巡り合わせ
――お二人が出会った頃、互いの印象はいかがでしたか。(YTとJun Inoue、Gin Kitagawaは米国のバークリー音楽大学の同級生だった)
YT 初めて会ったのは18、9の時だよね。
Jun Inoue 僕は高校卒業して、アメリカに渡っていたんですけど、バンドやりたくてギタリスト探していたら「とんでもないギタリストがいる」と噂になっていたのがYTでした。弾いている姿が違いました。「すごいのがいるんだな」と。こういう人が武道館や東京ドームでやるんだろうなと当時からイメージしていました。だから、東京ドーム公演(KYOSUKE HIMURO LAST GIGS)を観た時に「やっぱりな」と一人合点していました。
――出会ってから今も印象は変わらないですか?
Jun Inoue 変わらないですよ。ギター弾いている時は何か白いものが発光してるような(笑)。今も昔も。
――その後は離れていますよね。
YT そうですね。僕はロスに移って。彼は日本に戻ったんで。
――再会のきっかけは?
Jun Inoue 彼はアメリカでベースも弾いて、ミュージシャンとして活躍していてツアーもやって凄いなと思っていました。僕は日本でプロデューサーとしてジャニーズ事務所で曲を作らせてもらったりしていたんですが、憧れで一緒に仕事をしたいと思う人の中に氷室さんがいて。飛び込みで電話をかけて、それで快諾して頂いた曲が「Keep the faith」(KAT-TUN、2007年11月発売)で。その時に氷室さんと面識ができて「是非とも会ってもらいたいギタリストがいる」と言ってロスのレストランで彼を紹介したんです。
――YTさんはその当時のことを今も覚えていますか。
YT もう何を言ったか定かではないくらい、ガチガチに緊張していましたね。アメリカのラジオ局でオルタナティブ・ロックを流している局があるんですけど、氷室さんは、常に新しい音楽を探すためにアンテナを張っていて。その時も「そのラジオ局も聴くの?」って聞かれたんですけど、当時、俺はラジオを全く聴いてなかったんです(笑)。それで、「いや全然聴いてないです」って答えたら、氷室さんが「もったいないよ。アメリカにいて、折角こういうところでチェックできるんだから」と。そうやって言われたことは印象に残っています。
――ちなみにそれからラジオは聴いていますか?
YT 聴いています。新しいアーティストとか新譜とか常に流れるので、気になるものがあればそこからチェックしたり。もしかしたら、それが新しい曲にインスピレーションのひとつになっているかもしれません。昔のものを聴いて、原点に戻ったりするんで。
2人が見た氷室京介
――氷室さんと知り合われて『“B”ORDERLESS』(2010年8月発売)に参加されて、ここでは全曲アレンジされました。ファンからも好評を得ているこの作品ですが、参加された当時、周りの反響はいかがでしたか?
YT 「本田毅さんから『こういう雰囲気になったんですね!』と言われたよ」と氷室さんから聞いた時は嬉しかったですね。ずっと一緒にやってこられた本田さんから変わった、新しい雰囲気になったと言われたということは、そう感じている方がたくさんいるということでしょうし。
――そこからツアーなどに携わっていかれますが、氷室さんと一緒にやって感じたことは?
YT 音楽に真面目に向き合うということでしょうか。こうじゃなきゃ駄目だと思わされるくらい真剣に向き合っていましたね。
――氷室さんは『KYOSUKE HIMURO LAST GIGS』でも矜持と語っていましたが、ライブからは気概を感じます。ファンが見ることのできないレコーディング時など、氷室さんはどういう様子なのでしょうか。
YT レコーディング時もライブで見せる姿とあまり変わらなかったように思います。自分の書いた曲をとにかく良いものに、格好良い曲にしようと一生懸命でした。とにかく、氷室さんに一切の妥協はないんですよ。
――氷室さんの中に曲やライブとしての完成図みたいなものがあるんでしょうかね。
YT 完成図かは分からないですけど、何か基準みたいなものを持たれているんですよね。
Jun Inoue その基準が恐ろしく高いんですよ。音楽に携わる人間から見てもこだわりが凄いので。背筋が伸びる思いです。
――氷室さんの姿勢や考え方で驚いたことはありましたか?
Jun Inoue ボーカルのゼロコンマ何秒というところですよね。この何セカンドというところまで話されるので。そういう話をする方は氷室さん以外いませんでしたね。
YT タイミングは大きいですね。レコーディング時とかなら分かるんですけど、氷室さんはライブの時もそうですからね。リハーサルでも「お前、10ミリセック(0.1秒)前で弾いてくれ」って言いますからね。自分の中で、10ミリセック前で弾いたら、氷室さんが実際に歌いやすくなるというのは、そんなところまで聴いているということなんで。そんな人はいないですよね。
Jun Inoue レコーディングならまだ分かるけど、ライブもそれっていうのはね、やっぱり凄いですよ。
――YTさんは氷室さんと活動を共にして自身のギタープレイや作曲に変化はありましたか?
YT 基本は変わらないですけど、アプローチの仕方とかは変わったと思います。『“B”ORDERLESS』も氷室さんの歌があっての作品なので、ギターがジャカジャカやるとうるさいわけです。歌が一番かっこよくなる様に考えて。自分の作品ではどんどんギターを弾いて入れたんですけど、そういう変化はあります。
――今回の作品『IF』では、氷室さん、YTさん、そしてGinさんの3人が歌っていますが、ボーカリストが変わると曲作りも変りますか?
YT キーはありますからね。でも、自分は基本的には変わらないですね。
Jun Inoue 今回の作品では、ボーカリストを意識するというよりは、GOSPELS OF JUDASとして良い曲を書こうと作ったので。メロディーの良さを意識して書きました。
YT このプロジェクトに限らず、そういうことは常に意識していますね。だからボーカリストはあまり曲作りに関しては意識することはないですね。良い曲にしなきゃいけないと言うことをメインに書くので。










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