宝探しをしながら次のステージに進む
――2曲目の「ただ抱きしめる」は、匠海さんの声が中心となったバラードです。
泉大智 この曲は女性の作家さんに作っていただいた曲なんですけど、最近毎回シングルに女性の方の曲が入っていて。男性には出せない特有の感じ、しかもバラードでというのが僕はすごく好きで。それを匠海が匠海になりに落とし込んで歌っているのが聴きやすくて。僕がすごく好きな曲です。
矢部昌暉 この「ただ抱きしめる」は、歌っているのは匠海と僕だけなので、レコーディングのときも立ち会いました。普通はブロックごとに順番に録っていくんですけど、この曲に関しては通しで何回か歌った中で、どれか良かったら一つ選ぶというやり方で。それができるぐらい気持ちが入ってレコーディングに臨めていたのかな、と思います。しかも、その通しで歌ったものがどれも良くて。だから逆に「その歌をつぶしてしまうのではないか」というプレッシャーを感じましたね。コーラスも匠海の世界観、そしてこの曲の世界観を邪魔しないように、息多めなウィスパーな感じで歌いました。コーラス的にはシンプルな構成ですけど、すごくいい味を出しているんじゃないかなと思います。
橘柊生 すごくまっすぐなラブソングで、匠海の歌声はさわやかに聴こえる部分もあるし、俳優をやっているので、曲の入り込みが他のバンドとは違う。その点は強いというか。他のバンドさんにはできないようなことなので。「Starting Over」もそうですけど、前回のシングルも今回のシングルも、普通に聴きやすさは違うんじゃないかなと感じます。
――メロディと一体になっているけれど、それ以上に歌詞がすっと入ってきますね。
北村匠海 今となっては、こうやって僕がたくさん歌うとか、1曲通して歌っていることが多いですけれど、昔はもっと歌詞も割り振られていたんです。そうやってボーカルという名だけの存在だったのが、自分の中でも変化があって、いろいろな人と出会い、いろいろなステージを経験して。その結果、ボーカルとして堂々とギターを持たず、マイクだけでもステージに自信をもって立てるようになりました。この「ただ抱きしめる」も通しで歌って、新井さんがディレクションしてくれたんですけど、「何も言うことはない」と言われたのがすごくうれしかった。達成感だったり、いいものができたなという感じは強かったですね。
――3曲目は「Sa-Ra-Band~恋するマーズ~」。
北村匠海 「Sa-Ra-Band」いう2作品目なんですけれど、「Sa-Ra-Band」というシリーズ化されていて、途中の寸劇というか、ネタ的な曲ですね。
――寸劇をやる点も、またDISH//の強みですよね。
北村匠海 今回は昌暉がフューチャーされているんですけれど。
矢部昌暉 DISH//とは別のバンドという設定で僕はマーズというビジュアルが好きなちょっと中二病チックなキャラなんですけど、そいつが恋をしたという曲です。DISH//はライブでコントを結構やってきたんですけど、その中で一番と言っていいほどのクオリティのものができたと思うので。この曲だけは電車で聴かない方がいいんじゃないかな。
――昌暉さんは見た感じ、ミステリアスですよね。
橘柊生 誰がですか?
――ははは。
橘柊生 でも確かにメンバー俺と大智、匠海の3人でよく「昌暉、オフの日、何しているのかわからない」とは言っていますね。まったくわからない。
――実際、何をされているんですか?
矢部昌暉 内緒です(笑)。
――その隠された部分がこの曲に出るかもしれない?
矢部昌暉 もしかしたら出るかもしれないし、内なる昌暉が出てくるかもしれないです。
――最後の曲はさらに「Starting Over」以上にガンガン攻めるナンバー「That’ My Life」です。
北村匠海 すごくアッパーな曲ですね。やっぱりDISH//にとってもこういう音楽は絶対に必要だし、自分たちを鼓舞するような、絶対ライブで光る曲ですね。DISH//の今の勢いがそのままのっかるナンバーなので。DISH//を知らない人に対して、フックになるような曲であるような気がしています。
――このシングルを通してどんなことを伝えていきたいですか?
橘柊生 今回のシングルも、普通にさわやかに聴けるし、深く考察していけば、どんどん楽しめる作品になっていると思うので。12枚目のシングルですし、12枚出している段階で、今、この曲を出すっていう意味も自分の中でかみくだいて、いろいろ考えてみながら聴いてみるとまた違うんじゃないかなと思ったりします。初回盤A、B、Cと通常盤が出るんですけれど、ライブだったりメイキング映像も入っていたりするので、全部手に取って欲しいですね。
矢部昌暉 「Starting Over」再出発、今の僕たちにぴったりだからこそ、たくさん気持ちの詰まったシングルですし、自信を持って出せる曲です。あとはお客さんやファンのみなさん、またはDISH//のことをまだ知らない人に聴いてもらって、どう感じるのかを逆に僕らが待つ、という状態なので、反応が気になりますね。ファンの方にも愛される曲になってくれたらいいな、と考えています。
泉大智 この曲はすごいDISH//にとって大事な曲になっていて。新体制になってから初めて出すシングルで、それぞれみんながいろいろな思いがあると思います。それを今いるファンの方も、それ以外の人にも伝わるように、一生懸命曲をライブなどで披露できたらいいなと思っています。
北村匠海 「Starting Over」で再出発して、DISH//という存在がまた違う次のステージに進めるような気がしています今年はいろいろな答えを自分たちで宝探しながら、何か大きなものになっていって。僕らは横浜スタジアムを目指していますし、いろいろなこと乗り越えながら進めているとは思うので、かっこいい音楽をとにかく作り出せるよう、この4人、そしてスタッフさんを含めてチームDISH//の皆で頑張っていきたいです。
(おわり)