軽くとらえて、深く掘れた
――そしてDisc2はオリジナル版となっています。と言いつつ、最初の「blue n’ red」の作曲はMIYAVIさんが手がけられているんですね。
この曲もセッション版なんじゃないか、と思うんですけれど(笑)。MIYAVIさんの楽曲に私も参加したことがあって。これをご縁に「ぜひこちらにも1曲書いていただけませんか?」と言ったら快諾してくださって、書いていただいたんです。
――こちらも何かリクエストされたんですか?
これはライブ映えする曲としてお願いしました。フェスが近い時期でもありますし、私のライブもわりと盛り上がりが大きいので。そこにまた新たな大きな石を投じて欲しいな、ということで。初めて聴いた人でも踊れるだろうし、前回の甲本ヒロトさんの曲と今回収録しているマーシーさんの曲(「新宿サノバガン(SON OF A GUN)」)と、たぶんこの曲はマストになっていくんじゃないかなとは思っています。
――音を聴いて、歌詞はどのようなものにしたいと思われましたか?
曲自体がすごく疾走感があったので、日本語で世界観をつめこむのもちょっと違うのかなと。私は英語と日本語が混在する歌詞はほとんど書かないんですけれど、ある意味、MIYAVIさんを意識しながら書いたところがあるかもしれないです。
――セッション盤、オリジナル盤とそれぞれご自身でテーマを設けたそうですが、オリジナル盤の方は、どんなものを考えられていたのでしょうか?
スペイン語で“tranquilo(トランキーロ)”という言葉は“落ち着いている”という意味で、それに英語のスタイルを合わせて“トランカスタイル”という言葉があるんです。アルゼンチンの友人に、「最近、どう?」と聞くと、「うん、トランカスタイルかな」という返事がくる。つまり「ちょうどいい感じ」ということを伝えるのに、「トランカスタイル」と答えることを聞いたんです。それで「なんて素敵な言葉だ。今の私に足りないのは、トランカスタイルだ!」と感じて。人生のテーマにトランカスタイルをあげたんですよ。そうしたらちょうどこの制作が入ってきて。「柔らかい心で今の自分を軽く振り返って、深く知る」みたいにできたらいいなという思いがあったんです。実はアルバムのタイトルの候補にも挙げていたんですけど、意味がわからないということで、今回は採用しなくて(笑)。でもいつか作ろうと思っています。
――このアルバムで浸透させたいですね(笑)。2曲目はスパークする「全力のアイラヴユー」。
これは思い切り身近な人にぶつけただけの曲なんです。昔だったら、いろいろ考えてしまったんですけれど、パッとその場にあった怒りをそのままここに表すという。その変換の速さを昔は持てなかった。でも怒りを軽く出していると、なぜかわからないんですけれど、逆に教訓になるような言葉が出たりするんですよね。実際に思っていたけれど、守れなかったことだったり、本当に大切なことが出てきたりとかもするので。ある意味で「全力のアイラヴユー」とか重すぎだと思うんですけれど(笑)。でも基本はこうだと思うんですよ。それに対して日常の“でも”がくっついて動けなくなったり、忖度だったりがプラスされて、ややこしくなっているだけだとは思います。
――最後の、キラキラした未来を予感させる「特選」はどのような思いを込めました?
この曲は最初に書いたんです。今まで選択もしてきたけれど、その選択を正解にしてあげるのはこれからの選択だったりするので。「すべてをよくしていくぞ」という、決意表明の曲になったかもしれないですね。
――それが最後を飾る曲になったんですね。でもそういうふうに気持ちが変化した、大きなきっかけは何だったのでしょうか?
去年中ごろまで、精神状態がきつかったんです。でもいろいろな人と話をしたり、本を読んだりしたときに、結局考え方ひとつなんだなということを改めて感じて。そして自分自身が変われば、周りが変わっていく。周りも楽になるし、こっちも楽になるし、物事が回っていく。それは今までも分かってはいたんですけれど、できなかったんですよ。でもそろそろ実行しなければというところで、いろいろなタイミングがあったんでしょうね。そちらに思考の変換がうまいことカチャン、カチャンと変更できたので。そういった意味で髪も切りましたしね。本当に軽くなって、なんとなく今まで頭の中で考えてたものが、やっと実行に移せたというのが去年ぐらいからだった、という感じです。
――うまくいかないときは、次へのステップの時期ということでしょうか?
そうなんだと思います。やたら眠いのは逃げ出したいからではなく、逆に変換の時なんですよ。そういう時は、眠気が襲うんですって。だからたっぷり飲んで寝たらいいんですよ。そうしたら変換できるから。
――カフカさんも寝ましたか?
寝ましたね。「考えたくない」という逃避もありましたけれど、よく寝ましたし、よく飲みましたし、よく話をしました。
――それを経ての今回のアルバムになったのですね。
音と言葉の密着度も、自分の中では新しいものがあって。自分の中では軽くとらえて、深く掘れたと思っています。
――最終的にこのアルバムはどういう形になったと思いますか。
先ほどセッションのところでお話した「自分が抱かれているイメージを与えてもらって、自分でアウトプットする」ということもありますし。オリジナルではトランカスタイルというところで、本当の自分から出た言葉をアウトプットしました。もちろん両方自分が持ってるものなんですけど、そういった自分の二面性を見ていただいて、聴いていただけるんじゃないかなと思っています。
(おわり)
シシド・カフカオフィシャルHP
http://www.shishido-kavka.com






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