音楽の神様が振り向いてくれたと思ったことはない
――高橋さんにとって、歌や音楽はどういったものでしょうか。喉の不調などで歌えなくなってしまったら?
手足が動くのであれば曲を作ると思います。メッセージを伝えることができるような身体なのであれば、自分以外の誰かを探して自分の想いを歌ってもらうと思います。
――音楽は絶対に切り離せない存在?
そうですね。今のところそれが凄く楽しいと思っています。僕はアルバイトをしていた時代が凄く長くて、映画が大好きで映画館で働いていたんです。その趣味が仕事になって、まわりからも認めてもらってマネージャーになれました。それで「正社員に」と言われたときに、ちょっとだけ揺れた自分がいたんです。そうなっちゃったら親の心配もかけなくて済むかなとか。でも、そのときに感じた不安は凄い恐怖でした。「こうやって人は夢を諦めるのかな」と。自分が持っている夢は、自分が発信しなければ、行動しなければ無と一緒じゃないですか?
自分の想いを行動に移さずに、こうやって萎めてまわりから勧められたり、自分の中でのプランB、プランCを優先させていくことで歳をとっていって、自分の息子とかができたときに「父さん本当はミュージシャンになりたかったんだ」って言うような感じになるのかなと思ったら、もの凄い恐怖で。だとしたら「最初からやっちゃえよ」と。そんな恐怖を持って生きるよりはと思ってミュージシャンになっているので。今でもあのえも言われぬ恐怖は忘れられないです。
――目先の成功に揺れ動いてしまう自分もいますよね。
他の仕事で向いていることがあったとしても、「向いているかどうか」「才能があるか」ではなくて「僕が選ぶかどうか」ということの方が自分の人生にとっては絶対に大事なんです。それこそ身をよじって手を伸ばすことを僕がやらないと、「誰の人生なんだ」ということになってしまうので。本当はギターが超上手いのに、それをやめてバーテンダーとかやっていて「色々あったんですね」という大人ももちろんカッコいいと思います。そういう含みのある人生より「真っすぐやりたい」と言っていたいと言いますか。
――やりたいことはやった方がいいですよね。
絶対やった方がいいと思います。「駄目だったら」のジャッジは自分しかないですから。駄目でもやめなきゃいい、という考えもあります。僕は歌を歌っていて音楽の神様が振り向いてくれたと思ったことは今まで一回もないです。今でも音楽に振られ続けていると思っています。今でも片想い、でも告白し続けている、みたいな(笑)。諦めずに告白し続けようと思います!
(おわり)