっという間だったと思います。

――アルバム収録曲を聴いてみると歌い方に変化が見られますが、ご自身でもそう思われていますか?

 変化はありました。「Magic Parade」は提供して頂いた楽曲なのですが、それまではずっと自分が作っていた曲を歌っていたので、提供して頂いた曲を歌うのは自分自身にとってはとても難しくて。一人で活動していた頃は、自分の良い所は自分の概念でしか評価ができなかったけど、この曲を機に歌唱方法も教わって。当時は自分の声だけど、自分の声ではない感覚があったというか。でもそこから考えると、いろんな歌い方ができるようになったな、とアルバムを聴いて感じます。

――では「Magic Parade」は歌うのに苦労された?

 かなり苦労しました。プリプロ(仮録音)の段階で曲を提供してくださったMANYOさんがいらしていて。この曲自体、それまでの自分のレンジ(音域)よりもキーが高くて「どういうふうに歌うのが望まれているのか」を把握しないままプリプロに来ていたので、ちゃんとうまく歌えなくて。そんな自分が悔しくて、レコーディングまでどうしようかとすごく悩んで、帰り道は半泣き状態でした。

――それだけ強く記憶に残っている曲なんですね。ほかの曲と並べてもこの曲は初期の頃の歌い方という感じがしますね。

 粗削りというか…(笑)。

――でもここに原形があるわけですよね。

 もともとのナチュラルな歌い方ではありましたけど、ここで新たな一面が作れたと思います。

――タイアップ曲は作品に寄り添いますし、提供曲となると、自分にはないメロディや歌唱方法が求められることもあるので、新たな一面を引き出してくれる、というメリットもありますね。

 「Magic Parade」と「煌めく浜辺」(TVアニメ『宝石の国』エンディングテーマ)は提供してくださった曲で、どちらも私には絶対に作れないメロディです。どちらかというと「自分らしさ」というよりも「音楽を奏でる楽器のような気持ち」で歌っていました。「私はこういう歌い方もできるんだ」というのを改めて知ることができた曲です。

大原ゆい子

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